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世界観

いいアーティストって「悲しい」
という言葉じゃない言葉で悲しさを
表現するでしょ。

じゃあ、その言葉でも
足りないときはどうしたらいい?
音がある。

この音がね、
言葉じゃ伝えられないものを
感覚的に伝える役割を果たしてる。

これが世界観を形づくっている
ものだとおもうんだ。

まぁ、曲から先にできる人、
歌詞から先にできる人、
両方同時にできる人。
それぞれいるとおもうけど、
今回は一旦置いとくね。

世界観の話だけど、
ずっと興味があってね、
注意してみてたことがあるんだ。それはね、

大好きな人たちの世界観のつくられ方。

例えば、サカナクションの山口さん。

彼はとにかく一つの曲で
何百パターンもの歌詞を書くことが
あるんだって。しかもね、
イラストレーターでかくんだよ。
パターンを試して、試して、、ああでもないこうでもないして、フォントを変えた時にぱっと、曲が完成することがあるんだって。
これが世界観だよね。

建築や広告の人なんかも
わかるんじゃないかな?この感覚。
コンセプト文。ステートメント。
フォントが、背景とはまるで違う住人の時は、入居をご遠慮するでしょう。

あとはね、映画監督の押井守さん。

彼はレイアウトはするけど絵は描かない。
じゃあどうやってチームと世界観を共有したらいいだろう?

答えは旅。一緒に旅をするんだって。

そのとき見た風景で、世界観を共有するんだってさ。いくら言葉で描写しても伝えきれない感覚ってあるよね。

僕が学生の時の話で悪いけど。
割と大きな建築の展覧会に出品する作品をつくってるときに助けてもらった友達がいるのね。

卒業後は、一緒にアメリカ横断の旅に出た。

一か月っていう少ない期間だったけど、
僕らには壮大だったよ。

きっとね、また一緒に何かをつくりたいから、僕らは世界観を共有しに行ったんだとおもうんだ。

この話もすごく面白いんだけど、今は蛇足だね。また今度かくね。

他の映画監督でいうと、
ジブリの高畑勲さん。僕は「かぐや姫の物語」が好き。

彼も絵を描かない。
この映画をつくる時、どうしてもイメージしきれなくなっちゃって、声だけ先に録ったんだって。声優さんは、絵がない画面に向かって声を吹き込むんだから大変だよね。でもさすがプロだね。それでもなんとかやったんだ。

そしたらね、声があることでキャラクターイメージが膨らんで、高畑さんは、また映画を作り出すことができた。

声によって世界観が共有された
ってことなんだよね。

まぁもっとたくさんあるんだけど、
ここら辺で、みんな気づいたよね?

言葉で表せない感覚を、
人は「形あるモノ」で共有するんだよ。

そうだよね。
フォント、旅、声、具体例の中には
「形あるモノ」かどうか判断が難しいのが
混じってるよね。

例えば旅。これはいわば風景の共有。
風景は「形あるモノ」がなきゃつくれない。あの日の夕焼けも、それに照らされる街並みも、人混みだって、みんな形があるんだ。

目的地に行くまでに共有するあの長い時間だって「時間」っていうのが太陽や月や地球や命によって決まったものだって考えたら「形あるモノ」かもしれないね。

声だってそうだよ。体という楽器がなきゃ声なんて出せないんだ。みんなが癒される自然の音も「形あるモノ」が鳴らしてるんだよ。

だからね「形あるモノ」には
力があるんだ。

言葉が語らずとも語るんだよね。
あぁそうだね。
昔からあったよねこんなこと。

君がいう通り、
職人はずっと背中で語ってきた。
きっとつくったモノも背中と
一緒に語りかけてきたんだろうね。

でも「形あるモノ」があんまりありがたがられないのは、その価値が気づきにくいものだからかもしれないね。
だって「形あるモノ」が提供している価値は、世界観っていう得体の知れないものなんだもん。でも大切なんだ。なくちゃいけないんだ。みんなで何かをつくるときには特に必要なんだ。

世界観の共有ってね、
指示にならないのがすごく素敵なんだ。

みんな自発的に考えることが許される
余白があるからいいんだ。

共通の世界観に向かって、
みんなの内から湧いてくる
あのエネルギーがすごくいいんだ。

いつのまにか、みんなの作品に
なっちゃってるあの感じがすばらしいんだ。

なんか話が長くなっちゃったけど、
まだまだ書ききれないことがたくさん
あるんだ。

でも今は筆がのらないから
また今度かくね。

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