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バロメータとしての装身と青い朝

  長らく、着飾ることに対する関心が低下していたが、少し前までnoteでフォローしていた作家が、無駄なように思っても着飾った方がいいと言っていた。化粧もしない、爪も塗らない、服も雑に選べばいいと、日常のあれこれを全て効率化していると、調子が崩れた時一気に最下層まで落ちてしまうという。爪を塗れなくなってきたら、少し調子が崩れてきたなと自分で気付ける。そういう意味で装身には意義があるという意見は説得力があった。

 自分には香水をつけるというチャンネルがあったことをすっかり忘れていた。長年愛用していたものを引っ張り出して付けていたが、せっかくなら新しいものを付けてもみたい。私が敬愛するnoterさんが、毎年誕生日に自分に香水を贈るという記事を書いていたのにも触発されて、トム・フォードの香水をつけてみたくなった。

 ※これは、先日、同じく私が敬愛するmakiさんに、私の記事を紹介してもらって、それが思いの外、かなり嬉しかったので、その輪を広げんとして紹介するものである。makiさんの記事を紹介するのが筋であるようにも思ったけれど、情けは人の為ならずではないが、別の人にバトンを渡してもよいように思ったので。

 しかし、トム・フォードの香水は高価で、似合うか分からないのに気軽に買える値段ではない。おそらく十以上年下の方に似合うような香水が、私に合うようには思われないこともあり悶々としていたところ、アトマイザー単位で販売しているサイトがあると知った。私の見つけた店には選べる三種セットと選べる四種セットがあって、せっかくだからと四種セットのものを買った。それで、日替わりで香水をつけてみているのだけれど、どの香水も、最後の残り香があまく、色っぽい人が使った後の、おひさまに干された毛布のようなにおいになる。これはトム・フォードの香水の特性なのか、私から発せられる何ものかが香水と混じってこうなるのか。四つの中では、テュベルーズ ニュが一番好みではあったが……。

 いずれにせよ、トム・フォードの香水は私には少しセクシーすぎる、大人すぎる(年齢的にはいい大人なのに!)気がしている。かつて私が、国内では買えなかった今の愛用香水の香りを、どこで知ったかは忘れてしまったが、この香りを自分の香りだと決めるまでにかなり時間と労力をかけたことが想像されるのである。


 まったく別の話題になるのだけれど、このところ友人と、大人の社会見学と洒落こんで平日科学館に行くことがある。ずっと忙しくて行けないでいたのだけれど、先日ようやく行ってきた。
 学生の頃などは、プラネタリウムで寝るなんてことは絶対しなかったのに、今は途中ふっと意識がなくなってしまうことがある。今回の特集は火星大接近だった。火星は空が赤いのだけれど、科学者は「空は青いものだ」と、探査機が撮った火星の空を青く調整してしまった。昼間赤い空の、火星の夕焼けや朝焼けは青い。プラネタリウムの空に火星の朝を映し出しながら、学芸員は柔和な声で「みなさんの中で、将来この青い朝焼けを実際にご覧になられる方がでてこられるかもしれませんね」と言った。火星の夜明けを越えて、私たちは現実世界に戻ってきた。

 青い朝のプラネタリウムは年末までやっている。もう一度見にいけたらいいのだけど。

 ちなみに、今日はふたご座流星群の最適鑑賞日だそう。降雪予想も出ている寒さだけれど、夜はしっかり着込んで、ここから遠くかなたに思いを馳せてみようかと思う。最適時間と言われる夜9時~10時頃まででいいから、全国的に晴れてくれるといいのだけれど。

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