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ここらで電子漫画サイト遍歴を晒す①

 書けないなら読もうと思って、雑多な電子漫画を読み漁っていた。電子漫画サイトは、連載漫画における一話を二~三分割して「一話」とし、十二時間とか二十四時間とか、指定の時間を経ることで次の話が開放されるようになっている。そして、大抵の場合途中で有料になる。

 私の場合、有料になった時点で読むのを止めるか、余程気に入った作品はこのサイト経由ではなく紙で買う。私が「漫画は電子派」だったとしても、話を分割して販売することで、単行本より割高になるこのサイトを利用しはしないだろう。となると、このサイトはどこからどう利益を得ているのか気になってしまうのだけれど、実際どうなのだろうか。たとえば私のような人間でも、残り数話で完結なら、多少割高でもサイト経由で買ってしまうかもしれないけれど、そんな需要はニッチすぎる。出版社から何かのキックバックをもらっているようにも思えないし。

 話が逸れた。今のサイトは、色々な理由で途中で読むのをやめたタイトルも、自分の本棚に溜まったままになる。私に最後まで読まれなかった作品の屍はどんどん堆積していくので、もう絶対読まないものは本棚から外したいのに、その機能がない。そんな屍(と屍予備軍)の中から、「これは私が説明する必要はないだろう」と思う私的ビッグタイトルを除いた作品を順不同で紹介しようと思う。作品を紹介するのをまとめてやってもいいけど、かなり長くなるので三日間くらいに分けるつもりだ。そして出来たら最後に、作品の筋がきとタイトルの付け方についてまとめて終わりたい。順不同とは言ったけれど、おおよそ私が読んだ順になるのと、最初の数話しか読んでいなくて語れないものは除いた。

①「チ。地球の運動について」
 地動説を巡る色々な時代の色々な人達の努力と葛藤を描く。おそらく史実ではなさそうなことも入れてあるが、地動説は間違いではないのだという信念がささやかに引き継がれて、緻密化していく。面白いのだけれど絵があまり好きではなかったので無料分だけで終わってしまった。絵さえよかったら紙で買ってた。

②「その着せ替え人形は恋をする」
 Amazon primeでアニメを先に観て、原作も読んだ。私のサイトではアニメ化分の最初の方までしか無料公開されていない。ギャルだがコスプレしたい系オタクの喜多川さんと、人形師見習いの五条くんの掛け合いが面白い。喜多川さんが大好きなキャラとして、『聖♡ヌルヌル女学園 お嬢様は恥辱倶楽部 ハレンチミラクルライフII』というエロゲに出てくる黒江雫というキャラがいるのだけれど、アニメで五条くんが縫製したコス衣装を着た喜多川さんが

「私……雫たんになれてる?」と言うシーンが、原作では

「私……性奴隷しずくたんになれてる?」

になっていてめちゃくちゃ笑った。くそがつくほど真面目な五条くんも、

「はいっ! 喜多川さんは立派な性奴隷しずくたんです!」

って返してるし。この表現は音声だけではできない。


③「明日、私は誰かのカノジョ」
 レンタル彼女として働く女の子とか、淋しさから簡単に体を男に任せるようになった女の子とか、パパ活とかホス狂(ホストにガチ恋して、狂信的にお金をつぎ込んでいる女性)とか、若い女の子が沼にはまった姿を描く。この話にでてくる「ゆあてゃ」というキャラがティーン向けファッション誌の表紙を飾ったほど社会現象になった作品らしい。私は例によって、最初のレンタル彼女編&パパ活彼女編のさわりのみ読んだのだけれど、そっちに行ってしまう女の子にも理由と理屈があるのだということが分かって、居たたまれない気持ちになった。絵は綺麗なのでレンタル漫画で最新話まで読みたいような、ちょっと怖いような。

④「ハニーレモンソーダ」
 ハニーレモンソーダみたいな色の髪の男の子に恋した、地味めで虐められ経験のある(うろ覚え)女の子の話。ザ・少女漫画で、「おもしれー女」ってハニーレモンソーダ男子が言う感じのやつ、あるいは「君に届け」の亜種。ハニーレモンソーダ男子のことを主人公がなぜ好きになったのか理解に苦しむし、ほぼ喋ったことのない男子を追って、もっと偏差値が上で、他に知り合いがいない遠くの高校ではなく、また虐められそうな、地元のやんちゃな高校に進学するかなー? というのがリアリティがなくて無理だった。本人、静かな高校生活が願いだったんじゃないのか? 本人が意思を翻して行きたいって言っても、中学生だったら親が反対して遠くの高校しか受験させないと思う(暴論)。


⑤「天才ファミリーカンパニー」
 「のだめカンタービレ」の作者の、のだめの前の作品。エリートでなんでもできちゃう男子高校生のところに、同じくエリートなバリキャリ母との再婚相手のちゃらんぽらんなおっさんと、そのちゃらんぽらんな子供(同じ男子高校生)が転がり込んでくる。エリート高校生=千秋、ちゃらんぽらん一家=のだめ一家であり、こういう話が作者は好きなんだなーと思う。レビューでは、最初はイライラするけど、段々「のだめ」より良くなるという評が目立ったのだけれど、私は無料分を超えて読もうという気にならなかった。
 しかしながら、この作品のように、最初のエンジンがかかりにくい作品が、もし2022年の今連載されていたら、すぐに打ち切られるのかな、それは貧しいことだということも思う。出版社も読者も、待てる余裕を失っている。人生はドラマティックなことが早々起こらないのに。いや、起こらないからこそ、物語ではコンビニエントに迅速に感動してハラハラして涙したいのかもしれない、通勤時間の電車内で終わる分量で。


 あー、三日間でと書いたけれど、五日ぐらいかかるかもしれない。五タイトル書いただけで疲れたので、今日はこのあたりで。

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