器(詩)

器の中から　水が溢れそうだよ
お願いだから　注がないでおくれよ

ガラクタみたいに汚いから
価値なんか一円もないけれど
僕の器はこれしかないんだ
僕の器は変えられないんだ

器の中から　水が溢れそうだよ
お願いだから　注がないでくれよ

ほとんどの器は水の量が
半分くらいしか入ってなくて
簡単に操れるんだってさ
僕のは最初からタプタプなのに

器の中から　水が溢れそうだよ
お願いだから　注がないでくれよ

石みたいに重くなった器を
岸辺まで運んでみたところ
ミシミシと音を立ててるの
致死量はもうすぐかなと思うよ

器の中から　水が溢れそうだよ
お願いだから　注がないでくれよ

みんなが出来るからって
みんなとは違う器なのに
みんなと同じようには
出来ないって事なのさ

器は心の中　器は形が見えない

誰も分かってくれない　器が壊れてしまうまで

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