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メイドインジャパンをぼくらが世界へ

はじめに

こんにちは、dZERO新人のHKです。今回は、平和酒造代表取締役の山本典正氏とライフスタイルアクセント代表取締役の山田敏夫氏の対談本である『メイドインジャパンをぼくらが世界へ』を紹介させていただきます。

未来を見据えた日本発のブランドへ

概要

日本酒とアパレルという異なる業界の視点から、日本の「ものづくり」について語られています。右肩下がりの業界にいながらも、ものづくりに対する信頼と愛情を持ち、それぞれがブランドを新しく作り上げようとする熱意が対談から知ることができます。山本氏と山田氏が、それぞれの業界からメイドインジャパンを世界に発信するためにどのような取り組みを行っているのか。ものづくりへのこだわりから、メイドインジャパンを復活させようとする情熱が対談で述べられています。

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著者紹介

著者は、平和酒造代表取締役の山本典正氏と、ライフスタイルアクセント代表取締役の山田敏夫氏。山本典正氏は、日本酒業界にあっては他に類をみない革新的組織づくりをするとともに、自社ブランドの開発・販売に力を尽くされています。山田敏夫は、2012年に独立し、ライフスタイルアクセントを設立されました。メイドインジャパンのブランドを世界へ発信したいという思いから、ファッションブランド「ファクトリエ」を立ち上げ、同名の通販サイトを運営されています。


この作品のポイントと名言

僕が東京で働いていたベンチャーは、社長から社員まで全部「さん付け」で呼び合うような、非常にフラットな組織でした。そういう雰囲気のある組織がいいと思っている状態で和歌山に帰ってきましたから、違和感がありました。(第一章、p25)

人として大事なことは忘れないで欲しい、とも言っています。お客様対応、クレーム対応でも、小手先に走るな、嘘をつくな、と。うそはいずれ必ずばれますから。(第一章、p30)

ストックオプションも発行していません。他のベンチャーなら「上場したときに、みんなで儲かろうぜ」と株を渡したりするんでしょうが、ぼくはそれをしない。お金のコミュニケーションではなく、理念や志を共有したいと考えています。(第一章、p31)

テクニックを教えると、教えた相手に「自分も、そのテクニックで山田の掌の上で踊らされてるんじゃないのか」って疑われることになりますよね。だからできるだけ、小手先ではなく本質論でコミュニケーションをとるようにしています。(第一章、p33)

ゼロから起業するときに一番大切なのは理念があることだと思うけど、そこにお金も必要なんです。今思い返すと当たり前のことですが。(第一章、p36)

なぜ工場回りをしたかというと、ただ儲かるだけのビジネスではなくて、ものづくりをやりたかったからです。みんながやりたがる「右から左」のビジネスは、ぼくにとっては面白くない。(第一章、p40)

一人一人がアルチザン(職人)で、エルメスでもグッチでも、一人の職人が一つのバッグを丸縫いしているんです。それには二十~三十時間かかるので、週に二個しか作れない。つまりブランドは、工房というものづくりからしか生まれない (第一章、p43)

自分がやりたいことは、ものづくりからブランドを作ることだと悟って、バスに乗って工場を回り始めたんです。工場を回る人なんて世の中にぼくしかいなかった。(第一章、p44)

飲食店は酒の業界とは縁の深いところですが、独立志向が強い人が多いですね。手元資金が三百万円から五百万円で始められる業態ですからね。(第一章、p56)

いまのベンチャーって、ホームラン志向が強いんですが、社員みんながヒットを打てて、それを継続できる会社が結局は強いんですね。(第一章、p57)

アメリカ型は、とにかく一円でも安く売るのが消費者へのサービスだという立場ですね。バイイングパワーのあるプレーヤーが一番強くて有利。それによってさらに、一円でも安くして売る。これだと、体力のあるところしか残らない。(第二章、p88)

これからは、山本さんが言大量消費の坪効率だけを求める企業が覇権を握っていくのではなくて、その反対のものの価値が見直されていくのではないかと思うんです。(第二章、p89)

想像もつかないことをやるから面白いのですが、大企業にはそれができなくなっていますね。その点、ぼくらのような小さい会社は冒険ができる。そこが優位なところだと思います。(第二章、p93)

そもそものスタートラインが違うので、ぼくらは消化率100パーセントでないとやっていけない。その分、広告も打たないし、ピュアに商品力で勝負する。(第三章、p104)

お客様は神様じゃない、対等なんです。双方に人間的尊厳があるんですから。お客様が神様のポジションになったら、ぼくらは奴隷のポジションになる。百歩譲ってそれを言い出した経営者はいいとして、社員まで奴隷にするのはやめようよ。(第三章、p114)

いろいろ悩んだ結果、いまは人間性で採用しているんですよ。社員一丸になってやろうと思うと、いくら力があっても人間性が悪い人とやるのは本当にしんどいんです。最初にぼくが苦しんだのはそこですよね。(第三章、p119)

まずはど真ん中の人に気に入っていただいて、それから周辺に入っていく。そういう戦略だと、百人に一人の商品作りではだめで、百人のうち五人を狙うような商品作りになります。(第四章、p135)

だれとやるかだったり、どんな大義を持ってやるかだったりでぜんぜん違ってくると思うんですよね。理念とそれに対する熱量がすべての社員に行き渡る、それこそ入ったばかりの新人にまで伝わるような会社でありたい。(第四章、p150)

地方創生って、いまさかんに叫ばれていますけど、地方創生は基本的には茨の道ですよ。儲けたかったり、スピードで勝負したいなら地方創生は無理だと思うんですよ。(第四章、p159)

結局、いいものは、もの自体が豊かな価値を持っていて、それによってお客様につながっているんですよね。だからお互いにとって不毛なクレームが来るということは少ない。(第四章、p162)

我を通さず、地域の人々、そして自然とも調和しながらものをつくっていくのは日本のものづくりの美徳でもあるんですよ。(第五章、p180)


dZERO新人HKのひとこと

日本の「ものづくり」を世界に発信し、ジャパンブランドを確立させたいという情熱がひしひしと伝わってきます。日本酒とアパレルという衰退産業だからこそ、自分たちの手で未来を切り拓いていくことができるという強い思いが言葉のあちこちに散りばめられています。新しいものではなく、見向きもされないものだからこそ、そこにチャンスがあるのだと見出した観察眼がお二人に共通しており、読み終わった後には何かに挑戦したくなるような対談でした。たとえ業界全体が衰退の方に向かっていたとしても、砂漠にオアシスがあるように、そこにはチャンスが転がっているものですね。むしろ、衰退するからこそのチャンスというものがあり、そのチャンスを生かすことができれば利益を独占することも可能なのかもしれません。

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