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共創的な在り方が、未知のビジョンを生んでいく


今回は、サービスデザインのアプローチで価値ある体験と社会の仕組みをつくるパートナーとして企業や学校とプロジェクトについて、株式会社グラグリッド 代表/ビジョンデザイナー 三澤直加氏にお話を伺った。

1)共創パートナーとしての専門性

三澤氏は、デザインのアプローチで社会課題を解決する"共創パートナー"として、企業、自治体、学校と多岐に渡り連携して、アイデアが生まれる仕組みを作り、共創の場を活性化させる仕事をしていらっしゃる。具体的には、価値ある体験と社会の仕組みをつくるため下記3点をメイン事業とされている。

1)ビジョンづくり
  事業戦略/未来の世界を描き出しブランド強化を支援
2)商品づくり
  顧客の価値観とアイデアを描き出しイノベーション創出を支援
3)組織づくり
  描き出すコミュニケーションでギャップを解消し、クリエイティブな組織文化を支援

わからないながらに、書きながら考えていたらわかってきたそうだ。その中で見出したグラグリッドの専門性は、下記3点に集約されたそう。

1)ビジュアルシンキング:描きながら考え一歩一歩前進する力
2)ファシリテーション:共創の方法をデザインする力
3)サービスデザイン:最高の体験をつくる仕組みを考える力

現在では、国際化や高度情報化、人口減少などの要因から、組織の体質を改革したい企業・地域のとの仕事が増加しているそう。例えば、教育、観光、医療、メーカー、物流、外交、保険など…。


2)未知のものと向き合うための創造的思考法

誰もやったことがない、想像したことがない未知のもの。どう向き合い、作り出していくのか?事例をもとに具体的に伺った。

<CASE1:新宿区落合第六小学校「みらい科」授業>
 校長先生から直々にグラフィックレコーディングのオファー。

○課題
 議論は多数決、正解を求めてしまう小学生が多い。
 思考力と判断力を培う教育はできないか?

○依頼
 「グラフィックレコーディングの力で創造力を養い、概念化/抽象化する方法を教えてもらえないか?」

○取組内容
 「楽しむ」「空想する」「きく」「まとめる」という4ステップから構成された参加型体験授業「おえかきシンキング」を実施。詳細は下記を参照。

○実施結果
 全校生徒が熱狂し、思考力が向上した。板書の取り方に登場人物の顔が出てきたり、発言内容が出てきたりと、授業を受ける態度にも変化が現れるようになった。創造性を開放することは、未来をつくる力になる。


<CASE2:世界に拠点をもつブランドのサプライチェーンマネジメントチーム>


○課題
 刻々と変化する市場。物流の戦略が重要になってきた。共通のビジョンを作っていきたい。

○依頼
 「ビジョンづくりを一緒に手伝って欲しい!」

○取組内容
 サプライチェーンマネジメント兼ブランドマネージャーの戦略を立案。

2020年のマーケットがどうなっていくかを話し合い、自分たちの特性、そしてどんなことが世の中に必要とされるようになるかを、どんどん出し合っていったそうだ。そんな中で注意している進め方のPOINTは下記だ。

POINT
1:キーマンが考えていることに耳をすませる
2:一人ひとりが感じたこと考えたことを吐き出しシェアする
3:絵で可視化する
4:共通のキーワードを抽出しながら、一つの世界観を模索する

すると、だんだん理想的な活動の姿が出てくる。それを1枚の風景がとして、絵にしていく。こういったものを会社のエントランスに飾ってもらったり、みんなが共通のビジョンとして思えるようにしている。


<CASE3:自分の心に問いかけるツールをつくる(自社事業)

○課題
 経営戦略、ビジョンをつくるワークショップをやっても一人ひとりのやりたいことが明確でないと進めない。では、自分自身に問いかけ、自分のビジョンを明確にすることはできないだろうか?グラグリッドで自社開発してみよう!

○取組内容
自社でワークショップツールとして開発。

○実施結果
ワークショップ内で活用すると、メンバー間の気づきも生まれるようになった。自分自身で内省する機会に。


<CASE4:150年近くの歴史をもつ梅光学院の新校舎建設PJ

○課題
 人口減少している時代に、ここに新しく学校を作る意味とは何だろう?

○依頼
 「地域の人と交流できる新しい拠点として、文化の交流点としての役割を果たす場所をつくれないか?」

○取組内容
理想的な未来の体験を関係者と共創し、新校舎を建設する。

POINT:建物の設計者と未来の利用者の共創
建物(ハード)を生み出すプロセスを、使う人(ソフト)と一緒に育み、コミュニティを醸成させる活動を目指した。

具体的には、カットアップという、写真を切り貼りしながら、まとめていくワークショップを実施。「どんな場所にしたい?」「自分だったらどう使う?」と模型を見ながら、未来の利用者と一緒に理想を視える形にしていった。

○実施結果
革新的な校舎の造りで、何階という概念がなかったり、階段で授業をしたりと交流を生む学校生活がはじまる。詳細は下記を参照。


3)共存できるサステイナブルな社会の在り方とは?

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グラグリッドのビジョン

情報元:
武蔵野美術大学 大学院造形構想研究科 クリエイティブリーダシップコース クリエイティブリーダシップ特論 第1回 三澤直加氏 2020/05/18