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[高齢者歯科・摂食嚥下分野攻略の道]:第116回歯科医師国家試験C問題解説

こんばんは、摂食嚥下Dtです。

今回はC問題の解説を行なっていきます。

第116回歯科医師国家試験C問題解説

摂食嚥下に関連する問題はC問題では1題のみでした。

C-80

80 88 歳の男性。介護者から食事時間の延長が認められるとの訴えがあり、歯科訪問診療を行った。Lewy小体型認知症の診断を受けて特別養護老人ホームに入所中であり、生活全般にわたり全介助を必要としている。現在の食形態はミキサー食である。上顎義歯を有していないが、家族は積極的な歯科治療を望んでいない。初診時の口腔内写真(別冊No. 33)を別に示す。

まず行うのはどれか。 2 つ選べ

a 間接訓練 b 舌圧検査 c 口腔衛生管理 d 嚥下内視鏡検査 e 食事場面の評価


解答→c,e

解説

優先度の高い事項を二つ選ぶ問題。
まず口腔内清掃不良が明らかなので、cの口腔衛生管理が必要。
そして主訴の「食事時間の延長がある」ということについては、実際の食事現場を見て原因を精査しなければなりません。よってeの食事場面の評価も必要。
これは、ミールラウンドのことですね。

Advance

少しミールラウンドについて触れておきます。

私がミールラウンドをする際は「姿勢不良がないか」「機能面に異常がないか」「食形態が合っているか」の順番で3点を注視しています。

今回のケースの場合、以上の3点を考慮しながら、今回の主訴「食事時間の延長」について対応していく。

また本患者はレビー小体型認知症とのことから、幻視により食事が進まないのか、また幻視を抑えるため抗精神病薬を服用しており、その副作用により覚醒不良もしくは薬剤性パーキンソニズムになり食事が進まないのか、などの要因も考えられる。

いずれにせよこういったことは、実際の食事現場を観察しないと判断がつきません。

マニアックではありますが、抗精神病薬は嚥下状態を落とす薬剤として有名です。実際臨床現場に出たらお分かりになると思うが、代表例は「リスペリドン®️」です。絶対に一度はお見かけする機会があると思います。

あともう一点、食事時間の目安は30分とされていることも頭の片隅に置いておきたいところ。

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