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副会長夏井いつきのライフワークである「俳句の種蒔き」活動。その中で出合った俳句をご紹介し…
副会長夏井いつきのライフワークである「俳句の種蒔き」活動。その中で出合った俳句をご紹介します。 春の虹犬は玄関見つめてる 誰かの帰りを待っている犬か。あるいは戻らぬ人を待つ犬か。開くことのない玄関を飽きずに見つめている犬の姿を、後ろから眺めている作者が居る。「春の虹」は淡く消えやすく、色が揃わないこともある虹。そんな日を、静かに佇む犬の姿からは、飼い主と犬との信頼を通わす日常も見えてくる。出来れば、もうすぐに玄関を開けて帰ってきて欲しい。「ただいま!」と。 ~2024年
副会長夏井いつきのライフワークである「俳句の種蒔き」活動。その中で出合った俳句をご紹介します。 菊の茎切る淋しくて寂しいよ 上五、いや上七か。回文もどきのような言葉遊びのような歌い出しである。一瞬、諧謔の句かと思わせ、中の五、下五の「さびしい」の畳みかけ。意表を突かれる。同時に、「淋」「寂」の連続にも胸を突かれる。ふたつの漢字を使うことで、「さびしさ」の地平の隅から隅まで行き渡る「さびしさ」。具体的なことは言わない。いや、ほんとうの心の衝撃は具体的な言葉をもてないのだろう