見出し画像

Official髭男dism FC Tour Vol.2-The Blooming Universe ONLINE -

【ライブ動画・音源を実際のものに更新】初の無観客オンラインライブとなった昨年9月の「Arena Travelers」以来となるFC(ファンクラブ)限定・オンラインのみのライブが開催された。前回はアルバム「Traveler」発表後の全国アリーナツアーの真っ最中、コロナ禍に遭い急遽中断したツアーを、当初の会場で本来届けるはずだった内容に近い状態で体験させるものだった(筆者の前回の記事)。一方、今回は1年以上続いているライブが開催ができない状況下での苦肉の策としてオンライン限定ライブを…と思いきや(!)もともとは事態の好転に期待してFC限定ライブをアリーナでやってしまおう!という壮大な企画であり、さいたまスーパーアリーナという巨大な会場を押さえつつ、有観客か無観客か?アリーナかオンラインか?ギリギリまで検討したものだったのだそう。結果、今回はFC限定ならではの、メンバーとファンの距離がより近く感じられる企画を盛り込み、よりクローズドな空気感を演出したスタジオでの収録になった。

さて、ここでひとつ確認しておく。髭男のライブは総合舞台芸術である。曲や演奏も質が高い。メンバーとスタッフの仲の良く、本当に楽しそうに演奏している表情も魅力。さらにそれらに加えてダイナミックで緻密な舞台演出が次々と繰り広げられる。ビッグアーティストならではの驚くような最先端の技術と斬新なアイデアを盛大に盛り込み、総合的に凄まじい映像作品ができあがっていた。

この記事は、ライブの感動をいつまでも心に残しておきたいという、わりと新しめの髭男ファンが綴る備忘録的ライブレポートです。

セットリスト

1. Second LINE
2. 異端なスター
3. ESCAPADE
4. What’s Going On?
5. コーヒーとシロップ
6. Laughter
7. ゼロのままでいられたら
8. ダーリン。
9. 犬かキャットかで死ぬまで喧嘩しよう!
10. ブラザーズ
11. ノーダウト
12. 発明家
13. Universe
<アンコール>I LOVE...
<アンコール>Stand By You
<エンディング映像BGM>日曜日のラブレター

公演日:2021年4月18日(日)撮影@浦安舞スタジオ

Official髭男ismメンバー
藤原聡 "さとっちゃん" (Vocal/Piano)
小笹大輔 "大ちゃん" (Guitar/Chorus)
楢﨑誠 "ならちゃん" (Bass/Sax/Chorus)
松浦匡希 "ちゃんまつ" (Drums/Chorus) 
ここでは"藤原くん""小笹くん "ならちゃん" "ちゃんまつ" でいきます。

特設サイト

ライブ音源

この記事の動画は余韻にひたるべく、後に公開されたライブのダイジェストからを中心にリンクした。ダイジェストにないものはMV(ミュージックビデオ)から。


The Blooming Universe

今回のライブのタイトル「Blooming flowers」は、最新シングル「Universe」の歌詞にある"野に咲くUniverse"から。髭男は今年、結成9年目。これまでメンバーとファンが歩んできた軌跡、それが花のように広い宇宙に広がっていていて、これまでもこれからも花を咲かせるように残していくひとつひとつの光をイメージしたものだという。そのコンセプトの通り、ファンに聴きたい曲を募集したり、前回同様のオーディオコメンタリーで語られる裏話、ステージもこじんまりとしたライブハウス風から始まり徐々にアリーナ級の広さを感じさせる演出に変わっていくなど、髭男のこれまでの軌跡とその思い出をひとつひとつ振り返っていくようなライブになっていた。


ファン投票によるセットリスト

今回のライブの特徴はファンとメンバーが聴きたい曲を投票するという、ほぼオール・リクエストなセットリストであったこと。50曲以上あるという髭男の曲の中から、ファンが選んだのは全体的に古いものが多くメンバーは驚かされたという。その結果、すべてのアルバムから1曲づつ選んだかのような、新旧バランスの取れたセットリストになった。筆者にとってメジャーデビュー前の曲はそこそこまでしか遡っていないため、新しい出会いもあった。昔からのファンや、遡上をコンプリートしたファンにはどんな思い入れがあったのか、どんな記憶を思い出しながら聴いているのか、想像するのも楽しいものである。

