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停滞する”働き方改革” 乾いた雑巾をさらに絞るには…⁈

現場の本音 校長の嘆き

校長会で、働き方改革に関わる役割を担っている校長先生と話をする機会があった。

「校長先生、最近の働き方改革はどうですか?」
「もう、すでに現場でやれることはやり尽していて、人員増員、超過労働時間、教育課程の見直し、業務削減…など働き方改革、業務改善について文科省、教育委員会が道筋を示してくれなければ、働き方改革は進まないと思います。」

こんな内容のやり取りだった。このように感じている校長、そして教頭をはじめとした教職員は相当多数いると思う。私もまさにその通りだと思いながら現場を預かってきた。

教育行政の動き 教員の処遇改善策を巡って

昨今、公立学校で問題化している教員の長時間労働を解消するため、中央教育審議会に、教員の処遇改善策を検討するよう諮問するなど教員給与特別措置法(給特法)の見直しなどが議論されていることが報じられている。

学校現場が少しでも救われるのであれば、こうした動き自体は、歓迎したい。

想定される学校の未来

報じられる処遇改善もありがたいと思うが、実際には教員の給料月額4%の「教職調整額」の支給率をあげるということよりも教員定数の見直し、人員増員、非正規教員の比率是正、業務軽減を柱として時間内に授業準備ができ、きちんと就業時間が守られ、休憩時間が取得できるなど労務環境をととのえていかなくては学校現場の課題は解決されるとは思えない。

さらに言えば、こうした動きが進んだとしても玉虫色の改革がなされるとも思えず、期待をする文科省、そこに連なる県教委、市町村教委の動きが迅速とは考えにくい。(杞憂であれば幸いだが…)

乾いた雑巾を絞る

そう考えてくると、働き方改革に停滞感を抱き、やりつくし感のある学校にあって、先のような報道を目にしながらも学校現場が、乾いた雑巾を絞り続けるような取り組みを進めていかざるを得ないように感じてしまいます。

”乾いた雑巾を絞る”のは、ただ事ではありません。
それでも考え続けなくてはならない時に、妹尾昌俊さんの記事がヒントにならないだろうか?

どうしていくか、重要課題3点
看過できない実態、相変わらず忙しすぎる教育現場をどうしていけばよいだろうか。
例え話を少々。医師は患者のどこが悪いのか、病気の原因は何か、検査したり診断したりして、原因を推定する。そのうえで、薬を出したり手術をしたりする。学校の働き方改革でも、必要な第一歩は「診断」なり原因分析だ。
ところが、かなり多くの学校、教育委員会などでは、在校等時間が長いとか、平均値が多少短くなったことしか注目しておらず、多忙の内訳、要因についてほとんど分析できていない。そのため、思いつきの施策とみられる活動が広がっている。ノー残業デーや会議の見直し、部活動の休養日の設定などはしているものの、それらだけで十分に過労死ライン超が多い職場を変えていけるわけがない。診断せずに執刀する手術医のようなものだ。

東洋経済2023/05/23
執筆:教育研究家 妹尾昌俊
東洋経済education × ICT編集部

この記事は、昨年実施した「教員勤務実態調査(令和4年度)」の結果(速報値)を今年度4月末に文部科学省が公表した結果をどう活用していくべきかについて考察されたものだ。

多忙化の原因・内訳・要因の分析 

働き方改革へ向けての提言がなされた後、学校では、ノー残業デーや会議の見直し、部活動の休養日の設定、勤怠管理などの取り組みが進められてきました。そうして手立てには、確かにやりつくし感を否めない。
ただ、妹尾氏の記事にあるように学校現場が、その多忙になる原因・内訳、要因についてほとんど分析できていないという指摘は的を射ていると思う。

管理職として、学校を預かっていた際にも感覚的には、多忙化の原因・内訳・要因を感覚的に捉えて対応を考えてきたものの分析することはできていなかった。思いつきの施策から脱却するためにもサーベイ・フィードバックといわれる手法を取り入れて見つめなおしてみる必要はあると思う。



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