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[8月第4週] DAOレポート Vol.33 |全てのソフトウェア開発者に対する攻撃?トルネードキャッシュ訴追の本当の論点

イントロ

ソフトウェアの開発者=資金の送金業者なのか?

イーサリアム基盤の取引匿名化ミキシングサービス「トルネードキャッシュ」の創設者が米司法省に起訴されたことを受けて、ソフトウェア開発者に対する取締りが厳しくなることを危惧する声が高まっている。

8月23日、米司法省は、トルネードキャッシュの共同創設者であるローマン・ストーム氏とローマン・セミョーノフ氏を起訴したと発表。ストーム氏は米国ワシントン州在住で逮捕されたが、ロシア国籍のセミョーノフ氏は逃亡中だ。司法省はトルネードキャッシュが10億ドル以上の資金洗浄(マネーロンダリング)の手助けとなっており、中には北朝鮮のサイバー犯罪集団「ラザルス」の資金も含まれていると指摘した。

問題となっているのは、トルネードキャッシュが資金送金業をライセンスなしで行っていたという罪だ。ソフトウェア開発者と資金送金業者にはどんな違いがあるのだろうか?米金融犯罪取締ネットワーク(FinCEN)のガイダンスには以下のように書かれている。

匿名化ソフトウェアの提供者は、送金業者ではありません。FinCENの規制では、送金業者が送金サービスをサポートするために使用する「配信、通信、またはネットワークアクセスサービス」のみを提供する者は、送金業者の定義から除外されます。これは、匿名化ソフトウェアのように、送金に利用されるかもしれないツール(通信、ハードウェア、ソフトウェア)の供給者は、取引に従事しているだけで、送金には従事していないためです。

つまりトルネードキャッシュの創業者たちは、ユーザーが資金を送金するためのツールを作っていたかもしれないが、自分達が資金送金業を担っていたわけではないと言える。ユーザーが取引メッセージをスマートコントラクトに送るためのインターフェースのホスティングサービスやGitHubの管理はしていたが、これらの行動は資金送金業には当たらないはずだ 。

今回の件は、マネロンが主題というより、すべてのソフトウェア開発者の自由に対する攻撃と見るべきかもしれない。

注目のDAOトピック

  • Osmosis USDT流動性供給目的でコミュニティの資金を使うことに関する提案 

    • Osmosisコミュニティプールから最大800,000 OSMOを割り当てて、Kava Rise Rewardsに見合うものとし、CosmosにUSDTの流動性を促進し、OsmosisをネイティブUSDT流動性の主要な取引場所として確立することを目指す。

    • USDTは現在、Kava上のTetherのコントラクトデプロイメントを介して、IBCチェーン上でネイティブに利用可能。

    • 提案574により、Osmosisガバナンスは、Kava経由のUSDTをUSDTの標準バージョンとして認識し、提案579で初期のプールが作成されてた。

    • このコミュニティ支出は、今後3ヶ月間のKava RiseイニシャチブにおけるOsmosisの割り当てから得られる外部のインセンティブに見合うものとなる。

  • マーケットメーカーのWintermute DYDXトークンの移行(Migration)に関する提案

    • 今後リリースされるdYdX v4ソフトウェアを、dYdXプロトコルの次のバージョンとして採用

    • DYDXトークンをdYdXチェーンのプライマリトークンとして採用

    • Ethereumスマートコントラクトを統合し、DYDXトークンの移行をEthereumからdYdXチェーンへの一方向ブリッジを可能にする。

    • Snapshot投票が成功した場合、DYDXトークンの保有者は、実装を助けるために提案権限をWintermuteに委任することを推奨

    • Snapshot投票が成功した場合、wethDYDXのガバナンスとユーティリティ機能に対するオンチェーン投票が共有される予定

  • Aave  トレジャリーのRWA(Real World Asset)配分提案

    • Aaveトレジャリーのステーブルコイン保有分の一部を、Centrifuge Primeを通じて実物資産(RWA)への投資に割り当てることを目的としている。

    • 目的としては、保有するだけのステーブルコインからの利回りを獲得、担保を暗号資産だけでなく多様化、RWA市場の専門知識の構築があげられている。

    • 初期の計画では、1M USDCを短期の米国債に投資し、将来のガバナンスの決定に基づいて、Aaveのステーブルコイン保有分の最大20%まで拡大する可能性がある。

  • Uniswap 全てのチェーンにV2を実装することを提案

    • Uniswap DAOは、V3がデプロイされている全てのチェーンに、V2 AMMの「標準バージョン」をデプロイする提案を検討しています。

    • この文脈での「標準バージョン」は、Uniswapガバナンスによって所有され、管理されるバージョンを指す。現在、V2のカノニカルバージョンはEthereumにしか存在しない。

    • このデプロイメントには、①非Ethereumチェーン上でV2スタイルのAMMに対する需要に応える、②フォークバージョンからユーザーを保護、③ ユニバーサルルーター上の小容量のラッパー(wrappers)の実行を改善する。

    • 提案がオンチェーンで承認された後、Uniswap Labsは、既に承認されたV3の実装と整合する形で、V2のデプロイメントを進める予定

話題のTweet

しっかり準備したのに・・・。トレードでも同じことが言えそうですね。


トレジャリーデータ

DeepDAOによると、8月28日時点でDAOトレジャリーの総額は197億ドルと前週比で1.99%減少した。内訳は、流動性のある資産(Liquid)が199億ドル、権利が確定していない資産(Vesting)が28億ドルだった。
ガバナンストークン保有者は730万人で、アクティブDAOユーザーは300万人だった。

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