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ドリアンのマタイ・ワールド

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マタイ福音書ノートの目次
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#受難

パッションとミッション マタイによる福音書26~28章

マタイによる福音書26~28章 マタイが記録しているイエス・キリストの最後の5日間の出来事。宣教の大命令と言われる一言を最後に完結します。

夕暮れ時に光がある

マタイ27:45-61 日中、急に太陽が光を失い、あたりが暗くなってきたら、驚くでしょうか。日蝕だとわかっていたら、むしろ関心をもってどうやって観察しようか、と行動するかも。 でも、3時間も暗い時間が続いたら、異常事態に不安を感じるはず。 もし、地球全体が闇に包まれたとしたら、何があったのかと、世界中で大騒ぎになっていたはず。 西暦30年4月7日だったと推定されています。 その日、エルサレムの全天が3時間にわたって暗くなりました。 あ、全天ではなく、全地が、でした。

極刑と恩赦

マタイ27:11-31 罪に対する刑罰は当然。その最も重いのが「極刑」と言われる死刑。論争はあるけれど、被害者の家族の心情からしたら、それを求めるのも無理はないなぁ、と思えるのも確か。 命には命、目には目、歯には歯、、、償わせなければならないと定められているのが旧約の律法です。 でも、イエス・キリストの命を強硬に求めた宗教家たちは、自分たちが何か被害を受けたからと極刑を要求したのではありませんでした。 神の真理にではなく宗教の伝統に根ざしてしまっていたための、キリスト

宗教のシンにある神の真理

マタイ26:57-68 インドネシアでは、長い間、公認宗教が五つに定められていました。(今では六つになっています。) 国民は、そのどれかの宗教に所属していることを記載しているIDカードを持っています。外国人も、必ず何の宗教か、携帯するカードに記載。 そういう国で、日本には無宗教を標榜する人がいる、と言うと、怪訝な感じをもたれます。 でも、「宗教」とは何か、という点で、一般には日本とは違った理解があるかもしれません。 インドネシア政府が言う「宗教」の要件は、唯一神の信仰

イエスの捕縛

マタイ26:47-56 聖書をドラマ仕立てで映像にしているものが多数あります。 映画だと、古くは、「十戒」。1956年のハリウッド映画で、イスラエルがエジプトから脱出する話が描かれています。圧巻は、エジプト軍に追われて逃げ場なく海岸におびえて立つ百万の群衆が、モーセが指示した杖の先の海が左右に分かれ、乾いた道となって、そこを群衆が逃げ行く場面。 マタイの福音書も、聖書の言葉通りのナレーションとセリフで作製されたドラマがあります。イエス・キリストの捕縛の場面は、そうしたド

「油しぼりの園」での祈り

マタイ26:36-46 この頃は住宅街を散歩すると庭木にオリーブをよく見かけます。瀬戸内海地方で生産されるオリーブ・オイルもけっこうでまわっています。アニメの「ポパイ」で見るオリーブくらいしか知らなかった世代にとっては、今の日本は世界の食材がすぐ手元にあるのが不思議です。 「油しぼりの園」とタイトルに書きましたが、地名は「ゲッセマネ」。ゲッセマネの意味が、「油しぼり」なのでした。オリーブ山と呼ばれる丘陵の中にある油しぼりの場所だったのでしょう。谷を挟んだ隣の丘の都市が、エ

ミステリー完結に向けて…過越の祭前のイエス殺害の策略

マタイ26:1-5 毎日が天国だったら、どんなことになるでしょうか。マタイの福音書は、「天国のミステリー(奥義)」をまとめたもの、とも言えそうです。その結末が、イエス・キリストの受難と復活。 「受難週」と呼ばれる、イエス・キリストが十字架で死ぬ日までの1週間。マタイは福音書の21~27章で描きます。最後の28章は復活後の話。 イエス・キリストの三十数年の地上生涯のうち受難週の記録が、福音書の約3分の1を占めています。ここには、この世の終わりはどうなるか、というイエス・キ

イエスの葬りの用意をしたただ一人の人マリヤ

マタイ26:6-13 生前葬というのを、今では時々話を聞きます。2000年前に、それをイエス・キリストに対して行った女性がいました。ベタニヤのマリヤです。「葬りの用意をした」、といって、生前葬だったのです。 他の弟子たちはカンカンになって怒ります。なぜだったのか。それより、マリヤはなぜ生前葬をしたのか。実際、それから1週間目にイエス・キリストは十字架にかけられ殺されたのでした。 さて、イエスがベタニヤで、重い皮膚病の人シモンの家におられたとき、ひとりの女が、高価な香油が