ばにらさま

本の中に出てくるあなたは私。

私もかつては、小さいか弱い子供でまっさらで綺麗な心を持っていました。色々経験するにあたってこんなにドロドロしてひねくれてしまって、真っ直ぐに物事を捉える事ができなくなってしまった39歳です。

山本文緒さんの作品に出てくる人物は自分の事を書いているのかと思って錯覚してしまうことがある。ドロドロした人間の内面をさらりと書いてあるのでこのままで良いのだと肯定されているようで安心するし、反対にはっと気付かされる事もある。自分をわかってくれているようで嬉しくもある。全部の作品が好きですが、一番は中学生の時に初めて読んだ作品で「きっと君は泣く」です。思春期の不安定な心に響きました。思い出深いです。


ばにらさまは久しぶりに自分で購入した本です。出てくるOLの女の子は若くて綺麗でいわゆる量産系なのかな。見た目ばかり取り繕って、今より良い生活を手に入れたくて本人は努力しているつもりだけど客観的にみると努力の方向性が間違っていて努力していないように見える。幸せにしてもらえる相手をアンテナはって探している。出会う人を値踏みしていて寂しさを埋めるためや損得考えて利用できそうなら利用するしキープするし平気で裏切る嫌なやつなんだけども損する事もあるしなんだか憎めないのです。この子とまったく正反対の人間ですっていう人はいるのかな?人間だれしも少なからずこの女の子と似たような部分は持っていると思う。人間は弱いんだよ。今を楽しく生きていたいんだよ。この子の弱い部分やドロドロした部分を知っても受け止めて愛そうと思っていた男の子は結局最後は突き放してしまいます。この男の子はずるかった。最後の場面では男の子次第だった、選べる立場だった。女の子には男の子しか残っていなくて、ボロボロの時に突き放すんだもん。どん底に落とすんだもん。彼女のブログを読んで自分への扱いやドロドロした内面に気づいていたんだからもっと早く自分から離れられたはず。最後の場面ですが、女の子がこのような行動をとったら愛しく思ってプロポーズしてやるのにって理由づけしてその行動をしなかった女の子を突き放した。自分の行動を正当化してる。ブログでや約束をキャンセルされてコケにされていた男の子が女の子に復讐したようにしかみえなかった。(あくまでも私の意見)

このどうしようもない女の子に焦点を当てて物語を読んでしまうけど、この男の子の行動も注目して読んで欲しい。自分は何にもない、平凡、愚鈍な男ぶっているけど実際は平凡ながら全部持ってたし、自分という強さもあったしその強さを自覚してたと思う。二人の立場が変わったここぞという場面で女の子にトドメを刺しておきながら、男の子も傷ついて悲劇のヒーローのような顔して終わりを迎える。でも復讐が済んだため?彼女に寄りかかられるの避ける事ができたためか心なしかスッキリしている。

女の子?大丈夫だよ。あの女の子は次の日にはスイーツ食べてるよ😊

彼女は愚かで強いのだ。


#読書の秋2021

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