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Roland/BOSS 『Players Summit』 金子三勇士 Facet Lakeside Concert

10月にローランド公式YouTubeチャンネルにてライブ配信されたオンライン楽器フェスティバル「Players Summit」が、スペシャルライブとして再配信されました。筆者は両方とも観ることができたので、10月の初回配信の記憶を織り交ぜながら書いてみました。

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コンサートのワンシーンが切り取られたイベントの告知画像。素敵ですね、来年のカレンダーにしたいくらいです(笑)


クラシック音楽初心者が、勉強がてらコンサートの余韻を味わう目的で残す、備忘録に近いコンサートレポートです。


プログラム

バルトーク:オスティナート(「ミクロコスモス」 Sz107 第6巻より)
リスト:巡礼の年 第1番「スイス」より「泉のほとりで」
リスト:パガニーニによる大練習曲第3番 嬰ト短調「ラ・カンパネラ」
バッハ:平均律クラヴィーア曲集 第1巻 第1番 ハ長調 BWV.846 プレリュード
シューマン=リスト:献呈 S.566

2020年10月22日(木)配信
2020年12月12日(土)再配信


Roland「Facet Grand Piano」日本初演

このイベントでは幅広いジャンルのアーティストがローランドの楽器を使った演奏をしており、金子三勇士さんの演奏で使われたのは電子ピアノの未来が表現されたコンセプトモデル「Facet Grand Piano」。三勇士さんは今回その初演という、重要な役だったのでした!伝統的なクラシック音楽をコンテンポラリーな楽器で演奏するという画期的な試みでした。

革命的で斬新なデザインですよね。グランドピアノに近いかたちをしていて屋根を開けたら空洞!

10月の初回配信ではチャット機能があり、ローランド公式さん、アーティストのファン、楽器ファンなどが参加していたと想像。そんなピアノに詳しそうな方たちが繰り広げるマニアックな話題に興味津々でしたが、みなさん口々にグランドピアノと音が変わらないことに感心していたようすでした。筆者ももちろん同感でしたし、むしろ電子ピアノであることをすっかり忘ており、単にいつも通りの三勇士さんのコンサート映像を見ている気になっていたため、ハッと我に返った瞬間でした(笑) 

また、このモデルは本来なら今年の「ラ・フォル・ジュルネ」で展示される予定だったのだと、チャットの中でローランド公式さんが教えてくれました。ということは、もしかして次回「ラ・フォル・ジュルネ」が開催されたらお目見えするのかもしれませんね!?


プログラム

演奏前にまずマイクを持ち、このFacet Grand Pianoについてや曲紹介をしてくださる三勇士さんのいつものスタイルに思いがけず安心しました。続く演奏でこの電子ピアノならではの魅力を伝えてくださったとのこと。筆者は映像の作りこみや外装の塗装など(笑)音楽以外の感想ばかりになっていますが、実際にピアノを弾いたり技術的な違いがわかる方たちにはどういう魅力が見えたのでしょうね。

今回、各曲の動画リンクはせっかくなのでローランド公式のものを中心に貼ってみました!


バルトーク:オスティナート(「ミクロコスモス」 Sz107 第6巻より)

コンテンポラリーな電子ピアノに現代的なバルトーク、ぴったりですね!(バルトークは現代で合っているのかしら?)オスティナートのワクワクさせるようなメロディがコンサートの始まりとして、そして最新の楽器から何が出てくるのかという期待感とマッチしていました。

演奏中、ピアノの屋根の端に窓からの光が落ちていて、キラキラと光ってピアノの光沢がとてもきれいに映し出されていたのも印象に残っています。

動画はだいぶ前のものがヒットしましたが、三勇士さん若いですね!さわやか~。


リスト:巡礼の年 第1番「スイス」より「泉のほとりで」

筆者は24時間この1曲だけをリピートし続けてしまうほどのお気に入りなので(笑)、今回はじめて三勇士さんの演奏を観ることができて大感激でした!予想以上に手がクロスしていたり、遠くの鍵盤に飛んでいたり、いつもながら興味深い発見がありました。演奏するときはグランドピアノとどんな感触の違いがあるのでしょうね。

この曲を聴くたびに、リストが恋人と駆け落ちして辿り着いたスイスの湖畔を想像で描いて、ささやかに祝福しています。湖畔の風景や、水面に反射する陽の光、風に吹かれて波紋が広がる様子など、誰にも邪魔されず愛する人と見るすべてのものはキラキラと輝いて見えたのだろうと。特に後半のそのキラキラは、ピアノの音というより水滴のように聴こえる三勇士さんのピアノが気に入っていて、その瑞々しさはFacet Grand Pianoでも再現されていたように感じました。とはいえ、いつかグランドピアノで聴いて、水の音はやっぱりこれだ!と言ってみたいものです。(それ水じゃないです、というオチだったらどうしよう笑)

ちなみに、この曲の動画はないのですよね…(しょぼん)。


リスト:パガニーニによる大練習曲第3番 嬰ト短調「ラ・カンパネラ」

この演奏はゆっくりと静かで、落ち着いていて何か深いものを感じました。そしていつ見ても人間業と思えない指の動きに見入ってしまいます。高速なうえ、鍵盤の上を端から端へと走り回っていて大忙しですね。スローモーションで見たいくらいです(笑)

動画は5年前くらいの三勇士さん。繊細さと情熱の共存が上手に引き出された映像で、楽器と三勇士さんの魅力に陶酔してしまいます。このままミュージックビデオに…と言いそうなところですが、そういえばこれは電子ピアノでしたね(笑)


バッハ:平均律クラヴィーア曲集 第1巻 第1番 ハ長調 BWV.846 プレリュード

作品番号が合っているか自信がないうえ「プレリュード」はどの位置に入れたら良いのでしょう…と、いろいろなところから曲目をコピーしてきていて、まだクラシックの曲目ルールを心得ておらず。勉強中です!

