【55】家族でのキャンプ体験―息子の成長―
こんにちは。全く周囲に興味を示さなかった自閉症の息子が、劇的に変化したキャンプの思い出について、キャンプグッズを紹介している番組を見かけて思い出したので、そのときのことをnoteに書いてみようと思います。
我が家は息子が小学校に入学してからは、毎年キャンプに出かけることが恒例になりました。そのきっかけにもなった、強く印象に残っている思い出の1つが、初めての夏休みに家族でキャンプ場にいったときのことで、自閉症の息子が劇的に変化がありました。
初めてのキャンプに行くことになったきっかけは、やはり息子に良い影響があればいいなと考えたためでした。
息子が小学校に上がって、これから学校生活にどう向き合っていこうか考えていく中で、主人が「キャンプをやろう」と提案してくれました。「それは良いアイデア!」と私は思いました。
でも、その気持ちの反面、そういえば私は小・中学ともに原因が良くわからない皮膚のアレルギーがあり、蚊やアブなど刺す虫がすごく苦手でした。蚊などを意識しただけで、刺されてもいないのに蕁麻疹ができていました。小学校時代は、意識しただけで瞼が突然腫れてお化けのようになるので、同級生からよく気持ち悪がられていました。
そんなイヤな体験があったので、虫に対しては極度に警戒してしまっていました。
なので、息子にはとても良い経験だと思っていながらも、自分からはすすんでキャンプに行くことは考えられていませんでした。
けれど、主人が提案してくれたことがきっかけで、これからいろいろな体験を通して息子を成長させていかなくてはと思う気持ちの方が勝り、意を決してキャンプに行くことを決めました。
キャンプの段取りはすべて主人が行ってくれました。もともと、主人はアウトドアに興味があったせいか、すごく楽しそうに準備してくれました。当の本人の息子はぽかーんとして、ただ付いて行くだけで、キャンプの準備だとはわかっていない様子でした。
いよいよ夏休みが来て近場のキャンプ場に予約を取っていざ出発。目的のキャンプ場は、なかなかの細い道で分かりづらい場所にありました。
「まさか、…パパここ?」
到着したキャンプ場は、少しシーズンから過ぎていたせいもあってか、私たち家族ともう一組だけの貸し切り状態でした。しかも心なしか暗い。本来なら、楽しみで喜ぶべき場面なのですが、初めてのキャンプな上に、虫が苦手な私には少々ハードルが高いスタートでした。
『ムカデとかアブとかいないのかなぁ…。』
私と、ただ連れてこられたといった感じの息子は不安で仕方がない。
主人は着くなりさっそくテントをたてる。娘たちは、一緒に楽しそうに手伝っていて、息子はその光景を眺めていました。
全く集団行動に興味を示していなかった息子が、初めての体験に、いつもと違う環境にも臆することなく、虫への怖さにも負けずに、その場になじもうとしている雰囲気がありました。
テントを張る父親に興味を示したり、多分息子自身は嫌だと思っているのに、お姉ちゃんはとても楽しそうに、妹もはしゃいでいることが不思議に思えていたからかなと想像する。その場に、だんだんと一緒に加わろうとしている息子の姿は、日常で見せている様子とは全然違い驚くばかりでした。上のお姉ちゃんは初めてのキャンプにワクワク、下の妹はまだおむつトレーニング中の幼さながら家族が一緒で大好きなパパがいるからうれしそう。
初日の夜は天候が不安定で嵐でした。大雨の中、パパとお姉ちゃんと妹はテントの中で寝ました。虫の嫌いな私と息子は、二人でテントの横に停めた車の中で寝ました。次の日は嘘のように晴れて青空が透き通っていました。“夏”と言わんばかりのとてもきれいな空でした。キャンプ場の朝の水道はとても冷たく気持ちいいものでした。
息子はこの一連のキャンプの体験はどんな感じに覚えているのだろう。気になって、ちょっと聞いてみました。残念ながら、息子の思い出の中では楽しくなかったみたいだった。でも、当時の状況はしっかり覚えていました。
テントをたてているときに、アブがたくさんいてパパが刺されたこと、
そのアブを筒状にした新聞紙で叩いて退治したこと
うち以外に人が居なかったこと
二日目にテントで寝て石がごつごつして眠れなかったこと
魚を釣ってその日に焼いたこと、その魚が小さかったこと
たくさん覚えてくれていました。
とても不思議。このころはコミュニケーションが全くできていなくて、小学校に入学後の初めての夏休みで不安が絶頂の時期でした。今にして思うと、「風船の中の僕」で息子に聞いたように、中身の息子はちゃんと周囲のことを理解できていたのかな…。
息子にとって初めてのキャンプが最悪だったから、翌年以降のキャンプはとても楽しかったらしい。自分たちの家族以外にもいろんなご家族がいたのと、我が家の夏の恒例行事となったキャンプなので新しくテントを購入したことも、さらに行くことへの楽しみが増えていったみたいでした。
今回は懐かしい思い出を通して、周囲に対して興味を全く示さなかった息子が、日常と違う環境でも家族と楽しく過ごすことで、新しい体験へと臆することなく興味を示すのだと知れた、私にとってもとても嬉しい記憶の回想でした。最後まで読んでいただきありがとうございました。
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