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スキルとしてのインテリジェンス手法

1  インテリジェンスとは?

  みなさんは、「インテリジェンス(Intelligence)」という言葉をご存知ですか? 「知性」「知能」「理解力」或いは「情報」という意味です。

  インテリジェンスにはもう一つ裏の意味がありまして、それは軍事情報に端を発した諜報活動、いわゆるスパイ活動を指します。さらに、敵国のスパイ活動から情報の漏洩を防ぐ「防諜(CounterーIntelligence)」活動や、そうしたスパイ行為を逆手にとって、敢えて戦略的に情報を流す「宣伝」活動、さらに、偽情報により敵国をかく乱する「謀略」などがあります。

  実際これらのインテリジェンス活動は、現在でも国際社会では水面下で日常茶飯事として行なわれています。007ジェームズ・ボンドなどの映画やテレビの世界だけの話ではありません。

   例えば、国家間の交渉ごとに関しても譲歩できる数値、最低限守りたいラインなどが事前に相手国に漏れていたらどうでしょう?日ソサケマス交渉や捕鯨に関する交渉に代表されるように日本がこれまでこの情報戦を疎かにして辛酸を舐めた出来事は枚挙にいとまがありません。

  このように、インテリジェンスという言葉の裏の意味も知っておくことは、ビジネス社会上のやりとりにおいても役に立つと思われます。

2   戦国時代にもあったインテリジェンス


   古今東西、歴史上においてもインテリジェンスとその手法は存在していたようです。例えばテレビなどでもエピソードとして頻繁に紹介される、豊臣秀吉他の武将がよく用いた戦術「篭絡(ろうらく)」。これは敵陣中枢部の武将と秘密裏に内通し、関係を深化させたのちに恩賞という見返りを提供するか自陣の人質を盾に脅して服従させるかして結果的に自陣に有利な状況すなわち「寝返り」を促す手法ですね。「戦わずして勝つ」ためにはなくてはならない戦術で、この籠絡が得意な武将は珍重され戦国大名から厚遇を受けていたとみられます。

3 ビジネスにも生かせるインテリジェンス手法

   さて、この籠絡という交渉術。実は現代でもその手法は生かされています。それがインテリジェンスなのです。例えばあなたが競合他社の情報を入手するために競合社内の社員を協力者にして自分の欲しい内部情報を秘密裡に入手するという図式です。
   このインテリジェンス手法については、みなさんお馴染みのCIA(米国中央情報局)やMI6(「エム」16ではありませんよ。エム・アイ・シックス)、DGSEなど諸外国の情報機関或いは日本の法執行機関が日常茶飯事的に業務で活用しています。

   インテリジェンス手法を身に着けるには、基本プロセスとシステマチックなセオリーを頭に入れる必要があります。このセオリーを正しく理解して実生活の場を使って実践・練習すれば練度も上がり実際のビジネス・シーン、家庭内、人間関係の円滑化に役立つことは間違いありません。インテリジェンス手法は、後天的でなおかつ訓練してテクニックを磨けば正しく実行すれば誰にでもできる後天的な技です。

4 まずは第一段。プロセスについて

   インテリジェンス手法は、やみくもに思い付きで飛びついても結果は得られません。しっかりとしたセオリーを頭の中に叩き込み、日常生活を練習の場として修練を積みそして実践です。まずはインテリジェンス手法がどのようなプロセスを経て行われるかについて簡単にお話します。

調査(基礎調査)⇒ 接触 ⇒ 人間関係醸成 ⇒ 説得

   中国やロシアのスパイが上記のプロセスで対象つまり情報を入手したい相手方(貴方かもしれません)に接近し、仲良し関係を醸成したあとに脅し或いは金銭報酬をちらつかせて最終的には企業秘密や先端科学技術を自国に持ち帰る例は枚挙にいとまがありません。

   6月に神奈川県警が検挙したロシア通商代表部のスパイと日本人の高齢者(70歳)の事件をみてもこうした事案がみなさんの身の回りで起きていることがおわかりでしょう。

  ☞ 続く


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