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【翻訳】ブライアン・メイ、ジェフ・ベックへの思いを語る

どうも、弾青娥だん せいがです。今回の投稿は、ロック音楽関係の話題です。

2023年のロック音楽界が伝説的ギタリストのジェフ・ベックの死によって大いなる悲しみに包まれています。そのなかで、今回はQueenのギタリストであるブライアン・メイの追悼コメントを紹介しているBlabbermouthの記事(元記事は以下にございます)の抄訳をいたしました。



ブライアン・メイ、5分の投稿動画でジェフ・ベックを追悼――「計りなき喪失」

火曜日(1月10日)に亡くなった英国出身のギターレジェンドであるジェフ・ベックを数々のミュージシャンが追悼するなか、Queenのブライアン・メイもその輪に入った。

The Yardbirdsでの活動で名を成し、ロックの殿堂入りを果たしたミュージシャンは細菌性髄膜炎に感染した後に「突然」亡くなったと、関係者が明かした。

ブライアン・メイは木曜日、自身のソーシャルメディアに5分の動画を投稿し、そのなかで自らのコメントは「ギターの天才であり友達である人物を失った悲しみに対する思い」だと打ち明けている。

ブライアン・メイは、こう語っている。「誰もがジェフのことを話したいなか、私は苦しみでもがいている感じです。私にコメントを求められるのは当然でしょう。ですが、マスコミに向けて話せそうにないのが実際のところです。準備ができていると思えないのです。今回の一報は異例たる訃報です。ジェフは非凡な人物でした。自分の言いたいことを整理するのを別にして、ジェフがこの世にいないという事実を飲みこむのは辛いのです」

続けて、こう述べている。「ジェフはまさに唯一無二の存在でした。こうだと決めつけることはできないようなミュージシャンでもありました。とにかくジェフのことを畏れ敬うばかりでした。私より数年ばかり年上の彼は私と出身地が同じでした。ですが、会った時からずっと私のヒーローでした。私もああしてみたいと夢見ることを、やってのけていました。私が学生だった時でも、ジェフはすでにThe Tridentsで、それからThe Yardbirdsで活動して段違いのことをしていました。まさしく彼みたいになりたいと思える、私にとって、大きな、大きなインスピレーションをもたらしてくれました……まさにジェフのようになれませんでしたが、自分の思いを彼のように表現するようになりました」

「ジェフの感情、音、フレ―ジングの奥深さと、ジェフがいかにして心の琴線に触れるかを、楽曲を聴いて知りたいとお思いでしたら、Guitar ShopというアルバムのWhere Were Youを聴いてください。GoogleでWhere Were You Jeff Beckと検索して、4分間じっくり聴いてみてください。唖然とすることでしょう。今までレコーディングされたギター音楽のなかでも一番美しい作品かもしれません。ジミ・ヘンドリックスのLittle Wingに並ぶでしょう。実に繊細で、美麗で、信じられないほどに創造的で、他のどのような曲でも耳にしたことのないようなものです。もちろん、ジェフに影響を与えたミュージシャンもいますが、彼はロック音楽に、真似を決して許さない、また比肩するのも許さないような驚嘆すべき表現をもたらしました」

「ジェフと私の出身地は同じ〔イングランド〕でしたから、地元の先輩のような感じでした。ジェフの演奏する姿を何度も、何度も見ました。目にする度、口があんぐり開いて、「どうやっているんだ?」と思うばかりでした。私はしばしば考えるところでは、モーツァルトのそばにいて、その立派たる天才が曲を作っているのを見て、その曲の発想がいったいどこから降りてくるのかと思いに駆られるような感じでした。どうして、あれほどすごいものを作ることができたのでしょうか。ジェフのもとを訪れれば、または家の近くにいれば、自家用車の下で数時間にわたってメンテナンスをしていた彼がガレージから出て来てくれるでしょう。指はグリースと泥まみれで、溝かどこかから這い出たような様子で、ギターを手にとり、このように見事に、見事に繊細な音楽を生み出す、という塩梅です」

