見出し画像

遊休資産を収益化!シェアリングサービスを活用して店舗家賃のROIを最大化しよう

近年の外食産業では、市場規模の減少や単価の低下など、短期的にも長期的に非常に厳しい状況が続いています。
従来通りのビジネスモデルだけでは、安定した飲食店経営は難しくなってきていると言えるでしょう。

そこで今回は、飲食店の収益構造改善という観点から、店舗の有休資産・遊休時間を活用するレストランテックについて考えてみたいと思います。

飲食店は店舗物件の持つ価値を最大化するビジネス

飲食店における主な費用は、売上に比例して増減する変動費と、売上にかかわらず金額が一定の固定費に大別できます。
(単純化のため、下図では食材原価を変動費、それ以外を固定費としています。)

画像1

変動費が売上に対して一定の割合でかかるなら、固定費が高いほど利益を出すために必要な粗利益・売上の額は大きくなります。

つまり、安定した飲食店経営のためには、まず固定費率を下げることが重要なのです。
どうしても季節やトレンドの影響を受けて売上は増減しますが、固定比率が低ければ、売上が低い月でも余裕を持った運営ができるからです。

固定費の中でも、最もその性格が強いのが「地代家賃」でしょう。
結局のところ飲食店というのは、物件を借りて、その家賃のROI(費用対効果)を最大化するビジネスだと捉えることもできるわけです。

その家賃負担の比率を下げるためには、賃料を下げてもらうよう交渉するか、店舗物件という資産を遊休化させずに最大限活用するかしかありません。
前者は容易ではありませんが、後者は様々なサービスの登場によってハードルが低くなってきています。


外食産業とシェアリングエコノミー

例えば、夜17時~23時に営業している居酒屋を考えてみましょう。
このお店は、24時間分の家賃を支払っているのに、6時間の営業時間しか活用できていないということになります。
残りの18時間のうちの一部だけでも、有効に活用できないか検討したいところです。

画像3

まず考えられるのはランチ営業を始めることですが、そのためにも原価や人件費がかかります。
特に個人で経営しているようなお店では、営業時間を長くしても負担ばかり増えて、思うようにリターンを得られないことも少なくありません。

そこで登場するのが、近年話題の「シェアリングエコノミー」です。

「シェアリングエコノミー」とは、インターネット上のマッチングプラットフォームを介して、モノや場所、あるいは時間やスキルなどをシェアする経済の形を指します。
貸し手にとっては遊休資産の活用になり、借り手にとっては所有をすることなく最小限のコストで利用できるといったメリットがあります。

飲食店でも、シェアリングサービスを利用して使っていない時間やスペースを貸し出し、余分な追加コストをかけることなく収益化することが可能になっています。
では、いくつか飲食店で利用可能なサービスをピックアップしてみましょう。


▼ レンタルスペース・コワーキングスペース

まずは、使われていない時間の客席スペースを時間貸しできるサービスです。

例えば、夜の営業分の仕込みをしているお昼の時間帯に、使っていない客席を自習や打合せのためのコワーキングスペースとして貸し出す。
あるいは、特徴的な内装の客席を撮影用スペースとして貸し出す、プロジェクターのあるパーティスペースをセミナー会場として貸し出すなど、様々なケースが考えられます。

お店にとってはただの「営業時間外の使わない客席」でも、利用者にとっては、貴重な「手軽に安く借りられる静かなスペース」なのです。

シーンに合わせて以下のようなマッチングサービスを活用することで、“無駄に”家賃を支払っていた時間帯の客席を収益化できます。
また、こうしたサービスの利用者にチラシやクーポンを渡すことで、通常営業の集客に繋げることもできるなど、一石二鳥ですね。


▼ 駐車場

遊休化しがちなスペースは、客席だけではありません。
特に地方都市の飲食店に多い駐車場も、曜日や時間帯によっては空きスペースとなっています。

「akippa」や「軒先パーキング」は、そういった駐車スペースを貸し出したいオーナーと、出張・旅行などで駐車場を必要とする利用者とをマッチングするサービスです。

事前にオンラインで予約・決済を済ませて利用するので、当日に駐車場を探してさまよったり、料金の支払いで手間取ったりすることもありません。
オーナー側もほぼノーコストで遊休スペースを収益化できるため、借り手と貸し手の双方にメリットがある仕組みといえるでしょう。

画像2

(画像引用:https://www.akippa.com/


▼ 飲食店

「飲食店を開業したいけれどまだ資金が足りない」「副業として週末だけ飲食店をやってみたい」といった人に、営業していない時間帯や定休日の店舗を貸し出すことも可能です。

昼はAさんのカレー屋さんで、夜にはBさんのスナックに変わる。
「軒先レストラン」「よじげんスペース」などのマッチングサービスの登場によって、そんなお店も増えてきています。

物件家賃を2つのお店で分散して負担するようなイメージですね。


▼ 荷物預かり

人に貸し出すほど客席や厨房が空いている時間はない、あるいは貸し出すのに抵抗がある、というお店も少なくないでしょう。
そんなお店でも、カバンをいくつか置いておくくらいの空きスペースはあるのではないでしょうか。

そのスペースを、荷物預かり場所として活用することもできます。
予約や決済は事前にオンラインで行われるため、お店側の負担はほとんどありません。

街のコインロッカーの数には限りがあります。
オリンピックを控えた今年はさらに需要が増えると思われるので、スペースに余裕のある飲食店の方は、ぜひ登録を検討してみてはいかがでしょうか。


まとめ

今回は、飲食店における店舗資産価値の最大化という観点から、いくつかのシェアリングサービスの活用を考えてみました。
それらの活用によって利益に余裕が生まれれば、その分をスタッフに還元したり、もっと良い食材を使ったりすることもできるかもしれません。

そしてそれは、単に余剰資産でお金を稼ぐというだけでなく、社会に眠っているニーズに応えるということにもなります。
シェアリングエコノミーとは、同じだけの資産の総量でより多くの人が「豊かさ」を享受できる経済のあり方なのです。

[著]Makoto Otsubo



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?