見出し画像

言葉のズレと共感幻想

はじめに


 はじめまして、dZERO新人のHKです。今回は、「思考」テーマの著作を出し続ける著述家・細谷功さんとメガヒットを飛ばし続ける漫画編集者・佐渡島庸平さんの対談『言葉のズレと共感幻想』を紹介させていただきます!


「具体と抽象」深掘り編!


概要


「人は言葉を過信している」「スティーブ・ジョブズも歴史には残らない気がする」
「思考」テーマの著作を出し続ける著述家・細谷功と、メガヒットを飛ばし続ける漫画編集者・佐渡島庸平による「具体と抽象」の往来問答。ダブリング、企画・編集、コミュニケーション、高等遊民、バーチャル、お金、ハンコ文化、墓参り、福岡移住、COVID‑19、共感エコノミー、などの対話を通して、無知の「無知」を知るためにはどうすればいいのか、メタ認知を上げれば虚無主義に近づくがそうはならないためにはどうすればいいのかを探ります。


ご購入はこちらからどうぞ
dZEROサイト Amazon

著者紹介


 著者は「知と社会と自分」の関係がシンプルに可視化されている「知の構造」シリーズ『具体と抽象』『「無理」の構造』『自己矛盾劇場』のでおなじみの細谷功さんと、編集者でコルク代表取締役、漫画家や小説家などのクリエーターとともにインターネット時代の新しいエンターテイメントの創出を目指している佐渡島庸平さんです。


この作品のポイントと名言


細谷さんが考案した「ダブリング」(DoubRing)、あれは非常におもしろいですね。二つの言葉の関係性を二つの円で表現するなんて。(第一章、p16)

そもそも「仕事」と「遊び」の関係性が人によって違うのに、その違いを認識しないままワークライフバランスについて語っても、砂上の楼閣以下の話になってしまいます。(第一章、p20)

ダブリングを試すと、自分の抽象概念が他者とどれくらいズレているかを意識するようになりますね。ダブリングをしてから会話を始めると、お互いに言葉をそろえようとします。(第一章、p21)

トラブルって、差に気づいて、すり合わせる行為なので、見ないふりして、お互いが我慢しながら行動するよりもずっといい。(第一章、p28)

でも世間の多くの会話は、飛び石のようになっていて、どこにもつながっていない。(第一章、p35)

人は自分が「切り取っている」ということには気づいていません。自分が見ている範囲は実際よりもとても狭い世界なんだけど、それが世界のすべてだと思っているわけです。(第二章、p40)

抽象というのは、ある特徴を引っ張り出してくる作業で、ダブリングにもつながりますが、人によって引っ張り出し方が違います。そのために、ギャップが生じてしまいます。(第二章、p42)

「抽象度イコール自由度」といってもよく、ある目的を達成しようと思ったら自由度は少ないほうがいいんです。(第二章、p47)

「社会人になる」とは、すでにある習慣に違和感なく馴染めるようになることなのか。それとも、自分なりの価値観を持ち、周囲に惑わされなくなることなのか。(第二章、p53)

作家といい信頼関係が築けて、わからないところを徹底的になくすと、なんとその作品がヒットするんです。(第三章、p62)

たとえば「信頼」と「信用」という言葉について、どういうふうに意味が違うのかと聞かれるとほとんどの人はパッと答えられません。(第三章、p64)

基本的に経営者というのは、会社全体を見たり、長期で考えたりといった形でメタ認知が不可欠なわけですが、あまり客観的になりすぎると学者や評論家の視点になってしまって実行ができなくなってしまう。(第五章、p96)

コミュニティは分化と結びついているということですけど、コミュニティもまた、誕生から成長という過程を必ずたどって成熟を迎えるものですよね。(第六章、p105)

抽象度の高いレベルで話し合いが行われるので、コミュニティ内で楽しく何度も話し合える空気があって、自然とみんなの意識がそろっていく感じがあります。(第六章、p107)

名もなき人たちは猛烈に働いていたかもしれませんが、歴史に残った人で実はまともに働いてた人はほぼいないかもしれない。スティーブ・ジョブズもビル・ゲイツも五百年単位で考えると、歴史には残らない気がする。(第六章、p111)