「私は大変シャイな人間だったでしょう。彼にどう話しかけたらいいか本当にわかりませんでしたので。完全に理解することは叶いませんでした。気さくな人物ではありませんでした――おそらく彼を畏れ敬っていたからでしょう。緊張してばかりでした。ジェフのために曲を書いたことがありました――正確には、The Guv'norという彼にまつわる楽曲をソロアルバムのうちの一枚[1998年発表のAnother World]のために仕上げたことがありました。彼は私のスタジオにやって来て、一緒にその曲を演奏して、笑い合いました。とんでもない演奏を披露してくれました。再び、私の口はあんぐりとなりました。同じ空間にいる時の私に、ギターを手にとるのは本当に無理なことでした。信じられない腕前でしたから。演奏をじっと見て、耳を傾けたいという思いしかありませんでした。ジェフはトラックに合わせて演奏しましたが、「ああ、何でも来い」という姿勢でした」

「私がどれほど彼を尊敬しているかを正確に言葉にできるとは思いません。彼には写真を渡したはずです(笑)。ジェフに分かっていたかは分かりません。親友ではなかったという印象です。それは別に驚くに値しないことでしょう。けれども、とりわけこの場合、彼に電話をかける機会が何度もあったように感じています。親友の間柄だったならと思います」

「とはいえジェフ・ベックは、私が今までの生涯で会ってきたどのギタリストにとっても非常にユニークであり大きな影響力を持つ人物です。計りなき喪失です。もうこの世に彼がいないのが悲しくてたまりません。今も頭で彼の死を処理できていません。恐縮ですが、こればかりが私がたった今お伝えできることです」

「昨晩、昔からあるThe Yardbirdsのアルバムを複数聴いていました。Over Under Sideways Downはジェフがバンドに入って自分の全てを出した初期の曲でしょう。聴いてみてください。Shapes Of Thingsも――ああ、そういえば、創設期のThe Yardbirdsのその曲のソロに差し掛かると、宇宙ロケットが打ち上げられた感じを覚えます。あのようなものは以前に耳にしたことがありませんでした。音色はギターのように聞こえるギターではなく、シタールと何らかの不思議な管楽器を組み合わせたもののようでした。とにかく聴いてください。曲を聴いた当時の私は本当に驚きました。今こうしてギターを弾けますが、今のようにギターを弾きたいと思うようになった大きなきっかけの一つでしたし、できるならギタリストという職に就きたいと思う契機にもなりました。私の記憶からずっと、一生涯、離れないでしょう……Shapes Of Thingsと、アルバムGuitar Shopに収録されたWhere Were Youの衝撃は。とんでもないことをジェフは本当にたくさん成し遂げたのです」

「気性が荒く、計り知れないところもありながら、考えていることを理解するのが極めて難しい人物でした。ですが、今までの世界において、また今後の世界においても類を見ないギターの天才のうちの一人です」

「寂しい限りですが、ジェフに神のご加護がありますように」



元記事では、ジェフ・ベックの経歴を記した文章が続きます。今回の拙訳は、ブライアン・メイのコメントを紹介したところでとどめておきます(恐れ入りますが、I hope I gave him the pictureの箇所など、いくつかの箇所の翻訳については納得がいっておりません)。

ブライアン・メイのコメントにあったように、Where Were Youを聴いてみました。「ギターが歌っている」という事例はザック・ワイルド在籍時のオジー・オズボーンの楽曲Miracle Manで知っていましたが、Where Were Youのギターは気高く堂々と歌っている印象を強く受けました。Black Sabbath、Led Zeppelinといったバンドの楽曲を聴いていたのにもかかわらず、ジェフ・ベックの音楽に触れて来なかった自分を悔やんでおります……。

ジェフ・ベックはこの世を去りましたが、彼の音楽を認知するようになった私のなかで偉大なギタリストは新たな命を得ました。私の場合はブライアン・メイを通じてようやくジェフ・ベックの作品に親しむようになりましたが、未聴の方にはぜひとも、ブライアン・メイが勧めるようにWhere Were You(以下にYouTubeの動画リンクを貼っております)をご一聴してくだされば、と思う所存です。Rest in peace, Jeff Beck.



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