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36_聞くためのインプット活動 【山の日本語学校物語】

前回「未来予想図のイメージ制作(第35回)」では、2ndプロジェクトの本活動にあたる「未来予想図」のイメージづくりの様子について書きました。各自が考える2050年の未来について、イメージを中心にポスターを制作しました。このポスターをたたき台にして、今後、少しずつ言語化していくことになります。

第31〜35回で記した内容は、2ndプロジェクトの準備段階にあたる「第1ステージ」です。31回では、オリエンテーションについて、3233回では、今後の活動の目的を理解するために行った「ゲストスピーカーとのセッション体験」について、34回では「セッション体験」から生じた問題意識をもとに、急遽行った「ファシリテーション体験活動」について書きました。そして、35回が、2ndプロジェクトのメイン活動の土台に当たる「イメージ制作」活動でした。

こう考えると、プロジェクトの目的を理解する「導入」の部分に随分と時間を割いているように感じます。が、すでにここまでの活動でこれまでにないくらい大きな学びがありました。

本記事からは、いよいよ、第2ステージに入ります。外部からゲストスピーカーを招き、学生と直接セッションを行う活動です。

今回の第36回では、ゲストスピーカーを迎えるための準備段階にあたる「
インプット活動」について、書きたいと思います。


「山の日本語学校物語」では、PBL(Project-Based Learning:プロジェクト型学習)を通して、ITエンジニアがどのように言語を学び、専門性を身につけていったのか。また、語学を専門とする日本語学校が、どのような組織として、専門領域や地域社会と結びついていったのか。さらには、そこでの教師の役割などを当時の記録をもとに探究しています。

これまでのプロジェクトについては、以下のマガジンで連載しています。


ではでは、第36回のスタートです。

インプット活動の概要

まず、ゲストスピーカーとのセッションに向けて、ゲストスピーカーについて調べ、質問を考える活動を行いました。活動期間は、1月31日〜2月2日までの3日間を当てました。第30回「活動スケジュール」に記した図を使って説明すると、赤い丸「インプット」の部分に当たります。

2ndプロジェクト活動デザイン

この段階で、2月3日(土)に、ゲストスピーカーであるエンジニア(仮に、Kさんとしておきます)が来校し、学生たちに話をすることが決まっていました。同じエンジニア同士とはいえ、全く語彙コントロールのない日本語だけで話される内容を聞き取ることになります。来日後、4か月程度の日本語学習者にとっては、非常にハードルの高いアクティビティになります。

Kさんには、これまでのキャリアを中心に話してくださいというお願いはしていましたが、どんな話になるかは、全くわかりませんでした。

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