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2拠点生活のススメ|第25回|仮住まい気分からの卒業

徳島に拠点を開いて2年が経とうとしていた夏。折しもの巨大台風の影響で、徳島に行くとリビングが水浸しという事件がありました。仮住まいの徳島だから、まだ良かったと思う反面、徳島の存在は、もはや仮の場所なんかでは無いという強い思いも同時に芽生えたのです。

住まいがつくる暮らし

拠点を開いた当初は、介護や仕事のストレスから逃れ、気持ちを立て直す一時的な避難所という思いがあったせいか、なるべく身軽に、モノも増やさないよう心がけていました。

お気に入りのモノに囲まれた川西の家とは違い、最小限の実用品が並ぶ家。ダイニングテーブルで仕事をする、フローリングに直に布団を敷いて寝る、そんな生活に何の疑いも無く、毎日のようにサーフィンができること、美味しい食べ物に恵まれていることに喜びを見いだしていました。

年月と共に、やがて訪問者から、生活者へと少しずつ気持ちが変化しはじめます。出かけてばかりで無く、家で落ち着いて考え事をしたり、本を読んだり、自炊をしたり。本気で拠点として暮らしていくのであれば、ちゃんと仕事ができる環境や友人を迎えられる環境、部屋に居ても楽しく心地よくなる環境を整えたい、浸水被害をキッカケにそんな思いが膨らんでいきました。


そして再び物件探しが始まった

これを機会にできれば海の近くに庭のある一軒家を安く借りられないか、そんな夢が膨らみ、毎晩物件を見るのが日課になりました。慌てる必要も無いし、じっくりと気に入る場所を探すことに・・・ところが半年経っても見つからない。海の近くどころか、予算に合う一軒家は数少なく、街中の密集した建売住宅だったり、古すぎてすきま風を感じる家だったり、何軒下見しても気にいるものが見つからない。散歩しているときは、雰囲気のある空き家をよく見かけるのに何故だろう。

地元の人に聞いて少し分かったのですが、徳島は空き家があっても持ち主が売ったり貸したり、したがらないことが多いとのこと、街中のシャッター商店街も同じ理由で放置されているらしい。最初の家よりも広い2LDKや3LDKの物件は予算内で幾らでもあるけど、古いマンションで1フロアにたくさんの住居が混在するもの。いくら安くても、理想とはかけ離れ、まったく面白みを感じませんでした。


そうして見つけた、雑居ビル最上階という物件

そんな時、少し不思議な物件をネットで見つけます。3階建の雑居ビル、1〜2階はテナントで、3階ワンフロアが1軒の住居というもの。

どうやらビルオーナーの住まいだったようで、古いながら作りも凝っており、玄関も一軒家並みに広く、LDKも16畳ほど。プラス、本格的な和室と寝室も装備。お風呂にはジェットバスも付いていました。(後になって動かないことが分かる)

ただ、商業目的のビルということもあり、4車線道路に面し、バルコニーからの眺めは市内の建物が見えるだけ。隣が銀行、向かいが郵便局。200m以内にスーパーもドラッグストアも、コンビニもあるという便利な立地は魅力的だが、リゾート感はゼロ。でもよく考えてみると、これならちゃんと仕事スペースも確保できるし、和室があるので友人にも泊まってもらえる。寝室は廊下の突き当たりにあるので、リビングが賑やかでも、気にせず眠れる。しかも海までも、より近くなる。

部屋に居ても楽しく心地よくなる環境を整えたい、そんな思いにも応えられる物件。転居に当たっての基本条件をすべて網羅していることに気づきます。便利で困ることは無いし、郊外の一軒家はもっと生活スタイルに余裕ができてからでも遅くない。少し予算オーバーだったのだが、相談すると家賃も下げてもらえるとのこと。妻も異論はないとのことで、移転を決めました。


仮住まいからの卒業

折しも時期は早春。引っ越し業者に見積もりを取るとオンシーズンと言うことで、ビックリするような高価格、しかもこちらの希望するスケジュール確保も難しいということで、大きな荷物だけは便利屋さんの軽トラで運んでもらうことにして、あとは友人にも手伝ってもらってマイカーでピストン移動することに。

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この際、必要な家具も入れよう。そう夫婦で話し合い、お互いの仕事デスクとOAチェア、ベッドを購入。費用を抑えるためにIKEAで気に入ったデザインのモノを見つけ、徳島へと持ち込んだ。作り貯めていた流木の作品を飾ったり、お気に入りの絵を飾ったり、ギャラリーで使っていたプロジェクターを持ち込んで、大画面で映画を楽しんだり、川西の家同様、心地よい暮らしのための環境が整いました。

心地よい住まいが、心地よい暮らしを作る。自分たちを大切に迎えるということの素晴らしい効能を改めて知った気がします。


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