結果として、ファン投票の上位5曲はこちら。(ライブ特設サイトより)

投票結果_credit

筆者は「ブラザーズ」「Laughter」「Stand by you」あたりで大いに迷って1曲に絞り切れず、最終的に勢いで「ブラザーズ」に投票した気がする。記憶が曖昧になるほど突発性に頼らざるを得なかったという、生みの苦しみを味わった(笑) 結果的には投票したものだけでなく迷った3曲すべてセットリストに入り、喜びもひとしおである。ただ、メジャーデビュー後のヒット曲はきっと何も言わずともランクインするだろうと高を括っていたら、ごっそり抜けたという!しまった、当たり前に聴けると思ってた・・・と筆者と同じ考えのファンも相当数いたのではないかと推察する。

以降、曲のタイトルに【順位】または【選んだメンバー】をつけて投票結果をひとつづつ残していく。

音と映像のクオリティ

この先の記事が楽しみになればという思いで、はじめにこの動画を。今回のオンラインライブの映像だけでなく高音質へのこだわりを説明しているもの。これまでになく多方向から音が聴こえて、まるでそのホールにいるかのようなより一層の没入感が味わえる技術を使っているとのこと。近くの音は近く、遠くの音は遠く、カメラとリンクしてその画が見える位置ではどの音が大きく聴こえるか、音楽以外にどのようなノイズが聴こえるかなどというところまで細かく仕組まれているという!


Second LINE【松浦選】

ライブの1曲目はドラム・ちゃんまつがリクエストしたさわやかで疾走感ある曲。この曲でライブのスタートダッシュを切るのが爽快なんだという。待ちに待ったライブが幕を開けた高揚感がたまらないし、その喜びをボーカル・藤原くんのめいいっぱいの声量で発散する。ちゃんまつのドラムが一段とイキイキして見える。

この曲の由来はアメリカ・ニューオリンズ発祥の、その名もセカンドラインという音楽のジャンル。そのセカンドラインのビートを継承し、タイトルもストレートにそのまま。髭男の音楽は深い。J-POPの王道のようなバンドでありながら、ソウル、ファンク、ジャズなどアメリカ音楽の造詣が深く、本気で盛り込んでくるところが筆者のようなオトナをもグイグイ引き込む所以である。

オーディオコメンタリーで、メジャーデビューの直前に作った曲だと聞いた。メジャーデビューは3年前の「ノーダウト」(2018年)。そこから3年間、勢いが衰えることなくヒットチャートのトップを走り続けている髭男。ヒットを飛ばすことじゃない、3年間もヒットを飛ばし"続ける"ことが神業。向かうところ敵なし、という言葉を想起させる。


異端なスター【3位】

現在のレコード会社の担当者がこの曲をラジオで聴き、髭男を発掘したことがメジャーデビューにつながったのだという(この曲は2017年のミニアルバム「レポート」に収録されている)。藤原くんがオーディオコメンタリーで言っていたが、リード曲でもないこの曲で髭男のポテンシャルを見抜いたプロの技たるや。しかしこのキャッチーなメロディーが突然ラジオから流れてきたら、筆者も二度見するだろう(二度聴き?)。

ファン投票では第3位。この曲はリズムに合わせてメンバーと一緒に踏むサイドステップがなんとも楽しいものであり、ライブで楽しみたい曲だ。投票してくれた方どうもありがとう!な1曲。サポメン(サポートメンバー)も後ろでノリノリで演奏しながら思いっきり歌っていたりするんだとか。弾き方がかっこいいと言われるならちゃんのベースが、今日もこの心地よいリズムを作る。体を動かさずには聴けない曲だ。

オーディオコメンタリーによると、藤原くんのハイトーンボイスはこの曲の高いキーで鍛えぬいたものだという。前回のオンラインライブでCDと今の歌唱力の違いに気づくものがある(=成長がみえる)と語ったが、ここにいる天才も努力家だった。


