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2拠点生活のススメ|第159回|不思議なタイムラグ

昔読んだ村上春樹の小説に、飛行機に乗って長距離移動すると、カラダは移動し終わっているけど、自分の意識の一部が完全に移動し終わるまでにはタイムラグが生じるといった話があった。

そのときは、どういうことを言っているのか良く分からなかったのだけれど、2拠点生活を始めて、2つの拠点を行き来していると、何となくその意味合いが分かるような気がしてきた。

わたしにとっては、それぞれの場所のモードになるのに少し時間が掛かるといったことのような気もする。例えば着いた日のベッドはしっくり来ないけど、翌日には何も気にならないとか、毎朝やっている座禅なのに、初日は集中出来ないといったことが起こる。

2拠点を始めてもう4年近くもなるのに、やはり本来の自分になるのに不思議なタイムラグが生じる。うちの愛猫クーも最初の頃は、徳島に来るとご飯もあまり食べず押し入れに何日も引きこもっていた。今は随分慣れたみたいだけど、それでも僕たち夫婦に甘えてスリンとしてくれるまで、2日ほどの時間を要する。

まあ、猫と人間は違うのだろうけど、いくら慣れた場所といえ、同期するのに少し時間が掛かると言うことなんだろうな。逆にタイムラグが解消すると、頭がリフレッシュするのか、いろんなが考えが浮かんで活性化する。

自分では気づいていないだけで、心が解放されて、当たり前の風景や匂いさえもいい意味で自分を刺激するのかもしれないな。

このまま何年も2拠点を続けていると、やがてそうしたタイムラグは無くなるのだろうか。自分にとって、もはや2拠点生活は当たり前のことなのだけれど、無意識領域においては、やはり当たり前では無いのかな。

もし月への旅行が当たり前の時代になったとしたら、そのタイムラグはいったいどれほどのものなんだろうと思ったりもする。

そのタイムラグが解消したときに、人はいったいどんなことを考えたりするんだろうか。宇宙飛行士たちは、宇宙を旅して人生観が変わるなんて話を良く聞くけど、ひょっとしたら、このタイムラグですごい活性化が起きているのかもしれないな。

そう思うと、この不思議なタイムラグはいつまでも続いて欲しいような気もする。

これは、2拠点生活の知られざる効用なのかもしれないな(笑)。

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