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水心流 楠誠会館 技解説

オマツリジャパンで水心流の瀧尾神社で行われた「龍縁祭(ろうえんさい)」奉納演武について取材させていただきました。

京都 瀧尾神社「龍縁祭」剣術 水心流『人を斬らぬ刀』を現代で学ぶ居合の魅力

字数制限により一部、カットした内容をカメラマン佐々木のnoteにて全文公開!
知らなかった剣術の世界、わかりやすく水心流 楠誠会館 館長の渡部さんに解説していただきます。

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水心流 楠誠会館 館長 渡部さん
「今回は「龍縁祭」の運営委員会よりご招待いただき、ご奉納の演武をさせていただきました。
剣術は演奏や舞のような魅せる表現とは異なり、武術という性質上、一般的には見る機会も少ないと思います。
剣術は武術ではありますが、長年磨いてきた技を神前にてご披露させていただくことは剣士にとって誉の場とされています。新伝水心流居合剣術平法(以下、水心流)は歴史の浅い流派ではありますが、技術だけでなくその精神も大切にしており、気持ちを込めてご奉納させていただきました。
ご覧いただいた方より『場の空気が締まり、奉納プログラム全体の構成が整えられた。』とのお言葉をいただきました。当流に派手さはありませんが、技の空気感と共に居合剣術の魅力が少しでも伝わったなら嬉しく思います。」

以下、剣術について教えていただきました。

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剣術について
剣術とは読んで字の如く、剣を扱う術を以て敵を制することが目的の武術です。
刀は古来より剣と呼ばれ、扱う者により技や扱う目的といった流儀が体系化されながら『剣術』が成立していきました。それらの流儀を基に、時代を経るにつれて新しい流派が数多く生まれ、江戸時代に『剣術』は最盛期を迎えたことにより、その意義は日本文化に根付きます。明治維新を期に剣術文化は衰退していくものの、その意志は現代の剣士に引き継がれています。

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剣術の認知について
剣術が流派として体系化され始めた戦国時代以降、剣術の一派は強さの象徴であり、その技を極め達人と評価された剣士は国の強さの象徴ともされ、庇護されていた歴史があります。
当時、流派の技術が漏洩することは即ち敵に手の内を明かすようなもので、多くの流派はその教えを門外不出として頑なに守っていました。
剣術が戦いで使われなくなった現代においても、その慣習はある種文化として受け継がれており、見世物となることをよしとされていません。
私も奉納や大会以外において人前で披露する行為には慎重であり、熟考を重ねます。そのため、人前に出る機会も多くありません。
この秘匿性のある文化は現代では翻って神秘性として置き換えられ、一つの魅力として捉えられている意見もありますが、情報社会の現代においては認知度の低下にも繋がっていることは否めません。

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水心流の技について
水心流は静かな動きで一見地味ですが、無駄を極力省いた実戦的な動きとなっていることと、居業(座り技)が多いことが特徴です。
今回、「龍縁祭」にて御奉納した技の中から、二本ご紹介させていただきます。

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「鳥居崩し」
座っている状態にて、前方右側より斬撃が来ることを想定した技です。
① 前方右側よりの斬撃に対し、自身の右側に置いてある刀を逆手で抜刀し、刀の横側で防ぐ。
② 敵はすぐさま上段よりの斬撃に切り替えることを想定し、その動きを察知し自身の刀を右側から頭上に持ち上げ、刀の峰で斬撃を受ける。
③ 受けた刹那、刀の反りを利用して敵の刀を払い落とす。
④ 刀を払い、すぐさま右手を持ち替え、敵の空いた眼前へ抜刀し制圧する。
⑤ 敵の反撃に注意しながら残心の構えの後、納刀。
※頭上で刀を受ける構えから敵を崩す姿を鳥居に例え、「鳥居崩し」と称する。

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「阿吽」
座っている状態にて、左右に座っている者が攻撃してくることを想定した技です。
① 左右に座る者よりの攻撃を察知した瞬間、すぐさま右の者を威嚇し動きを止める。
② 左の者の方向へ振り返りながら抜刀、斬りかかられる前に左の者の胸を突く。
③ 刀を胸より引き抜き、すぐさま振り返り、先に威嚇した者の胸を突く。
④ 刀を引き抜き、反撃を注意しながら残心の構えの後、納刀。
※左右の敵に対し阿吽の呼吸で察するが如く仕留める様より「阿吽」と称する。

剣術の技は基本的に一対一もしくは一対複数の型で構成されており、足の運び方などの動きの全てに意味があります。この意味のことを「理合(りあい)」といい、技の理合を想像しながらご覧いただくことで違った面白さも感じられるかと思います。

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水心流の稽古について
刀を扱うということは、どのような剣術であっても身体の基礎ができていないと継続した上達は望めません。ですので、当流では基礎を作る稽古を中心に行っております。ひたすら地味な反復稽古ですが、基礎を作った者ほど後々の上達に目覚ましいものがあります。
また、門下には学生や初心者の割合が多いこともあり、修行者の上達速度に応じて内容を随時考えながら採り入れております。
剣術が本来何を目的に使われていたかは皆様もご存知かと思いますが、現代においてはその目的が果たされることはありません。あってはならないとも思います。
殺人剣ではなく活人剣として、私たち剣士は先代よりの流儀を継承し、次の世代へ伝えていく。極め続けられることと継承していく楽しさ、さらにその修行過程で継ぐ者の人格形成の一助となる可能性が高く秘められているところに剣術の魅力を感じています。

水心流の奉納演武スケジュール

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平安神宮 奉納演武古武道大会出場 2021年10月3日(日) 

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青龍殿 国宝青不動明王奉納演武大会出場 2021年12月5日(日)

※通常時の日程です。コロナの影響により開催が変更・中止になる場合がございます。

お稽古:毎週水曜日 

新伝水心流居合剣術平法 楠誠会館 

ホームページ http://nansei-kaikan.com/ (工事中)
facebook https://www.facebook.com/tatsuya.watanabe.7982/
Instagram https://www.instagram.com/tatsuya_watana/

水心流スタジオ撮影の様子はこちら

カメラマン佐々木
「渡部さん、解説ありがとうございます!
なかなか触れることのない伝統武術。奉納演武をきっかけに知ることができました。

近年は『るろうに剣心』『鬼滅の刃』『刀剣乱舞』などでも刀が大ブームですが、技について少しわかると、より剣術を見るのがより楽しくなりますね。

渡部さんのお稽古場『楠誠会館』は居合と空手の両方を同じ場所で勉強しているというのも特徴で、より武術に興味がもちやすくて素敵です。

舞台『人を斬らぬ刀』でも門外不出の掟と魅力を伝える難しさを取り上げていますね。わかりやすく現代社会における伝統武術の課題を提議しつつ魅せる技、感服いたしました。

また毎年6月4日は「武士の日」。
剣士たちにスポットがあたり、日本の伝統の素晴らしさが世界中に広がりますよう、心から願っております。」

※7スタジオ京都にて撮影 (通常は模造刀の使用のみ。特別な許可を得て撮影。)

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