ESCAPADE

ファン投票ではベスト5位には入らずとも第6位だったらしい。筆者としてはこんなに人気な曲だとは意外だった。たしかに耳に残る。ボーカルの見事なリズム感。髭男らしい心地よいグルーヴが体に残る。一度聴くと一日中リフレインしていたりする。

ここで始まる派手な舞台の演出に引き込まれる。スピード感あるドローンカメラの映像が本当にかっこいい!七色の光がダンスをしているような照明が素晴らしい。前曲までのライブハウス風から一転、アリーナ級のスケールを感じさせるステージ。


<MC>

ずっとライブが開催できなかった数ヶ月を過ごし、ファンに話したいことが募っていたということで、今回のライブのMCは長め。しかもFC限定であり、セットリストは懐かしい曲ばかりということで、ファンと思い出を語るカジュアルなおしゃべりのようなものだった。


What’s Going On?【2位】

王道ポップで明るくキャッチーなイメージのある曲が、今回はロックアレンジ。(筆者の中でそう呼ぶ)青春のJ-POPバンドど真ん中というようなエネルギーに溢れた曲。MV(ミュージックビデオ)が特にそのポップさを感じさせる。が、しかし!この日まで気づかなかったその歌詞のインパクト!

実は筆者はここ数年ジャズやクラシックといったインストゥルメンタルしか聴いていなかったところに、あまりに只者じゃない髭男という怪物が侵入してきてポップスも聴いているだけで、音楽はリズムとメロディで9割満足してしまっている(筆者の中では髭男とは新たなジャンルだと思っている)。さらには残念なことに年齢的な問題で甘酸っぱい青春ラブストーリーは刺さらなくなってきており、歌詞はたまたま耳に止まったフレーズだけ味わっていた。

そんなポップな髭男からこんな痛々しい社会問題が生々しく歌われていたとは思いもしなかった。

”どうして人は言葉で人を殺せるようになってしまったんだろう 画面から飛び出した文字はナイフみたいだ 過去にもこうやって人生めちゃくちゃにされて 大切な仲間が1人 命を絶ってしまった”

世知辛いこの世の中に無防備に放たれることになった危うい優しい人たち、できるだけ多くの人にこの曲が届いてくれたらと願ってしまう。


コーヒーとシロップ【4位】

歌詞が衝撃的だった「What’s Going On?」に引っ張られて、この曲の歌詞が次々飛び込んでくる。「嫌なこと全部飲み干して」「その場をただただやり過ごして」「君は平気なんだろうか?」今も昔も存在する、どの世代でも共感できるモヤモヤである。

これを引き合いに出すのは適切ではないかもしれないが、青春と大人の間での葛藤を描いたMr.Children「イノセントワールド」が出たときの衝撃を思い出す。理不尽な社会に気づいていてもそこに同化していかなければならないことがある。それが大人になるということかもしれない、というメッセージ。共感するファンが多いのかもしれない。


Laughter【小笹選】

最初の1音でこの曲だとわかる。UKロック感のある沈むギター音のイントロは、突然会場の雰囲気をガラリと変える大物の風格を感じる。心を掴む印象的なイントロから、休むことなくサビまで一気に感動的な展開を見せるとにかく美しい曲。小笹くんが”作りたくても作れない授かりもの”と表現するほど、メンバー全員もガチハマり曲だという。筆者も奇跡的な名曲だと思っている。その感動を後押しする藤原くんの心の奥から絞り出すようなボーカルが何度でも胸を熱くする。

ステージではドローンを使ったドラマチックな映像、明暗の両方を表現するような照明。筆者には特に照明が印象に残った。髭男メンバーひとりひとりに当たるスポットライトはまるで映画のような質感、ラララのコーラス部分でめいいっぱいに注がれる光の筋、どれも美しかった。

ここでFC限定ライブならではの貴重なエピソードの紹介が。この曲の原曲となるメロディはだいぶ前、上京したころからあり、当初は「信頼」というタイトルだったという。藤原くんはこれを歌う時は人格が変わっていると思うくらい、ロックアンセムというようなこの壮大な曲に対する思い入れは強いのだという。


