見出し画像

アパートの住人が部屋で亡くなった話

僕の持っているアパートの住人がお亡くなりになりました。

生きているものはいずれ亡くなる。それは理解しているのですが自分のアパートに住んでいる人に限ってそんなことがないと根拠のない思い込んでいました。

亡くなった状況とかかった費用を公開していきます。

アパートの状況

1K、20平米の3点ユニットのわかりやすい格安賃貸アパート、1部屋3万円代です。

当時、築29年で新築当時から今まで入居してくださっていた方でそこが終のすみかとなってしまったようです。

部屋は29年の時を経て、天井、壁紙含めてかなり汚損が進んでいました。

仏さんの状況

発見されたのがお亡くなりになられて4〜5日ほど、なぜわかったかというと入院日に来なかったのでケースワーカーさんが家に訪れてわかりました。
窓をぶち破って入ったところ、亡くなっていたのを確認したそうです。

70代、生活保護だったのですが、僕の持っているような格安ワンルームだとこういう独身高齢入居者が少なくないと思われます。

事故物件になったのか?

国交相のガイドラインがあり、自然死、事故死、病死かつ特殊清掃が入らなければ事故物件にはなりません。

  • 死後、数日で見つかり腐敗が進んでおらず特殊清掃不要

  • 親族に死因が病死であることを確認済み

ということで心理的瑕疵、いわゆる事故物件にならずにすみました。
仮に事故物件になったとするとその部屋は3年告知しなければならず、客付けが難しくなります。
3年経過すれば書類が綺麗になるかといえばそうでもなく、売買時には告知事項として伝えなければならないので、物件価値自体が下がるのです。

原状回復費用

  • クッションフロア

  • 壁紙

  • 天井

これらを総とっかえ+ハウスクリーニング+消毒をしました。
合計70万円でした。

家賃3万円の部屋なら修繕費用を取り返すのに2年かかります。
AD やフリーレントもかかりますし、入居付けできても2年以内で退去した場合はまた入居付け・・・プラスマイナスゼロまで戻すのにざっくり3年はかかるかと思われます。

入居者がお亡くなりになられるとかかる費用が大きく、滅多に起こらないとはいえ、こういう時のためにまとまったお金は用意しておいた方がいいでしょう。

次の物件、次の物件と買いたくなる気持ちもわかるのですけどね。

入居者死は独身向け物件のリスク

僕の持っているアパートも表面利回り10%を越えていますが・・・

  • 独身向けなので入れ替わりが激しい

  • 入居者がお亡くなりになられると入居付け、売買が困難になる場合がある

といったデメリットもあります。
ファミリー向けだったら入れ替わりも多くないですし、物件自体もワンルームに比べると供給数も少ないので客付けはしやすい傾向にあります。

まあ、そうは言ってもそんな良い物件は高いですし、利回りもよろしくなかったりするので、僕のような弱小大家はリスクがあって手間のかかる物件しか選択肢はありません。割高な物件を引くとお金が貯まるまで時間がかかりますし・・・。

ミドルリスク・ミドルリターンなのか

不動産業者さんが不動産投資を「ミドルリターン・ミドルリスク」と表現されることがあります。
僕が初めて行った業者さんでもこの言葉を使っていました。
家に何かがあっても火災保険がありますし、土地・建物があるので資産価値ゼロにはなりません。株式だったら倒産や上場廃止になればゼロになることだってあり得ますからね。

今回のような孤独死案件だと、告知事項ありで3年客づけしづらくなったり、家賃を下げないといけなくなったり、売買時も告知しなければならず価値が下がります。

さらに狭い1Kですら入居29年の歴史もあって70万円の修繕費がかかったので、これをミドルリスクの範囲内と感じますか?

インデックスファンドをただ積み立てるのではなく、何かあれば自分の責任を持って対処しなければならない賃貸経営業という意識がいります。

最後に

繰り返しになりますが人は死にます。
あなたが持っている独身向け物件もいつか部屋で亡くなって見つかるかも知れません。
これから不動産投資をしようとするあなた。人が死んだ場面に他人でありながら物件の面倒を見れますか?

僕も一棟目から運がないと思いますが、この孤独死によって賃貸経営のリスクを再確認しました。
不幸中の幸い告知事項がなかったですが、決して気持ちのいいものではありませんから。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?