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ホメオパシーで使うレメディって何だろう?

自然療法に興味を持つと必ず耳にし始める言葉が「レメディ」ではないでしょうか?
フラワーレメディ、ハーバルレメディ、ホメオパシーのレメディにジェモセラピーのレメディなど、一歩その世界に踏み込むと、あちこちで耳にするようになります。
今回は、そんなレメディについてお伝えしていきたいと思います。

レメディってどういう意味?

レメディは英単語。
Remedyと書きます。
「英語の勉強が嫌いだから読み飛ばそう」なんて言わないでください!
ここからがとっても大事なところです。

英単語は、接頭語、語幹、接尾語、さらには語源を学ぶと楽に覚えられると言われています。ホメオパシーを勉強していると、哲学、レメディの名前や内容、さらには解剖学などで聞きなれない単語ばかりが出てきます。そこで役に立ったのがこの単語の覚え方です。

余談ですが、私のクラスメイトのイギリス人たちに「私は英語ができないから大変」と言う私に「私たちもスタートラインは変わらないわ。外国語や外国の文化を学んでいるほどに、今までの言葉や考え方と全然違うから安心して!』と言われました。
ホメオパシーって古いけど、現代医学にどっぷりな私たちには、とても新しい感覚を持って学ぶことが必要なものでもあるのです。

話はレメディに戻ります。

Remedyは「Re」と「Medi」がくっついた言葉です。
Reには「再び」という意味があり、日本でもカタカナで使われるリターンReturn や、 リバース Reverseなどの始まりにつく言葉です。
Medは、メディカル Medical、メディケーション Medication、メディテーション Meditationでも使われます。関係を取り持つ「媒(なかだち)」の意味があり、手段としての「適切な処置を施す」「治療をする」という意味があり、調整や調和をするということを表すわけです。
その二つの単語がくっつくと、「再び調和を取り戻す」という意味になるのがわかります。

そうです!
レメディは感覚を麻痺させたり取り除いたり、出ているものをなかったことにしたり、押し込めたりするのではなく、再び調和がとれて、元の健康な状態に戻ることを目的とした薬のような存在を指します。
もっと言えば、元の状態よりも、もっと良い状態に、本来あるべき姿へと調和を取り戻していくと言えるのではないでしょうか?

20世紀初めに使われていたレメディキットと使い方のガイドブック。100年後くらいに私の著書「ホメオパシーのくすり箱」と一緒にレメディキットが写ってる写真が何かの参考に出されてたら嬉しいですね!

何から作るの?

では、そのレメディはどうやって作られるのでしょうか?

原料は、植物、動物、鉱物の3つのキングダム(界)のもので作られることが多いです。
植物界からは日本でもおなじみのトリカブトやケシなどが、動物界からはサソリやヘビなどが、そして鉱物界ではヒソや水銀などが使われます。

ここまで聞いて、「そんな怖いものは使えない」って思った人も多いのでは?
でも、ご安心ください!
全て人体にないくらいまで薄められて、安全に妊婦さんでも赤ちゃんでも、体の弱いお年寄りにでもお使いいただける安心安全なものがレメディになっています。

イギリスのお庭で育てていた園芸品種のトリカブト。色も形も綺麗でお庭が華やかになります。
日本では鳥兜や烏帽子とも言われますが、昔の修道女の被っていた帽子に似ていることからイギリスではモンクスフードと呼ばれています。何れにしても、昔の人には被り物に見えたのですね。

どうやって作るの?

では、レメディの作り方です。
レメディ作りのすごいところは、今時よく聞くSDGsやサスティナブルという言葉がぴったりなところです。機械や電気を使わずうとも、人の手があれば作れます!
自然なものだけなので土に返すことができるし、ゴミも出ず、無駄が一切ありません。
そして人体にも悪い影響がないので、副作用もないんです!