ゼロのままでいられたら【1位】【楢崎選】

青春真っただ中にはそれはそれは刺さるであろうと想像する曲。筆者が中高生のころにこの切ないラブソングに出会っていたらどう聴こえていただろう。だいぶハマっていたんじゃないかと妄想する。

ならちゃんが選んだ理由は、デモ段階から気に入っていた昔の曲だが、また今のメンバーで演奏してみたい曲だったのだとか。この曲をランクインさせるために自身のラジオ番組で裏工作したという疑惑が残る(笑)


<MC>

懐かしいナンバーが続き、これまで髭男が歩んできた道を振り返る長い長いおしゃべり。衣装のことや一緒に住んだりしながら曲作りをしたエピソードなど、昔からのファンにはたまらない話題だったであろう。


ダーリン。【藤原選】

ステージには夕日のような綺麗な暖色のライトが混ぜられた。

髭男のメロディはどれもこれもキャッチーだ。噛めば噛むほどの名曲といわれる素晴らしい音楽も存在するが、髭男は噛んだ瞬間にドカンとうま味がする。たとえば誰かにこの曲いいから聴いてみてよ、とおすすめしても前者だとたいていリアクションは薄い。髭男はみんなにおすすめしたくなるし、気に入ってもらえる自信すらある。

この曲はこれを聴いてくれる人たちを想って作ったものだったためにファンクラブのみんなへの感謝も込めて歌いたかったという藤原くん。そして歌いなおしたかったと。というのもこれをレコーディングしたころはまだ上京前で音楽環境も今ほど整っていなかった時代。一般的に歌入れは1日に2~3曲なことが多いが、この時は1日に4曲くらいレコーディングしており、さらにこの曲はその1日の最後に録音されたもの。よく聴くと疲れが出ていてしんどそうだと語る。”それも味だね”と言っていたというメンバーの優しさにきゅんとしつつ、筆者はこれで謎が解けた気分だった。前回のライブレポートで”ボーカルは何年か前から比べると、断然なめらかで伸びがあって磨きがかかっている”と表現したのだが、ボーカルの成長の裏には“元の方が実力が十分発揮できていなかった”という事実!それは差が開くでしょうね(笑)そう聞くと特に最後のフレーズ「こんな”せ”かいも悪くないでしょ?」の”せ”の音なんてもう、その苦しさが愛おしくてたまらない(笑)


犬かキャットかで死ぬまで喧嘩しよう!

赤と青が代わる代わるステージを照らす照明は、犬とキャットを表していたという。スタッフの緻密な仕掛けに拍手。

この曲といえばキャット派で有名な小笹くんのニャンニャンポーズが見どころである(笑) ただし、ついニャンニャンに気を取られがちだが、この曲の小笹くんのコーラスはその歌唱力に気づかされる見逃せないものである。髭男はコーラスは録音じゃないことに驚かされる。ならちゃん・ちゃんまつも含め、メンバー全員がソロで歌えるくらい歌えるのである。心なしか、いつも真面目顔の小笹くんが楽しそうにコーラスしているように見えた。小笹くんのキャラについて個人的に思うのは、オーディオコメンタリーなどではドカンと笑えるネタも入れてくるのだが、メンバーのおしゃべりを締めるところは締め、なんだかメンバーの中でひときわ大人に見える。そして音楽に対して真面目で熱い印象を受ける。

ちなみに、歌詞は自身の体験に基づくのかと聞かれることについて以前どこかで藤原くんが言っていた。本人の体験はほぼないのだという。当然、犬かキャットかで喧嘩したことはないらしい。


ブラザーズ

ここで急に「ホストが入室を許可しました」というポップアップが画面上に表れる。パソコンで鑑賞していた筆者は画面がトラブルを起こしてしまったのかと焦り思わずGo(入室)ボタンをクリックするというボケをかました。しかもそのクリック後、ZoomやTeamsなどのオンラインミーティングシステム風に画面が9つに分かれたため、なにやら大変なことをやらかしてしまったんじゃないかという絶望感を3秒ぐらい味わった(笑) あとで冷静に見てみるとそのポップアップ画面はMacのものであり、己のパソコンは20年来Windowsである(笑) サポメン含めて9人全員をそれぞれ固定カメラから映し出し、コロナ禍で大活躍だったテレワーク環境を模倣するこの案は髭男メンバー発信だったという。世界中が苦境に立たされた時間をエンターテインメントに変えようという、最新で粋なアイデアが光った。アーカイブで何度も巻き戻してそれぞれ9人の動きを全部見たくなる映像。実は10人目の"You"があったことは後にネット記事でカンニングした。もっと配信期間が長ければ、何度も巻き戻して見たかった。

