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詩|夜明けの橋

君の家に泊まった日の朝は

いつも夜明けに家を出る

夜明けに発たねばならない君と

少しでも一緒にいたいから


君の家と

私の家

その間には、ふたりを隔てるように

大きな大きな川がある


私はいつも

その大きな川を渡らなければならない

いつもの夜明け

いつもの時間

いつもの景色が見える


夜を残して

空は朝へと近づいていく

名前のない時間に

私たちはひっそりと別れる


薄暗い空のカーテン

すそだけが

ほんのり赤く染まっていく

風の強さもなく

やさしい速さで

大きな川は流れてゆく


薄くのこった白い三日月が

私を追いかけてゆく

白い川に反射する輝きが

私についてゆく


時間を止めてしまいたいけれど

いつか夜明けは終わり

白い三日月はかすれ

白い川の輝きも消えてゆく


夜明けの橋よ

いとしい橋よ

あなたをずっと

憶えていたい



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