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Design for ALL:ユニバーサルデザインを今一度知る、自然化していく社会に必要なSENSE WARE

今回は、Innovation Designについて、ユニバーサルデザイン総合研究所所長 赤池学氏にお話を伺った。

1)なぜユニバーサルデザインに惹かれたか?

まず、赤池さんはこの問いに対して、様々な企業事例をもとに、継続的に新しい価値を生み出す仕組み・体制、イノベーションへのアプローチについて語ってくださった。デザインとは、名詞ではなく、動詞であるという。

ユニバーサルデザインは、「Design for ALL」を掲げている。

Design for ALL
70億人、そして90億人となる多様な地球市民たちとのシェア
次代のユーザーである子供たち、まだ見ぬ子孫たちとのシェア
次代に継承すべき価値を生み出した、亡き先人たちとのシェア
人間を含めた、すべての多様なる生物、自然生態系とのシェア


▶︎Design for ALLの構築手法

意味と価値のイノベーションを通じ、
ステークホルダーとの補助線を引き直し、
新しい価値の連鎖を創造する。


▶︎ユニバーサルデザインを定義する10要件

1)セーフティ(安全性)
2)アクセシビリティ(接しやすさ)
3)ユーザビリティ(使い勝手)
4)ホスピタリティ(慰安性)
5)アフォーダビリティ(価格妥当性)
6)サステナビリティ(持続可能性)
7)エキスパンダビリティ(拡張性)
8)パーティシペーション(参画性)
9)エステティック(審美性)
10)ジャパンバリュー(日本的価値)


2)ものづくりにおける「21世紀品質」開発

ものづくりにおける「21世紀品質」開発には、下記4つのWARE要素が重要だという。これらが循環するように開発されることで、よりよい品質が生まれるということだ。

HARD WARE:技術基盤がもたらす品質
SOFT WARE:アプリケーションがもたらす品質
SENSE WARE:五感と愛着に基づく品質
SOCIAL WARE:公益としての品質

特に、SENSEが今後重要になってくるという。SENS WAREとは、五感と愛着に基づく品質のことであり、SOFT WAREで使い勝手が生み出されたものに五感と愛着を付加するものだ。さらに、愛情・愛着・愛嬌を生み出すことで、公益としての品質へと繋がり(SOCIAL WARE)、それによって新しい価値やビジネスモデルを生み出すという循環が生まれる。

3)未来社会仮説

地球の物理的限界に対する認識の広まりと、情報の民主化kが原動力になり、物質的な豊かさを追求する人間中心の社会から、心と体の豊かさ、快適さを求めつつ自然や社会との調和を目指す方向性へと変革することが予想されるとし、このような社会の変遷を示している。

2000年代:自動化社会
〜2011年 :最適化社会
〜2015年 :自律化社会
〜2020年〜:自然化社会


こういった社会の変遷を辿る中で、目下「グリーンイノベーション」、「バイオミメティクス」などのデザインが登場してきている。古賀さんは、それに対して、自然の在り方を見倣っていくだけでなく、そのものを利用していく必要があるのでは?SDGs ビジネスにおいても、地域資源を活用するのは有効ではないか?とご自身で研究開発をされていらっしゃる。

研究や作品がどれも面白く、共感する視点もあるので、ぜひ学ばせていただきたいと思った。


情報元:
武蔵野美術大学 大学院造形構想研究科 クリエイティブリーダシップコース クリエイティブリーダシップ特論 第14回 赤池学氏 2020/08/17