そしてこれは筆者が投票したブラザーズ!!ライブといえばこれを聴かないと物足りないのである。ホーン隊がいいのですよね。ならちゃんの炸裂するサックスは必見、本当にかっこいい。本人もこのサックスソロを気に入っているらしいが、万が一ご存じない方にお伝えしたい。ならちゃんはそもそもサックス奏者であり(お父様がサックス奏者だとも小耳に挟んだ)、大学ではサックスを吹いて音楽教員を目指したような人。上手いのだ。そういえばこの曲でならちゃんが吹いていたサックスが大きいのだが、バリトンサックスだろうか。いつもこれでしたっけ??

ならちゃんはベース・サックス・キーボードをこなし、歌唱力もある。さらにその明るく人懐こいキャラクターを発揮して、ラジオ番組のMCをするほどトークも抜群。音楽的にもキャラ的にもバンドマンとして最強。ならちゃんがひとりいるだけでもうそのバンドは勝ちでしょう(!?)と、つい熱く語ってしまうほど、筆者の推しメンである。

ちなみに、この曲に登場する”粋なザック”は、駆け出しの髭男のお手伝いもしてくれていたという小笹くんのお兄さんのことだというのは有名な話である。


ノーダウト

ブラザーズからそのままつながるノーダウト!藤原くんは”アホアレンジ"と呼んでいたが、毎回ライブでみせる大胆なアレンジは今回ノーダウトに。前回は「夕暮れ沿い」のビッグバンドに度肝の抜かれたものだが、今回なんとスカ!ブラザーズから続く熱いホーン隊がさらに熱気あるスカのリズムを作って、これはかっこいい!大興奮。髭男のライブアレンジは必ずひとつは筆者の好みのど真ん中をついてくるので病みつきになる。曲に集中していて小笹くんのコメンタリーを聞くまで気づいていなかったが、打ち上げ花火のように光の筋を作っている照明が気分をより高揚させる。この照明が普及したらいいのに、と思うのは美しさだけなく、最近話題のSDGsが頭によぎるからである。花火よりエコな気がする!?

ちなみに、意外なことにちゃんまつが想像以上にスカが上手いことが発見された記念の日にもなった(笑)


発明家

ブラザーズ→ノーダウトからノンストップでつながる発明家!!アツアツの熱気はまだまだ続く!ライブで演奏するのはメジャーデビュー後は初めてだったようで、さらに生ブラスでは初めての演奏とのこと。

この曲の冒頭もそうだが、天を仰いで大きく手を伸ばす藤原くんのアクションが気に入っている。その手で何か大きいものを掴んでほしい。掴み続けて欲しい。そして手がきれいだ(笑) 

ならちゃんがいつのまにかホーンセクションの立ち位置におり、完全に同化(笑)。"ステージの前に立つ人オーラ"をすっかり消して、サックス奏者として粛々と仕事している。メンバーがサポメン側に行ってしまうという、ならちゃんのキャラがなんとも愛おしい。


Universe【5位】

最新のシングルということで、これが初ライブとなる曲。投票しなくても入っているだろうとのんびりしていたが、5位に上がるほどの投票があったということに驚きだっだ。再び、投票してくれたファンに感謝!筆者はこの曲が映画「ドラえもん」とのタイアップだったため甘く見積もっているところがあったが、初めてフルで聴いたとき衝撃だった。新曲が次々と好きな曲No.1を更新していく感。これでもか、これでもか、と名曲が湧いてくる髭男の音楽のポケットが宇宙(Universe)のように無限に深い。

