- 運営しているクリエイター
#記録
自分の言葉② 『午前四時のブルー』Ⅲ
先日刊行された『午前四時のブルー』Ⅲ号に、
「もう一度、腕に火を––––マルグリット・デュラス『死の病い』」というエッセイを書きました。
小林康夫先生はデュラスのテクスト「死の病い」との出会いについて書くようにおっしゃいました。
わたしもそのように、テクスト「死の病い」との出会いについて書こうとしました。
二十歳の誕生日に「死の病い」を読むに至ったいきさつについて書こうとしました。
大学ノートに
自分の言葉① 小林康夫先生
二〇一八年暮れのことです。
フリーランス校正者として通っている出版社の大理石の床の上に、十五センチくらいの一本糞が落ちていました。目を疑いましたが、どう見ても人糞でした。一階の奥の図書室につづく廊下を歩いていくと、トイレの手前に落ちていたのです。
大理石のビルにはもう十五年余り通っていますが、人糞に遭遇したのは初めてのことでした。あまりにも思いがけない景色だったせいか、たちまち動悸がしてきました。
古井さんの「遺稿」を読んだあとに
寝るのはいつも明け方近くなので、けさ見た夢ということになるが、本当にひさしぶりにあなたが出てきてくれて懐かしかった。
あなたは映画に行こうと言って、てのひらに4枚のチケットを並べてみせた。わたしは身をのりだして映画のタイトルを読もうとした。
チケットはどれも破線から下が切り取られていた。
そこで目が覚めた。
10年のうち、あなたと映画に行ったのは一度だけだった。
2004年1月23日に日比
古井睿子インタビューから古井由吉「遺稿」へ
二月に八十二歳で亡くなった古井由吉の最後の作品「遺稿」が新潮五月号に載っている。未完に終わったことが無念に思われてなかなか目を通す気持ちになれなかったが、六月になって『古井由吉 文学の奇蹟』(河出書房新社)が出て、末尾に掲載されている古井睿子インタビュー「夫・古井由吉の最後の日々」を読んだことで、これに続けてようやく「遺稿」を開いた。
「夫・古井由吉の最後の日々」
古井の妻・睿子さんが、夫の最