34_ファシリテーション体験活動 【山の日本語学校物語】
第32回と33回の2回にわたり「ゲストスピーカーとのセッション体験」活動について書きました。主体的に「聞く」とはどういうことかを考えるために、大学生の学校訪問という機会を活用し、実際の交流活動を通して、多くの気づきを得ることができました。
その気づきの一つに「聞きたいことを聞き出すにはどのように活動をデザインすればよいのか」というものがありました。本記事では、この点を考えるために、急遽組み込んだ「ファシリテーション体験」について書きたいと思います。
(活動全体を一つの記事にまとめたかったため、本記事はかなりな長編になってしまいました。ぜひ、お時間に余裕があるときに、お読みください)
「山の日本語学校物語」では、PBL(Project-Based Learning:プロジェクト型学習)を通して、ITエンジニアがどのように言語を学び、専門性を身につけていったのか。また、語学を専門とする日本語学校が、どのような組織として、専門領域や地域社会と結びついていったのか。さらには、そこでの教師の役割などを当時の記録をもとに探究しています。
これまでのプロジェクトについては、以下のマガジンで連載しています。
ではでは、第34回のスタートです。
ファシリテーション体験活動の概要
この活動は、授業の1限目45分間を利用して行いました。学生がペアでファシリテーターを務め、45分間の活動をデザインするということにしました。学生に示した活動の概要は以下のとおりです。
1日1ペア、5日間かけて行いました。「未来予想図」を考えるためのブレインストーミングもかねて、まず、ペアで気になる未来予想に関する動画を探してもらいました。動画のテーマや使用言語は限定していません。未来予想図の動画は、オリエンテーションでいくつか見ていたので、意図はスムーズに理解できたようです。動画を紹介するときに、なぜその動画を選んだのか説明するように伝えました。
授業では、全員で動画を見たあと、その動画に対してどんな感想や意見を持ったのかを話し合うことを想定しました。「未来予想図」のアイデアを広げることを前提とした活動であったため、「どう思いましたか」と聞くだけでなく、自分たちが「聞きたい」ことを引き出すためにはどうすればよいかを考えるように伝えました。
33回で書いたように、「聞きたいことを聞き出すには、どのような活動をデザインすればよいのか」という問題意識が生まれていたので、私は、上記の概要を学生と共有しただけで、それほど詳しい説明はしていません。
「ファシリテーション体験」の授業では、教師は教室の後方に座り、学生の様子を観察することに徹していたので、詳細な記録が残されています。次章からは、この「ファシリテーション体験活動」がどのように進んだのか、当日の授業記録をもとに順を追って見ていきたいと思います。
1日目:テーマは何か?
共感していただけてうれしいです。未来の言語教育のために、何ができるかを考え、行動していきたいと思います。ありがとうございます!