ステージではちょうどこのツアービジュアルに似た、斬新なカメラワークが。360℃カメラと魚眼レンズが合わさったような球体で、こちらがスノーボールの中から見ているような視点。こんな映像、どうやって作るのだろう!そしてクレーンを使った奥行きあるダイナミックな映像は臨場感がある。ドローンカメラも駆使し、高速でのズームイン・ズームアウトは迫力がある。よく見ると時々猛スピードでステージの真ん中を横切っているドローンが見える。これまでになかったカメラアングルを今まさに作り出している瞬間である。

画像2

ちなみに、筆者はこの曲がリリースされたときにTwitterで知った”Stem Player”というWebコンテンツがある。ボーカルや各楽器ごとに音を聴くことができるという、これはもう無料で公開される”遊び”というレベルではない、それぞれの楽器に興味をかきたてられる遊び。他に「HELLO」「I LOVE...」があることに、たった今気づいた。



<告知>

ここで差し込み映像が入り、次のライブについて大発表が。6月の横浜、9月からは1年ぶりの振替公演となる全国ツアーが決定。有観客ではあるが、当面オンラインとのハイブリッドになるという。

そしてここでちゃんまつのかくし芸(笑)。オーディオコメンタリーで拾ったちゃんまつのエピソードをひとつ入れておくと、前回のオンラインライブのBDを知り合いにプレゼントしたいと思い、せっかくなら特典のクリアファイル付きにしようと。そのクリアファイルをもらうために、自分でTSUTAYAに買いに行ったのだという!最近だんだんとちゃんまつのおちゃめなキャラがわかってきた気がする(笑)


<アンコール>I LOVE...

まるで宇宙の星たちのように、いろいろな大きさの光がランダムに配置され、その光の粒が空を浮遊していたり降ってきたりしているように感じさせる美しい照明。天井の高さがその星空をよりリアルに感じさせる。

そういえばオンラインライブでは観客の拍手がないことで、アンコールでいったん舞台袖にはけてから再登場したり、その際お決まりのツアーTシャツに着替えてきたりしない。その代わりに小笹くんやサポメンがツアーグッズのタオルをギターのネックやマイクスタンドなどに下げてたりしてアピールしていた。単に一発だけのオンラインライブではなく、グッズを用意したり、有観客のものくらい細部まで作りまれたライブであったことを物語る。


<アンコール>Stand By You

何回聴いてもこのイントロのピアノソロが大好きだし、歌唱力は言うまでもなく、このリズム感が羨ましい。

ファンには待望の「タンタンタンタン タタタタタタタタ」である。同じリズムの中で手拍子だけがエスカレートする例のやつ。ライブといったらこれやりたいですよね、というメンバーと観客との一体感を楽しめる曲。

オンラインライブではメンバーがカメラで抜かれたとき自然な笑顔を向けているが、これは付き合いの長いカメラマンだからこそであり、たとえばテレビなどでは同じようにいかないのだとか。髭男はライブだけでなく、MVも同じ監督・カメラマンなのだそうで、和気あいあいとしたナチュラルなメンバーの姿が見られる秘訣のようだ。


〈エンディング映像BGM〉日曜日のラブレター

前回のオンラインライブと同じく、最後はこの曲でエンドロール。日曜の夜のライブが、憂うつな月曜の朝への背中を押してくれる。



プレイリスト

今回のセットリストで構成された各種サブスクのプレイリストが発表されたのでリンクを貼っておく。


最後に

1年以上ライブが行えない状況を経て、ライブとは当たり前に簡単に開催できるものではなくなった今日。その分、開催するからには楽しんでもらいたいというアーティストの想いと、せっかくの機会を楽しまないと!という観客の想いがいつも以上に”密”であるようだ、と語るメンバー。

この1年あまり、制限や我慢の連続でつらいことや悲しい思いもしてきた。ここでそれを取り返す、それどころか「お釣りをもらいにいこう!」という藤原くんのメッセージが印象的だった。オンラインライブは有観客のそれをただ映像に残しただけではない。オンラインが強みとなる演出に創意工夫を発揮しようというメンバーやスタッフの想いが伝わってくる。

今回もまた素晴らしい総合舞台芸術だった。数ヶ月後にはじまるライブツアーではどんな知恵と技術が現れるのか、楽しみである。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?