最新の電子ピアノを使って、あえてバロック音楽を弾いてみたいと思ったという三勇士さん。ピアノがこんなにかたちを変えても、作曲家の思いをそのままに再現していくとは、音楽家ってすてきな仕事ですね。

そしてこのシンプルなメロディが退屈にならずに聴けるのはピアニストの技なのではと想像します。シンプルに、美しく、心に残る音楽なんて究極ですね。

動画は三勇士さんの公式から、八ヶ岳の自然豊かなホールで演奏されたものを貼ってみました。いつかこういう夏休み(+コンサート)を過ごしてみたいと憧れながら聴いている動画です。


シューマン=リスト:献呈

10月に初めて見たときの衝撃を忘れられず、待ってました!これがもう一度見たかった!という素晴らしい映像。

場面が一気に変わり、映るのはローランド浜松研究所に作られた浜名湖畔にせり出しているかのように見える広いウッドデッキでFacet Grand Pianoを弾く三勇士さん。遠目にその姿がシルエットのように映った画も素敵ですし、アップで映る三勇士さんのいつもよりカジュアルな衣装も素敵ですし、なにせ演奏するのは「献呈」で、お天気も良く…いろいろな魅力が詰まったところで中盤から登場するドローンによる空撮!クラシック音楽を空から観るというアイデアに驚き(少なくとも筆者は見たことがなかった)、ドラマチックな曲がオープンエアーでいっそうスケールが大きくなり、引き込まれました。感動。かっこいい!

動画はこの「献呈」撮影の裏側が紹介されたスタッフ秘話を貼ってみます(16:00ごろから)。三勇士さんのピアノのバースデーソングに後押しされて、撮影現場でのお誕生日祝いに感動したというカメラマンさんの「音楽のちから」という言葉が響きます。


初回イベントで配信されたもの

10月の時はFacet Grand Pianoが登場する前に、他モデルのプロモーション映像も流れていました。

ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ「月光」第三楽章

映像の作りが本当に素敵です。光と影、躍動感があって楽器も三勇士さんもかなりかっこいい!いいですね~、第三楽章!と音楽に酔っていると、鍵盤のすぐ上になにやらいくつものカラフルに光るものが見えて、電子ピアノなのだと気づかされます。

月明かりの中でのピアノ演奏は、映画『蜜蜂と遠雷』の「月光(第一楽章)」などを連弾するシーンを彷彿とさせますが、むしろこちらの動画の方が先ですね!

この他にバッハの平均律クラヴィーア曲集がもうひとつ流れた気がします。どの曲だったか思い出せず、残念。筆者の記憶違いかもしれませんが…。


最後に ~配信コンサートに欠かせないツール:ノイキャンヘッドホン~

今回の未来型電子ピアノといい、クラシック音楽さえコンサートが配信されたことといい、今年はデジタルを意識する1年でした。コンサートに行けばピアノってそういう音でしたよね!という生演奏の感動などがあるとはいえ、動画やライブ配信の便利さを十分に享受することとなりました。

そこで今回のコンサート(楽器)の未来的なコンセプトにあやかって、配信コンサートを満喫するために重宝しているデジタルツールについて、最後に書き添えてみます。

筆者が使っているのは完全ワイヤレスのノイズキャンセリングヘッドホン(WF-1000XM3)なのですが、配信コンサートを観るときはどんなに部屋が静かでもこれをBluetoothでパソコンやiPhoneにつなげて、音をヘッドホンから取ります。つまり我が家の環境ではテレビより、CDプレイヤー(ワイヤレススピーカー)より、パソコンやスマホにつなげたヘッドホン経由での音がいちばん良いという、ちょっと皮肉にも聞こえますが、それほど頼りがいのある高音質です。コンサートが始まる前など、家の中を動いていても聞き逃すことがないという完全ワイヤレスの便利さもありますが!

そして、前述のように「泉のほとりで」が水の音に聴こえるなど、三勇士さんの卓越した演奏が必要なのはもちろんなのですが、立体感のあるピアノの音を楽しむために、このヘッドホンのイコライザーも大いに役立っている気がしています。

スマホのアプリで管理できるのですが、筆者がピアノ曲を聴くときのお気に入りのモードは「Bright」。これによりキラキラ感が再現され、さらにクリアな音になるのがその下にある「DSEE HX」。

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これはCDなどのスタンダードな音源をハイレゾに匹敵する高音質に作りかえてくれる(アップスケーリング)という技術なのだそうで、そもそも持っていないものが生み出されるって凄いですよね。例えば猫ふんじゃったしか弾けないのに、朝目覚めたらリスト弾けてました!というかんじでしょうね(笑) DSEE HXをオンにするとバッテリーの消耗が速くなりますが、それほど気にならないです。

ちなみにこのシリーズはオーバーヘッドのものもあり、そちらのほうが音が密閉されてより良いのではと想像します。こっちも欲しいのですよね…掃除機の次に…(笑)

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