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第1回伊豆高原ひとり旅⑧
2014年春。初めてのひとり旅。
最後に行ったのは城ヶ崎海岸ピクニカルコース。
前回書いた、伊豆四季の花公園のすぐ横から、海岸沿いを歩けるコースがあるのです。
見えるのは、木と岩と海。
波と、風と、虫の音。
潮の香りが心地よい。
小さい頃に、来たことがあるらしい吊り橋。
なかなか怖かった。
とにかく景色がいい。
トトロに出会えそうな森の中。潮の香りと、木や土の香りで、いろんな記憶が蘇る。物心つく前から小学校を卒業するまで毎年行った伊豆の海。ひとりで何時間も過ごした近所の公園の秘密基地。横浜や東京の海の香りでは思い出さなかったのにな…。静かで落ち着いた2日間を過ごすことで、小さな刺激に敏感になって、記憶も柔らかくなったのかも。
いろんなものが、麻痺していた自分に気がついた。ひとり旅、クセになる。
旅を終えた翌日、ずっとうまくいっていなかった舞台の稽古に行った。演出家に、“なにがあったの?憑き物が落ちたみたいだよ”と言われた。旅に出ていた2日間、芝居のことなんて少しも考えなかったし、自分では何も変えたつもりはない。でも、旅に出たことをきっかけに、それも違うこれも違う全部違う全然良くない!って言われることが全くなくなった。
なにがどうなったのかよくわからないけど、これから先、行き詰まったら旅に出よう、と心に決めた。
はじめてのひとり旅。よい旅だった。
尾道絵菜
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