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3-3 フィッシャーの3原則 ~ 「歌は世界をすくう」

今回の統計トピック

空想の物語でフィッシャーの3原則を体感します!
無作為化・繰り返し・局所管理です。

公式問題集の準備

「公式問題集」の問題を利用します。お手元に公式問題集をご用意ください。
公式問題集が無い場合もご安心ください!
「知る」「実践する」の章で、のんびり統計をお楽しみください!

問題を解く


📘公式問題集のカテゴリ

データ収集の分野
問3 フィッシャーの3原則(データ無し)

試験実施年月
統計検定2級 2019年6月 問5(回答番号11)

問題

公式問題集をご参照ください。

解き方

題意
実験計画における「フィッシャーの3原則」の理解を確認する問題です。

ひとまず、フィッシャーの3原則を見ておきましょう。
定義は次のサイトの記載を利用させていただきました。
ありがとうございます!

フィッシャーの3原則

①無作為化(ランダム化)
実験の順序や場所などが複数ある場合に、比較したい処理群を無作為(ランダム)に割り付けること。
系統誤差を偶然誤差に取り込むため。

ランダム(くじ引き):「いらすとや」さんより

②繰り返し(反復)
複数の処理を比較する際に、それぞれの処理に対して同じ条件で2回以上の繰り返し実験(評価)を行うこと。
偶然誤差の大きさ(ばらつき)を評価できるようにするため。

反復(横飛び):「いらすとや」さんより

③局所管理
実験を行う時間や場所を区切ってブロックを作り、そのブロック内でのバックグラウンドができるだけ均一になるように管理すること。
系統誤差を取り除くため。

ブロック(チェーン):「いらすとや」さんより

■系統誤差
一定の方向性をもつ誤差。誤差を生む要因が説明できるもの。
■偶然誤差
理想的な状況でも測定者がコントロールできない偶然によって生じる誤差。原因がはっきりせず、過誤や系統誤差を取り除いても説明できないもの。

問題に戻ります

問題文のⅠ~Ⅲの記述がフィッシャーの3原則に照らして適切かどうかを検討します。

■記述Ⅰ
無作為化によって、制御できない要因の影響を偶然誤差に取り込むことができます。
適切です。

■記述Ⅱ
繰り返しは、必ずしも同一の被験者から繰り返しデータを得ることを求めるものではありません。
ヒトには個体差があるので、複数の被験者を同一の実験条件に割り当てて、多くのデータを取ります。
適切ではありません。

■記述Ⅲ
局所管理は、実験の監督・監視などの管理者の割り付けの条件を意味するものではありません。
実験自体の条件をできるだけ均一に保てるように、ブロック(実験の管理単位)を分割して管理することです。
適切ではありません。

解答

①です。

難易度 やさしい

・知識:フィッシャーの3原則
・計算力:不要
・時間目安:1分

知る


おしながき

公式問題集の問題に接近してみましょう!
今回は、空想の物語を通じてフィッシャーの3原則に迫ります。

実験研究・観察研究

📕公式テキスト:3.2.1 実験研究のデザイン(101ページ~)

フィッシャーの3原則の概要については「解き方」の記載をご覧ください。

フィッシャーの3原則は20世紀の統計学者ロナルド・フィッシャーさんによる原則です。実験計画法、分散分析、最尤法などを生み出した人です。


空想の物語「歌は世界をすくう」

音楽研究家のAさんは「たった5分でカラオケの得点が10点以上アップする新しいレッスン法」を編み出しました。

採点付きのカラオケのイラスト:「いらすとや」さんより

新レッスン法の効果を試す目的でモニターを募集して、多くの人が集まりました。

【原則② 繰り返し】
人を対象にした実験は個体差があるので、多くの被験者からデータを取ります。

親戚の集まりのイラスト:「いらすとや」さんより
(注)実際に集まったのは親戚ではありません

モニターを次の2グループに分けて、新レッスン法の効果を確認します。
1.新レッスン法を行うグループ
2.従来のレッスン法を行うグループ

【原則① 無作為化】
グループはくじ引きでランダム(無作為)に振り分けます。

くじ引きをしている人のイラスト:「いらすとや」さんより

次のルールでモニター試験を行います。
・1人につき、好きな曲を1曲、2回歌って得点の差を確認します。
・1回めの歌が終わってから2回めの歌が始まるまでのインターバルを10分にします。
・インターバルの間にレッスンを行います。
・被験者全員に「新しいレッスン法で教える」と伝えます。

先生・講師のイラスト:「いらすとや」さんより

【原則③ 局所管理】
新レッスン法を受けるか/従来のレッスン法を受けるかの処理条件を除いて、条件が均一になるようにします。
上記のルールに加えて、たとえば、
・同一のカラオケ機器とマイクで測定します。同じ性能、同じ設定にします。
・温度、湿度、照明、音響などの環境が同一の部屋を使います。
・モニター試験中は飲食、おしゃべり、SNS投稿を禁止します。

ルールブックのイラスト:「いらすとや」さんより

さて、新しいレッスン法の効果はあったのでしょうか。。。

モニター試験が終わったあとは、参加者全員で「サライ」を合唱しました。

合唱のイラスト(カジュアル):「いらすとや」さんより

みなさんにこやかです。
もしかして、両方のグループの全員が10点以上アップしたのかもしれませんね。
めでたし~めでたし~。

(注)
モニターがたまたま「1回めよりも2回めに調子が上がって10点以上アップする人たち」だったのか(偶然誤差がすごい)、新レッスン法だけでなくて従来のレッスン法も効果的な方法だったのか(両方のレッスン法の系統誤差がすごい)、実験計画または実施にミスが入り込んだのか(大きな過誤が発生した)、定かではありません。

もちろんフィクションです。

実践する


今回はお休みです。が、Pythonを少し動かしてみます。


電卓・手作業で作成してみよう!

今回はお休みです。

EXCELで作成してみよう!

今回はお休みです。

EXCELサンプルファイルのダウンロード
今回はファイル提供はありません。

Pythonで作成してみよう!

フィッシャーの3原則とは関係がありませんが・・・
歌声を聞いてPythonで音を出してみたくなりました♪

今回はIPythonのAudioを利用して、音を鳴らすことに挑戦します!

上記サイトのサンプルコードを少し変更しています。
Jupyter NotebookとGoogle Colabで動作確認しました。
聴覚検査のようなピーという音が1秒間自動再生されます。

### ピーというステレオ音を1秒間鳴らす

# インポート
import numpy as np
from IPython.display import Audio
 
# 簡単な設定
framerate = 44100 # サンプリングレート
sec = 1           # 再生時間(秒)

# データ生成(ステレオ)
t = np.linspace(0, 5, framerate*sec)
dataleft  = np.sin(2 * np.pi * 220 * t)
dataright = np.sin(2 * np.pi * 223 * t)

# オーディオ再生 autoplay=Falseで自動再生オフ
Audio([dataleft, dataright], rate=framerate, autoplay=True)
画面表示サンプル
聴力検査のイラスト(学校の健康診断):「いらすとや」さんより

ネットには「かえるの歌」「きらきら星」などの音楽サンプルコードが公開されています。
音楽に興味のある方は、ぜひ気になるWebサイトを探してみてくださいね。

Pythonサンプルファイルのダウンロード
今回はファイル提供はありません。


おわりに

研究デザインがいつの間にか空想の物語に発展しました。
なぜか音を鳴らしています♪
統計ブログの新しい方向性かもですね(笑)

最後までお読みいただきまして、ありがとうございました。


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