僕たちは、テクノロジーによって、高等遊民のような生き方ができるようになってきています。でも、価値観の変化がそれに追いついていないように感じます。(第六章、p120)

「ググレカス」と言うのは簡単だけど、そうではなく、来る人来る人が同じことを聞いて、それに毎回答える人がいてもいいし、それも大事な役割だし出番なんじゃないか。(第七章、p131)

言葉が生まれる、ということは概念が生まれているってことですね。(第七章、p136)

他者の力を借りず、自力で解決したと思っていると、自分は苦労して乗り越えたのに、頼るのは怠けている証拠だと、極端な自己責任論になったりする。(第八章、p145)

ビジネスはタイミングだといわれますけど、思いついたアイディアが二十年後に来ていないってことはなくて。思いつくっていうのも、なんらかの時代の影響ですから。(第八章、p146)

観察力とは何かと考えていくうち、観察力を上げるという行為は自分の無知を知る行為と限りなく近いと考えるようになった。(第八章、p151)

ジョブズは、主観と客観、具体と抽象を大胆に何度も行き来する思考をしていたから、ビジネスでも成功したのでしょうね。(第八章、p155)

抽象は、あるところからは上がるのが難しくなります。だから具体と抽象の距離を開くためには、具体を下げていくしかないんでしょうね。(第九章、p173)

一番盛り上がるのはおそらく、講演者がお金をもらわなくて受講者がお金を払う場合でしょうね。(第十二章、p225)

アドラー心理学的にいうと、不安になることにはメリットがあるんですよ。うつ病も、うつ病になることにメリットがある。どちらも自分を守ろうとする行為だから。(第十三章、p228)

よくわからない「責任」というものを回避しようとしている。責任を取らないといけないことへの不安のほうが、病気への不安よりも大きいように思います。(第十三章、p229)

社会で当たり前のように使われている概念が、本当に幻想ばかり、虚構ばかりに思えてなりません。(第十三章、p230)

人間の考えることって、実はほとんど進化していないんですね。自分流に好き勝手にアレンジして、さも新しく見つけたふうに言い出した人が、その時代の知識人みたいな雰囲気になってきただけなんだと思います。(第十三章、p231)

所有が諸悪の根源というのを仏教的に言い換えると、所有はほぼモノに囚われている状態だということになります。その囚われをどう外していくかが問題になる。(第十三章、p235)


dZERO新人HKのひとこと


 こんにちは、dZERO新人のHKです! 細谷功さんと佐渡島庸平さんの対談を読んでいて、これは現代版禅問答だなと思いました。具体と抽象をリズミカルにかみ合う会話が、まるで令和という時代に合わせて作り変えられたクラシック音楽のようだと感じました。細谷さんが考案された「ダブリング」という考え方は直感的に理解できるようになっていて、私も使ってみようかと思います。佐渡島さんの福岡移住の話も大変興味深くて、そんなふうに移住先を決めようと思ったことはこれまでなかったなと考えました。
 メタ認知を上げて無知の「無知」を知ることの大切さと、上げすぎれば虚無主義に近づくことに「抽象」というものの奥深さを感じました。虚無主義にとらわれてしまわないためには、ときどき具体のレベルまで降りて来る必要があるのでしょうね。具体のレベルにばかり留まっていてもダメだけれど、逆に抽象のレベルにばかり留まることもダメだとよく理解できました。具体と抽象の間を軽やかに行き来できれば、人生がより豊かになりそうです。

おまけ



著者が出演しているここでしか(!)見れないオリジナル動画
細谷功の「思考の積み木」 第1号 「考える」を構成する6つの積み木
https://shop.dze.ro/contents/6

細谷功の「思考の積み木」 第2号 フェルミ推定
https://shop.dze.ro/contents/3

細谷功の「思考の積み木」 第3号 仮説思考力
https://shop.dze.ro/contents/4

細谷功の「思考の積み木」 第4号 フレームワーク思考力
https://shop.dze.ro/contents/5

細谷功の「思考の積み木」 第5号 抽象化思考力①
https://shop.dze.ro/contents/2

細谷功の「思考の積み木」 第6号 抽象化思考力②
https://shop.dze.ro/contents/7


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?