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桑の実だっ、そうだろう!! (と、サルナシ)

 毎年この時期に黒く熟す桑の実。昨年、その黒い実の中に白い実が複数出来ているのを発見した。普通の実は黄緑色から赤色になり、それが更に濃い紫色に変わるのだが、その白い実は白いままで、アクリル絵具をべったり塗ったような平板さなのである。

 私はそこだけ日が照らなかったか、受粉しなかったかと簡単に考えて、実を切り落としたのだが、今年は色々とやる気があったので、スマホで調べてみたところ、なんと実菌核病という病気だった。

キノコの一種の胞子が桑の実に付着すると実が白くなる

白い実が地面に落ちる

地面で菌核が育ち越冬、春に子実体ができる

胞子が桑の実に付着

 という、嫌らしいサイクルを経るのである。しかもこの実菌核病をもたらすキノコは、桑の実の周囲にしか生息しないらしい。なんと嫌らしい。

 ちなみに、情報サイトを貼ろうと思ったのだけれど、集合体恐怖のある人がうっかりサムネイルで白い実の写真を見てしまったら気分が悪くなる気がするので、貼るのはやめておく。興味のある方は各自ググってみてください。ちょっとキモいよ。

 去年、私は「実は木の栄養になるであろう」と落ちた白い実をしっかり取り除かなかった。……無知って怖い。しかしそれなら、今年はもっと白い実が出来てもおかしくないのだけれど、木が大きくなった割に白い実は少ない。なんなら去年より少ないくらいだ。冬場に強剪定をして、木がリフレッシュしたのが良かったらしい。人間でも健康体なら病気に罹りにくくなるものだが、木にも同じことが言えるようだ。

 さて、その実菌核病だが、本気で撲滅するには木を一旦抜いて表土を削り取ったり排水管を入れたりという大掛かりなことが必要になるそうだ。でも一般家庭でそこまでやっていられないので、今年の冬、土に石灰をまいて消毒してやろうと思っている。しかし、それをやっても五、六年は菌が居残り続けるらしい。なんて嫌らしいんだ。そもそも今いる菌をやっつけても新たな菌がうちの桑めがけてやってくる可能性もあるんだよなあと思うと暗澹としてくる。

 それなのに、キノコファンの中には、憎らしいこの二種のキノコを愛で、わざわざ桑の木の下に探しに行く人もいるらしくて、なんてことなのって思っている。そういう人のブログを見てきいいって思ってしまった。その人に罪はないし、世間は広い。きいいっ。

 そんなわけで、今日は不穏な芽を刈り取っておこうと、木の下の方の枝で白い実を付けているものは見つけ次第、悪・即・斬した。良い実も沢山付いているので勿体ない気もしたが、日当たりが悪く小さい実が多いから、今のうちにすっきりさせた方が良いと思ったのだ。どうせ上の方には取り切れないほどの実が成っているしという、お大尽の発想である。すっきりさせてみると、薄黄色っぽい実が目立つ。おそらく日当たりが悪いせいで、黄緑→赤という過程を経ずに、薄黄色→赤と熟していくのだろうけれど、なんだかこれも病果のように思えてくる(栽培家のブログを漁ったが、それを成熟過程と言っている人も、おそらく病果であると言っている人もいて判然としない)。いっそ全部悪・即・斬してやろうかと自棄を起こしそうになったけれど、つまらぬものを斬ってしまって後悔してはならぬと、我慢して刀(高枝斬りバサミ)を鞘に収めた私だった。木は高枝では全然ないのだけれど、この得物は斬った後枝をキャッチしていられるので、あまり病果を含む枝を触りたくなかった私には好都合で、薙刀の要領で使っていたのだった。

 ちなみに、今年はサルナシの花がはじめて咲いた。サルナシ(クッチ)は去年買ったのだけれど、その直後にゴールデンカムイにハマった。成ったらたくさん食べてクッチのにおいのする女になるんだーい。

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