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昭和30年代男 日本経済を愚痴る(8)

 昔も今もマスコミは美辞麗句が大好きですが、わが国ニッポンは、経済的には豊かだが生活的には豊かではない・・・という非常に情緒的な感覚に包まれていたように思います。少なくとも私はそんな感覚をいだきながらサラリーマン人生を過ごし、定年という区切りを迎えました。あたりまえですが、人間らしい生活とは何ぞや?・・・と問いかけられれば、なかなか適格に整理して答えるのはむずかしいですよね。
 私はどっぷりサラリーマン生活にひたりましたが、若い頃からそれほど大胆な野心をいだくことなく、出世することなく、定年という区切りを迎えました。こんな私のサラリーマン生活は出世に汲々としている方と比べれば豊かな生活ができたイメージがありますが、中高年で出世していなければしないで上司は年下になりますし、社内の若造からは小馬鹿にされます。映画やドラマでは渋い年配男優がチームを束ねて経営陣と勇ましく戦う構図がもてはやされていますが、それは映画やドラマの世界での話であり、現実の話ではありません。現実のサラリーマン社会では「ベテラン」という言葉は決して尊敬の意味で使われることは稀であり、たいてい「ベテラン」と言われれば「長くいるんだから・・・」と、暗に存在意義を問いかけられる言葉と考えたほうが正しいです。そう感じない方は幸福だと思います。
 そんな「ベテラン」の私でも、世代的にサラリーマン人生の前半分は年金も退職金も高度成長期のモデルをそのまま使って計算されていることが多く、とりわけ公務員やそれに準ずるところにお勤めだった方は年金制度や退職金制度の改変が比較的最近だったため、ローンが終わった持ち家と退職金がそのまま残っていれば、老後はどうにかなるはずです。少なくとも高卒、大卒で公務員になり、退職金を定年後も国民年金が満額受給となる65歳まで再雇用で働き、その時点でローンが終わった持ち家があって退職金が丸々残っていても、年金が少なくて生活に不安があるという方は、まずは家計や自ら消費行動を見直したほうがいいでしょう。大企業にお勤めだった方も同様・・・と言いたいところですが、大企業とは言えバブル崩壊後は雇用制度、給与制度、年金制度、退職金制度などで大ナタを振るった会社も少なくないでしょうから、正直それぞれ運不運があって一概には言えないかと思います。
 そんな私たちの世代はまだ恵まれているように見えるでしょうが、諸外国に比べて恵まれているかどうかは極めて疑わしいです。やはりコパイロットにこんな質問をしてみました。
【質問】
年金 アメリカ人と日本人の比較
【回答】(受給額)
アメリカ: 年金額は35年間の平均年収から計算されます。具体的な金額は個人により異なりますが、2018年の平均額は約2,788ドルでした。
日本: 年金額は物価水準により異なりますが、老齢厚生年金の平均受給額は約14万3965円(令和3年度)です。

 本稿を書いている4月23日20時29分時点の円ドル相場は1USドル=154.77円です。この中値で換算すればアメリカ人の平均的な年金受給額は約43万1500円となります。このところの円安が極端だと言うのなら、仮に1USドル=100円で換算しても27万8800円。これは2018年時点の数字なのですから、6年後の2024年度はどうなっていることやら。
 私の世代(すなわち昭和30年代半ば生まれ)で月27万円も年金をもらえる方はそうそういないでしょうし、まして現在のドル円相場どおりに計算して月43万円の年金をもらえる方は、皆無ではないでしょうが、極めて少ないはずです。
 たまに「喪われた30年」に対して異議を唱える方が新聞紙面あるいはテレビに登場しますが、まぁもともと新聞紙面やテレビに登場される方々は所詮多くが高額所得者ですから、そりゃあ庶民とはフトコロ具合が違いますし、フトコロ具合が違えば日本経済に関する考え方も違いますよね。
 まだ若かりし頃に日本経済の未来を信じた私でしたが、その未来は、2024年4月の現時点でこんなものです。果たして私の目が黒いうちに、日本経済は、一度は抜いたと言われたアメリカ経済に再び追いつくことが出来るのでしょうか?
 無理じゃね?・・・


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