河野裕子・永田和宏『たとへば君』『家族の歌』
歌人夫婦(河野裕子・永田和宏)の40年間の相聞歌集『たとへば君 四十年の恋歌』と、家族(全員歌人)のリレーエッセイ『家族の歌 河野裕子の死を見つめて』。
高校の国語の教科書にも載っている表題歌。毎回授業の頭に、俳句やら短歌やら詩やらを紹介しているのですが、このお二人の相聞歌は生徒達のウケも良く、何回か連続で紹介することが多いです。
~たとえば君~
二人が出会った時裕子さんには恋人がいた、なんてエピソードを付け加えるまでもなく、生徒達にはハッとさせられる一首のようです。
~君に逢う~
逢うと遭うが効果的で、「君と出会って見方も考え方もすべて変わってしまった」なんて言って(言われて)みたい高校生の心を掴みます。
大学時代に出会った二人は、結婚し、裕子さんが乳ガンで亡くなるまで添い遂げます。歌人夫婦ならではの相聞歌集で、発病後は目の前にある「死」が当たり前のことのように詠まれていきます。裕子さんは、死の前日まで詠み続け、夫和宏さんと娘紅さんが最期を看取りました。
永田家は皆が歌人という珍しい家族構成。「歌なら本音がいえるから」との裕子さんの発案で始められた、死を挟んだ二年間の家族のエッセイ集『家族の歌』も、様々な切り口で生徒達に紹介できそうな一冊です。エッセイに添えられる短歌がより心に染み渡ってきます。