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働き方改革再考④ ~コロナ禍と働き方改革~

①の冒頭で触れたようにH29夏に文部科学省が、働き方改革の緊急提言を発出しました。ちょうど学校長として、中核市の小学校を預かるようになって1年目の夏のことでした。働き方改革、もっと根源的には、豊かな働き方ということが自分の人生の中で、ライフワークのような大きなテーマだったこともあり、文科省、国がここまで言うのかという思いを持ちつつ、大きく頷きながら読んだことを覚えています。その中にあった「教員が授業や授業準備等に集中し,教員が健康でいきいきとやりがいをもって勤務でき,教育の質を高められる環境を構築することが必要である。」というフレーズは至極もっともに感じられた。そこに指示された内容が文字通り進んだらという淡い期待を感じながら、その緊急提言を読み込み、できる限り実行してみたいと思った。

あれから5年…。 

⭐️ 働き方改革の緊急提言発出後    ※🔽は、コロナ禍の年度

H29 年度(2017)
H30 年度(2018)
🔽H31-R1 年度(2019) 2020年3月2日から臨時休コロナ緊急対応
🔽R2 年度(2020) 
🔽R3 年度(2021)
そして、
🔽R4 年度(2022)に至る。

2020年3月2日から春休みまで(その後も休校期間は延長されます。)全国すべての小学校、中学校、高等学校、特別支援学校が、安倍晋三首相(当時)の突然の要請で臨時休校することになりました。それからの学校は、コロナ禍における緊急対応に追われ、今までとは全く異なる日常を送ることになりました。平たく5年といっても、2019年~今年度までは、コロナ対応にも翻弄された日々であったことは、働き方改革を考える上で割引かなくてはならないかもしれません。

しかし、そのコロナ禍には、通常であれば到底実証する機会を創り出すことすら難しい体験をすることになりました。

●通知表の停止
●分散登校による児童、生徒数を半分近くにする
●40分授業で設定された日課(下校時刻もかなり早まりました。)
●大胆に縮小した運動会 小学校においては、学年ブロック運動会
●半日日程の運動会
●できる限り練習時間をかけない卒業式
●掃除なしの日課(子供が掃除をしない学校 等々

この体験は大変貴重な経験として働き方改革にも繋がる実質的な知見を得ることになりました。ここで見えてきた教育活動をダウンサイズしても学校が運営可能であること、縮小した行事の持っていた意義や意味を改めて問うことになりました。

今後、コロナ対応から学校が解放されていく時に、教育活動を無闇に元に戻すことではなく、こうした体験を活かしてポストコロナの学校を作り出さなければなりません。

それとともにH29に文部科学省が、働き方改革の緊急提言に立ち戻り、そこで示されたことがどこまでできているのか、行政の責務として担うことも多くあると思いますが、現場(時に学校ごとに連携があっても良い)が先行して取り組めることは、学校長の裁量として取り組めることはあるのではないでしょうか?大きなことではありませんが、私も複数教育行政の動きを待たずに取り組んでいったことがありました。現場発信でもできることは何かあると思います。

⭐️学校独自で取り組んだこと⭐️

①時間外在校時間を記録、分析することが、1丁目1番地として緊急提言の翌年に自作でエクセルシートで時間外在校時間を記録できるシートを作り、学校での時間外在校時間のデータを記録し始めました。(校長としての首を絞めるようなことでしたが、教職員が身を守ることにつながるのだから、過少申告にならないよう正確に記録することを求めました。)

②少し時間を要しましたが、学級会計業務は、公金を扱う業務に従事してきた事務職員と校務を担う職員にお金の取り扱いは全て移管して、先生方が集金額を数えたりする業務から解放しました。

③留守番電話システム導入前にその趣旨を学校便りで周知し、18:00以降の電話を控えるよう保護者に依頼をしました。

④提言の翌年から校務分掌に「働き方改革委員会」、校務支援チームを創設。

⑤現在のスクールサポート動き出す前に、サポートとして、校務支援チーム(教務、事務職員、用務員、養護、級外)に依頼書を書き、担任が業務を依頼できる体制を作りました。

全てがスムーズに動いたわけではありませんが、時の教育長、学校教育部長には、現場発信でできることをさせて欲しいと願い出ていました。その後、①③については、教育行政がシステムを導入し環境が整いました。

何かをつき動かすには、必ずと言って良い程ハレーションのようなことも伴います。それでも、理念を持ち、筋を通してできることはあると思います。学校長、教頭先生も横のつながりを持ち、いくばくかの勇気を携えて改革を目指していきたいものです。とはいえ、そのことを考える暇(いとま)もない程、極まった日々であることもよく分かっているので、周囲からも応援していきたいと思っています。

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