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恋人のことを大事にしなきゃ

 新しい恋人ができた。

 三、四年前から付き合っている彼とは、今もつかず離れずやっている。人の扱いって、誰を相手にしても大体同じでしょ? やりくりすれば、両立できるって。

 新しい恋人は、気難しいひとで、「僕のこと良く知っておいて欲しいから」と手紙をくれた。長い手紙で、こういう言葉遣いは僕は嫌いだから使わないでとかそんなんで、内容も細かかった。西野カナのトリセツみたいなことが書いてあると言ったら分かるかな。

 告白されて、はじめてのデート。私は八センチのヒールを履いた。つま先が銀色で全体はベージュのおしゃれなやつだ。私の銀色のつま先は、地雷を華麗に避けるようにはできていなかった。運悪く雨で、水たまりも避けきれなくて、はねた泥を彼が拭ってくれた。「まあ、慣れてもらえればいいから」って言われた。そうだよね。私が悪いわけじゃないよね……。

 お互いの心地よさをすり合わせて、っていうか私が習って、身に付けて。私、そういうのをサボっていたのかも。

 彼氏のうちに行く。手ぶらでも大丈夫な場所だけど、それもサボってたのかなと思って、酸っぱい炭酸飲料を二本と、アイスと、ポテトチップスを買って行く。彼のことを物足りないなと思っていた。私、大事にされてるのかなって。でも、私のこと放っておいてくれて、やりやすかったのは私の方だったのだな。大事にしなきゃな、と思う。

 彼は私が教えた、のりしおポテトでアイスを掬って食べると美味しい、を実践中。

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