わかりやすいと思うので、植物でつく売り方を説明します。

まず、原物質となる植物を摘み、アルコールに浸して一週間ほど放置します。このまま使うとハーブティンクチャーやチンキと呼ばれる状態なのですが、ここにそのティンクチャーを薄める作業が加わります。

その薄め方はホメオパシーならではの特徴的なもので、ポテンタイゼーションとかダイナマイぜーションと呼ばれます。日本語では希釈振盪と言われることが多いのですが、英語でのニュアンスと大きく異なるので、詳しく説明したいと思います。

希釈振盪というと、「薄めて激しく振り動かすこと」を指しますが、確かに行為としてはその通りなのですが、そこにある見えないエネルギーの動きがとても大切になります。
ティンクチャーと呼ばれる植物の効果効能やエネルギーといった情報が入った液体を薄め、強く振って叩きつけることで物質としての濃度は薄くなり、毒の要素も減っていくのですが、もともと持っている現物質である(この場合は)植物の持つ力や特徴が強まっていくのです。

ポテンタイゼーションとは、「この人ポテンシャルあるよね」なんて言うときに使うポテントPOTENT、「力がある」とか「効果がある」を意味するその「ポテントを高める」という意味の言葉です。もともとPotは力、Potiは強力なという意味。
希釈度を現すポテンシーPotencyは「固有の強さ」を現します。
要するに、物質の持つ固有の素晴らしい力を引き出すための行為、手法のことをポテンタイゼーションと言います。その行為が希釈振盪なのです。
ダイナマイぜーションも同じような意味で、ダイナミックな「大きな力を引き出す」ための行為という意味になります。

ポテンタイゼーションの説明の画像は以下のリンクより借りしました。
https://homeopathyplus.com/tutorial-4-three-scales-of-potency/

日本語の希釈振盪に戻ってお話をしましょう。
そのポテンタイゼーションですが、大きく分けて2種類あり、10倍希釈をXまたはDHと表現し、100倍希釈をCと表現します。

ティンクチャーから1滴、アルコールを9滴入れて希釈し、強く振る振盪をすると1Xができます。
同じく、ティンクチャーから1滴、アルコールを99滴入れて希釈振盪すると1Cとなります。
それぞれから1滴、アルコールを同じ分量入れて希釈振盪すると2X、2Cとなります。またそこから1滴をアルコールで希釈振盪して、、、(上の図を参考に)と30回続けると、10倍希釈なら30Xが、100倍希釈なら30Cの液体が出来上がります。
その液体を砂糖玉に染み込ませたのがレメディと呼ばれる小さな白い粒になるのです。

「鉱物はどうするの?」と言われそうですね。
鉱物の場合は、乳鉢でゴリゴリと粉になるまで潰していき、1:9の割合でアルコール同様の割合で乳糖と一緒に潰しながら希釈をします。
動物の場合は、現物質として使うものが毒だったり、毛だったり、お乳だったりするので、アルコールで進出する場合と、乳糖で潰す場合と使う部位などによって変わります。

みなさんがセルフケアとして利用するのに入手可能なポテンシーは6Cまたは30Cで、ファーマシーやメーカーにもよりますが、家庭用のレメディキットには30Cが入っていることが多いかと思います。

白い粒を目にする機会が多いですが、海外に行くと液体だったり、クリームだったり、目薬だったりと色々なものが販売されています。

おわりに

ホメオパシーで大切なのがこのポテンタイゼーション。ただ、薄めるだけではレメディが作れないのです。
手がかかっているようにも見えますが、人の力があれば作れるので、技術のない国や地域でもレメディを作ることが可能です。また、西洋医学のように多大な資金を必要としないため、大きな資金力を持ち合わせていない国でも利用することが可能です。
さらには、少量のティンクチャーがあればとても多くのレメディを作ることができるため、密猟・密漁だったり、森林やジャングルを切り開いて栽培や飼育する必要がありません。

「人類の健康のために貴重な植物ですが、大量絶滅の危機に瀕していま す。(中略)我々 は自分たちの健康で幸福な未来のために、生活習慣を見直し、環境保全 に取り組む必要があります。」

引用:松本薬剤師会 会営村井薬局ニュース

上記のような環境保護にも役立ちます。
さらにいえば、動物実験もしていないですし、サイのツノのように何かを取るために殺さなくてはいけないと言うこともなく、環境だけでなく命の負荷も少なくてすみます。

古くて新しい、持続可能で、環境にも私達にも優しい、未来の健康維持法として役に立つのもホメオパシーなのではないでしょうか?

毎月第3火曜日に更新予定です。
次回もお楽しみに!

Madoka Fujita SDSHom