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[現代版]天岩戸ぼっち
お話
今日は暑いな。いや、違うな。これは、熱い、だ。
「ハァ、おま、ちょっっ!マジ無理なんだけど。」
天照大御神(アマテラスオオミカミ)、絶賛ガチギレ中。
「ねぇちゃん、ゴメンて~」
きょどる須佐之男命(スサノオノミコト)。
「うっせえわ、このDQNが。普通にないわ!田んぼ壊すとか、馬殺すとか。どーなってんだよ、マ ジ で!!」
こうなると手がつけられない。さすがは太陽神。怒りがレベチである。この世ごと弟を焼き殺しかねない。だが、
「ねえちゃん、オコなの?」
「・・・・・・・・・!!!!!」
オワタ。こりゃアカン。天照大御神の逆鱗に触れた。
「めんど。もういいわ。」
ごみを見る目で弟を見やり、天照大御神は岩の洞窟の中へ入っていった。これが後の世に知られる「天岩戸」である。
やがて世界に暗闇が訪れた。食べ物は育たず、病気が蔓延し、飢えや病に苦しむ者も出始めた。
「おいおい、ガチでやべーぞ。どうすんだよ、お前。オニギレだったじゃん」
手力男命(たぢからをのみこと)が詰め寄る。
「おれ、ミスったかも。きちーな。なんも見えね。この世、オワコンだわー。エグいわー」
「テキトーなこと言ってないで、どうにかしねーと」
「それな」
力なく答える須佐之男命。素でわかっていないのか、ことの重大さを。このままこの男と話し続けると病むな。手力男命はいらいらしながらも提案した。
「とりま、いつメンで話そう。この状況はマズいって」
「りょ」
いつもの河原にいつもの顔ぶれが揃っていた。
「しかし、まぁ、やってくれたねー。ぼく、そこまでひまじゃないんだよ」
思兼神(おもいかねのかみ)は髪をかき上げながら須佐之男命を見る。相変わらずの優男である。
「いやいや、まじサーセン。ちと姉ちゃんガチギレさせちゃって」
天鈿女命(あめのうずめのみこと)はじろりと須佐之男命を見る。
余計なことしやがって。しかし、この状況はどうにかしないと。いつまでも真っ暗なダンスホールで踊っていてもつまらないし。天照大御神がヒッキーのままだと、自慢のダンスも披露できないじゃん。
「じゃあさ、わたし、踊るよ」
「踊る?」
訝しがる手力男命。
「そう。でさ、みんな、周りでテンアゲね。バイブスガンガン上げてさ、めっちゃ楽しそうにしてたら、天照大御神もワンチャン出てくるんじゃね?で、その瞬間に思兼神がうまいこと言って連れ出してよ。チャラ男なら余裕っしょ?」
「イケメンの宿命か」
思兼神はまんざらでもない。
「テラやば、神ってるね。」
手力男命は天鈿女命の頭の回転の速さに舌を巻く。
「いや、わたし、ふつーに神だし」
「で、おれはどーする?」
「とりま、扉、押さえておいてよ。手力男命は力強いんだし」
「あーね。いつやる?」
「今でしょ!」
こうして天鈿女命の名案により再び世界に平和が戻りましたとさ。めでたしめでたし。ノシ
あとがき
はじめは違う話を書こうと思ったのですが、職場で天岩戸の話になり、どんな話か思い出すために調べていたら、この話を書いていました。
言葉の流行り廃りは目まぐるしく、使い方も刻一刻と変わります。今昔組み合わせて作ったこの世界。自分のフィルターで見た世界は、周りの人にはどう見えているのだろうか?
参考資料
若者ことば(と思われる言葉) 意味・用法 1 (・ω・)どやっ どーや
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