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[9月第2週] DAOレポート Vol.36 | Nouns DAOがフォーク 40億円相当のトレジャリーと共にイグジット 「DAOの夢」は潰えたのか?

1日に1つのNFTをオークションにかけることで有名なNFTプロジェクトNounsのDAOがフォーク(分岐)し、半数以上のNFTがオリジナルのDAOを抜けて新たなDAOに参画する結果となった。NFTプロジェクトの中で唯一DAOのトレジャリーランキングに食い込むNouns DAOだったが、完全分散型でNouns保有者による保有者のためのガバナンスをDAOで行うという壮大な社会実験は失敗したと結論づけられるのだろうか?

Nouns DAOの「フォーク#0」には、846Nouns NFTのうち472NFTの保有者が参加。総額16,575 ETH(約40億円)を新しいDAOに持ち込んだ。新たなDAOに参入したNouns保有者には、①新たなDAO用に同じアートで異なるNFTが発行されるが、「Ragequit」というオプションがあり相応のトレジャリーの取り分が与えられる。今回は、1NFTあたり35.5ETH(850万円)が取り分だ。

新たなDAOのトレジャリーのバランスは現在7874.16 ETHとなっている。

フォークを受けて、Nouns DAOのトレジャリーランキングは34位から68位に後退し、トークン保有者数も35位から314位に大きく順位を下げた。

Nouns DAOのトレジャリー額 推移 出典: DeepDAO


「DAOの夢」は潰えたのか?

Nouns DAOの参加者からは「非中央集権的なDAOの運営はとても難しい」ことが浮き彫りになったという声が聞こえてくる。そもそも一体なぜフォークを可能にする機能をバージョンアップで入れてしまったのか(またはそれほどまでにコミュニティの分裂が凄まじかったのか)、検証に値するだろう。Nounsがローンチしたのは2021年。ピークは、米国スーパーボウルにおけるBud LightのCMにNounsが登場した時点だろうか。

「この事態になっても、一体なぜ我々はこうなってしまったのか、どうやったら将来避けられるのか、今はどのように事態収拾できるのか、具体的な議論がない」

出典 Nouns保有者 Hindsight 


今回露呈されたのは、改めて「DAOは1日にしてならず」という教訓かもしれない。DAOとはゴールではなくて方向性であり(完璧なDAOが未来永劫生まれることはなく常に改善し続けなければならない)、「段階的な分散化(Progressive Decentralization)」が大事であるという点だ。Nounsの文脈でいうと、10人のNondersやNouns Foundationなどといった「コアチーム」がどの権限をグリップしておくべきだったか、検証しても良いだろう。

話題のTweet

クリプトOGでShapeshift創業者Eric Voorheesのスピーチ。米国カンファレンスPermissionless IIにて。これは聞いた方がいいです。

トレジャリーデータ

DeepDAOによると、9月18日時点でDAOトレジャリーの総額は175億ドルと前週比で3.85%減少した。内訳は、流動性のある資産(Liquid)が155億ドル、権利が確定していない資産(Vesting)が23億ドルだった。
ガバナンストークン保有者は760万人で、アクティブDAOユーザーは270万人だった。

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