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給与デジタル払い解禁に向けて

厚労省がいよいよ本格的に取り組む様相だ。

お金の流れが大きく変わる

これまで金融機関は新社会人の給与受け取り口座の開設に力を入れてきた。そして定期預金、公共料金の引き落としなど生活資金の運用は、この給与受け取り口座から始まってゆく。

将来的には住宅ローンの借り入れ、返済、年金の受け取りなど将来にわたり金融機関は顧客との取引を維持し、そこからさまざまな手数料収入を得てきたのである。

ここにきて、政府がこのような政策に踏み切ってゆく背景にはキャッシュレス社会へのシフトがある。市場に出回る現金を減らしてゆき、ゆくゆくはすべてがデジタル化されることで、お金の流れが追跡しやすくなる。

そうなれば、脱税防止、マネーロンダリングの防止など犯罪抑止にも効果が期待されるだろう。

手数料収入ビジネスはますます厳しくなる

利用者にとって振込手数料負担はとても大きく感じる。これは個人消費者はもとより法人ならばなおさらだ。ここ最近、メガバンクを中心に振込手数料の値下げの議論が出てきている。

ネットバンク各社は毎月何回かの振り込みに対しては手数料無料などのサービスを拡大してきている。レガシーな金融機関はサービス面での差別化が難しく対応スピードもネットバンクの後塵を拝することになる。

かくいう私はメインバンクがメガバンクなので地方に住んでいると現金の引き出しにも手数料がかかる。そのため、最近はほとんどLINE Payにチャージして買い物をしている。チャージには手数料がかからないので手数料を節約できるからだ。

電子マネーによる送金がメリットを増してくる

さて、給与の支払いが直接電子マネーで行えるようになるとどうなってくるのだろうか。給与を支払う法人、団体も支払手数料次第では積極的に活用するようになってくるだろう。

そもそも、私たちが法定通貨を利用する最も大きな理由は、納税が法定通貨しか使えないことにある。もちろんクレカによる公金決済なども広まってきているが、電子マネーでの納税が広がると現金の用途は次第に減ってゆくことになる。

また、個人間のお金のやり取りも、電子マネーの送金機能を使うシーンが増えてくると思われる。

そうなると、多くの給与受け取り口座に流れてきたお金が金融機関を経由せず市場に流通することになってくる。これは金融機関にとって大きなインパクトになるはずだ。

コロナ禍がさらに拍車をかける

現金の受け渡しは、不特定多数を経由するため公衆衛生の面でも電子マネーのほうが有利だ。感染防止対策に有効なのである。また、小売業にとっても電子マネーが増えれば釣銭の準備負担が軽減できるので財務的にもメリットが大きい。

これから中間的な存在は存在意義が問われる時代となるだろう。

たとえば、芸能事務所、最近Youtuberの芸能事務所と言われる「UUUM」でさえも独立するYoutuberも増えてきている。あるいはメディアのような媒体、そして金融機関など、何らかの取引の中間に位置して手数料収入を得ていた業態は「中抜き」が進むにつれて、どんどんビジネスが厳しくなってゆく。

給与のデジタル払いはキャッシュレス社会の一丁目一番地となるだろう。一気に電子マネーの普及が広まる。決済事業者は数々のキャンペーンを打って利用者拡大に力を入れてくるだろう。

金融機関とて、もはやかつてのように盤石な体制ではなくなってゆく



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