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【読書記録】これはただの夏(著:燃え殻)

これが公開される頃(予約投稿なので)には、もう秋に突入している頃だろうか。夏の名残があるうちに読みたいな、と思っていた本。

最初はちょっと足踏みして進まなかったけれど、
とある日に読んだら一気に読み切ってしまった。
流れるようにするすると。
「読んでいる」んだけど「読んでいない」ような。
ページをめくった記憶がほんの少しだけしかない。
ふと気付いた時には、殆どのページを読み終えたところだった。

最後はボロボロと涙がでてきて、
眼鏡を外してぬぐって。
正直ここまで泣くとは自分でも思っていなかった。
最後、たたみかけてくるような感じで、
物語がおわると同時にひと夏がおわっていく感覚。
数日の出来事の筈なのに、ひとシーズンの夏を経験したような。
読み終わると、夏のカラっとした天気ではない、
ちょっと湿っぽい気持ちになる。
気圧の変化に追いついていけなくて
じんわりした頭痛がしそうな感じ。
読んでいる間は、すごい天気が良くて
太陽が眩しいけれど嬉しい気持ちも想像できていた筈なのに。

読み終わってから1時間位経つけれど余韻で苦しい。
書きながら泣いてしまいそうになる。
参ったな。
まだ読んでいない人なら、
夏の日差しのある時でもいいし、
少し涼しくなってきた夜に読むのもいい。
夏から秋になる季節に読めて良かったな、と思う。

登場した明菜・優香はどうなっていくんだろう。
って思うと同時に、
2人とも(明菜の母も含めると3人か)存在してなかったのでは?
とすら思う。

なんだか全体的に重たい感じの空気がある話なのだけど、
明菜・優香との部分は明るくちょっとだけ輝いて眩しくて、
夏がそこにはあった。

でも最後、
ポツンとひとり主人公だけ取り残されたような感覚。
「もうっ!一足先に行くよっ」
って言われながら。
なんだか、私自身に言われている感じがしたんだ。
だから大泣きしたんだ。
主人公が徐々に一人になるように、
私も気付いたら一人に近い状態で、
主人公も私も時は進んでいるのに中々進めないまま
置いていかれるような。
その離れていく感じが
この本の感覚と似ているように感じたからかも知れない。

来年の夏のおわりごろ、もしこの本を思い出す事があったら
今の私からすこしでも前にすすめていると感じれたらいいな。

#読書感想文

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