【大人のファンタジー小説】マッチ売りの女の子(第七話/最終回)
Part7 伝説の女
ランタンの炎が消えて、あたりを見渡すと、福富町仲通りはすでに明け方でした。真冬の寒さは確かに堪えましたが、あれほど降っていた雪はすでにやみ、結局は積もらずにすんだようです。救急車かパトカーか、あるいは消防車なのかよくわからないけれど、グランピングテントのなかで微かに聞こえたサイレンはけたたましい音に変わり、近くでリアルに鳴り響いています。梨々子はどこかで自分が行き倒れているのではないかという不安に襲われ、動悸が激しくなり、呼吸が苦しくなりました。今こ