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【戦評】 痛み分けの日韓“鷲”対決~2月21日△楽天7-7ハンファ

劣勢のなか、下妻の土壇場3ランで7-7のドロー

沖縄・金武ベースボールスタジアムを舞台にした今キャンプ最後の対外戦。
(追記:これ間違いで最後は2/23日本ハム戦でした)

相手は“韓国の鷲”。
韓国プロ野球で昨年8位のハンファ・イーグルスである。

派手な打ち合いになった。
楽天は1発含む11安打(複数安打は岡島、田中)。
ハンファも1ホーマー含む11安打。
今シーズンの対外戦で両軍ともに二桁安打を記録したゲームは、本戦が初。

投手陣にとっては苦しいマウンドになった本戦は、三者凡退が両軍合計3度しかなかったことでも確認できる。

はたして、スコア7-7。
今季初の対外戦ドローゲームに終わっている。

それにしても、良く追いついた!
終盤、イーグルスは劣勢だった。

初回に2点先制した楽天だったが、、先発・古川が3回に満塁弾を被弾。
二番手・戸村、三番手・西宮も精彩を欠き、いずれも失点。

9回表を終えた時点でスコア4-7、3点を追う『完全な負けゲーム』だった。

この状況を一振りで変えた男がいる。

背番号39、下妻貴寛だった。

田中が自慢の快足を飛ばし、相手守備の連携ミスを突く一塁内野安打で出塁。
続くオコエもフルカウント7球勝負を見切り、四球で1塁に歩いた直後の1死2,1塁だった。

代打起用された下妻、ボール先行3-1から近めに入ってきた速球をさばいた。
バッティング・カウントだったため、一発狙っていたかもしれない。
反応良く、ドンピシャのタイミングで振り抜いた弾道は、大きな弧を描いて左翼席へ。

4-7から7-7に追いつく値千金の同点3ランに、対外戦2号一番乗りの3ランになった!

今季は下妻にとっても“譲れないシーズン”だろう。

ここまでの高卒5年で1軍出場はわずか13試合。
与えられた打席も11打席と少なく、1軍でプレーする「まとまった機会」はほとんどない。

そのなか、今季の楽天は捕手2人構想を描いている。
2枠のうち1枠は正捕手・嶋、残り1枠を足立、山下、堀内、(細川)とともに争う図で、このライバル争いから脱落した場合、今季も1軍でまとまった出場数をプレーすることは困難になり、無為に高卒6年目のシーズンを終えることになりかねないのだ。

なんとしても、ライバル争いを制し、自身初の開幕1軍を──
そういう強い意地や執念を垣間見た一撃になった。

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打球角度を上げている?!

マスクをかぶっての守備はイマイチだ。
たとえば、捕手防御率では本戦終了時で、足立1.50(6回・自責1)、岡島0.00(2回・自責0)、下妻8.00(9回・自責8)、堀内4.85(13回・自責7)、山下10.50(6回・自責7)と、足立や堀内に遅れをとる下妻である。

しかし、バッティングではライバルを大きく突き放す2ホーマー。
打撃に定評があり、本戦終えて3安打を放っている山下を上まわる活躍劇だ。

まだ始まったばかりの対外戦の数打席の段階ではあるが、もしかしたら今季の下妻は「フライボール革命」を掲げるチーム方針に沿って打球角度を上げるのに専念しているのかもしれない。

というのは、2軍イースタンにおける下妻の通算GO/AOは1.12。
極端なゴロ打ちでもなく、過度なフライ打ちでもない、ここまでは平均的な打者だった。

ところが、対外戦の5打席は、右犠飛(打点1)、中飛(塀際)、遊ゴ併、左本(打点1)、左本(打点3)とフライが多い。
それも、柵越えまたはフェンス際を襲う外野大飛球が目立つのだ。

この傾向、今後どのような推移になるのか注目していきたいし、典型的なフリースウィンガーの悪癖が改善に向かうのか?にも注視していきたい。

※追記:スポーツ報知の報道によると「今キャンプでは日が暮れるまでグラウンドに残って、ティー打撃を繰り返している下妻。メジャーリーグで主流ともなっているフライを打つ打撃を理想に掲げながら結果を残している」とのこと。やはり、本人も意識しているようです。

(下記へつづく)

楽天のスタメン

楽天=1番・島内(中)、2番・岡島(指)、3番・今江(一)、4番・内田(三)、5番・銀次(二)、6番・八百板(右)、7番・渡辺直(遊)、8番・堀内(捕)、9番・田中(左)、先発・古川(右投)

おみごとだった初回の先制得点

イーグルスが挙げた7得点のうち、「おみごと!」と言うべき得点が、いくつかあった。

たとえば、5回に挙げた4点目もそうだ。
先頭の岡島がヒットで出塁後、臨時代走で1塁に立った島井が次打者・山下の打席時に立て続けに二盗、三盗を敢行。
己の足だけで無死2塁、無死3塁とチャンスを作ると、山下の犠飛でホームに帰ってくる「理想の得点劇」だった。

その4点目と同様、初回の先制点も目を奪われた。
相手先発の球数にしてわずか5球で挙げた「電撃の先制点」。

1番・島内が初球を仕留めて左中間を割るツーベースで出塁すると、2番・岡島も進塁打を意識した初球打ちの二ゴ。
しかし、これがセカンドのエラーを誘って、たちまち無死3,1塁に。
そして迎えた3番・今江の第1打席だった。

今江の当たりは6-4-3の併殺崩れの遊ゴ。
この間、三走・島内が生還し、イーグルスに1点入ったシーンだった。

今江は紅白戦を皮切りに実戦5打席を終わり、いまだにヒットがない。

楽天に来てからの“ミスター8”と言えば「怪我のデパート」状態。
下妻がそうであるように、この人も今季は“譲れないシーズン”のはずだ。

にもかかわらず、「なんだ、ゲッツー崩れかよ...」と思った方、じつはこれこそ今江の面目躍如なのだ。

というのは、、、

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