百人一首とかカイトとか
今日はカイト遊びとぼうずめくりは絶対やりたいと子供に言われていた。
幼稚園の始業式まであと三日。まだ三日か、もう三日か。やっぱりまだ三日な気がする。
正月に、親(子供にとっては祖父母)に読み上げ機付き百人一首をもらった。歌の絵本のような見た目に子供らは興味津々だ。その機械は、まず句全体を読み、それでも取れない時用に、下の句だけ繰り返す機能がついていた。
競技かるたは下の句が書かれた札を取るゲームだけれど、子供では難易度が高いと思ったので、というか「ちはやふる」を読んでいたくせにルールが分かっていなくて、絵札の方を取るというルールで始めた。子供は姫や殿のカードは取りたがるが、読み上げられた歌が坊主のものだと知ると、見つけても「いらない」と言って私にくれる。そういうゲームじゃない。
今日はぼうずめくりで、「確か蝉丸は別のルールがあったはず。姫と坊主だけのルールでは変化がないから」と調べてみたら、蝉丸についてのローカルルールはひとつではなくてびっくりした。
・蝉丸は出家の記録がないから殿の札と同等に扱う
・蝉丸を引いた人はビリ確定
・蝉丸を引いたら全員が場に札を出す
・蝉丸を引いた人は一回休み
全然傾向が違う。そしてどのルールがメジャーなローカルルールなのか分からない。(ローカルルールなのにメジャーとは? 何を言っているのかわからねーと思うが、おれも何を言っているのかわからない……)
しかも、蝉丸だけではなく、こんなローカルルールもあるらしい。
・軍将札を取ったら左隣の人から五枚もらえる
・天皇札を取ったら数枚もらえる(場からOR参加者全員から)
・女性皇族札を取ったら全員の札と場にある札を全部もらえる
えええー。そんなルール全然知らなかった! しかも、軍将姿の人の中には、実際は文官だったのに軍将姿に描かれている人もいるんだとか。訳が分からないよ……。
結局この新しい知識をどれだけ反映させるべきか分からなくなって、シンプルに姫と坊主だけのルールのまま進めた。園でも毎年ぼうずめくりをやっているので、「実はこういうルールもあるんだよ、おうちではこうやってるんだよ!」と子供が言うことで、園に混乱を招くのもなあと思って躊躇したのもある。
次はちゃんとした競技かるたルールで百人一首をやってみようかなあ。難しいかなあ。
ところで、たこ揚げ、カイト遊びはなんで年末年始に多くフィーチャーされるんだろうか。あの歌のせいかな(cf. あの香水のせいだよ)と思うんだけれど、冬場の方が風が強く吹くとか、空気が乾燥してよく飛ぶとかあるんだろうか。なんとなく、夏のじめっとした空気ではカイトも飛びたかないだろうなあと思うけれど。私の親はたこ揚げにはあまり熱心ではなかったし、当然上手でもなかった。和紙と竹ひごのたこを飛ばすのには技術がいったのかもしれないけれど、持って走っても飛ばないものという印象が強かった。
そんな私が二年連続でカイトを買って飛ばしている。去年のものは横骨がどこかに行ってしまって使えなくなった。買いに行ったとき、私の手に取ろうとしているカイトを指して、男の子が「こんなんだっせー」と言うので、イケメン父親が恐縮していた。「やー、ですよね。プリキュアなんてだせーですよね」と言って笑った。「うちも毎年買うんですよ」と言われ、カイトは一年で壊れるようなものだと知ってなんだかホッとした。去年横骨がなくなったとき、夫と小さな言い争いをしたから。
カイト遊び、結構楽しい。今日は風が強かったので、ただ持っているだけでひゅうううと上にあがっていく。普段こんなに空を見上げることがないから爽快だ。だけどなんだかすごく切ない遊びだった。
順調な時、私とカイトの距離は遠い。カイトはひとりで気持ちよさそうに空を飛んでいて、私の方を見向きもしない。楽しそうな彼をただ良かったねと眺めている地上の私は、一ミリも空を飛べていない。淋しい。でもひとたび彼の調子が崩れると、糸をたぐり寄せて近付け、なんとか態勢を立て直さないといけない。手助けが欲しいときだけ何よ、とか思う。調子のいい時に近くに居て楽しんでいたいのに。でも大抵がくんと悪くなって、取り返しがつかないまま、空を転がり落ちてきてしまう。
今日ここで書くと詩情が削がれそうと思ったけど、でも書く。今日は横骨をちゃんと持って帰ってきたから、また揚げに行きたい。
note30日チャレンジ28日目 累計 49,771文字(オフライン含め52,184文字)