花と私
水はあげすぎちゃだめよ。受け皿に出た分は捨てて。
花好きの祖母が、最初にくれたのはシクラメン。それからベゴニア、ガーベラ。胡蝶蘭にもう一度花を咲かせときは、鉢をかかえ、鼻を膨らませて祖母宅まで見せにいった。
「ちよちゃんは、花を育てるのが上手ねえ」
なぜか鼻高々な顔の祖母を見るのが嬉しかった。
三月になっても寒い。約二週間前辿った道をまた一人で行く。新幹線で二時間、東京都内をJRで乗り継ぐ。愛知県を出る時降っていた雨は、私を追いかけて東上する。
人だかりが出来ていた。テレビ局の人も沢山。足が止まる。怖い。
チアリーダー服のお姉さんが、私に気付いて「前行こう」と誘ってくれる。
394 さ・く・よ、と覚えていた、番号があった。
水をあげなさ過ぎても、花が咲かないのよ。祖母の声が耳に響く。
今日の雨はきっと催花雨。ちゃんと咲かせられた私を見て、おばあちゃんはあの顔をしてくれるかな。
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