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(詩) 時の空洞

カチカチカチ
時計の音は聞こえるのに

針はまったく止まっている
動かない秒針の彼岸に
音の聞こえる此岸から
疑惑と憧憬の眼を向ける

秒針の指す天上には
無数の色の点が散らばる
過ぎ去った日の点
来たるべき日の点
混濁して判別しかねる
点描画のように

刻まない時を求めて
それでも意識は
浮遊し続ける


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