ついに銭函の地へ/古本屋履歴03
おめでとう、世界
DUALBOOKs がこの世界に誕生することを祝して「おめでとう、世界」と発したのは1年ほど前のこと。この『古本屋履歴 -DUALBOOKsになるまで-』のシリーズでは、実店舗誕生前の時代のことを整理・記録してみたいと思います。思い出を書き込んだポストイットをはりめぐらすように。ライトに、軽やかに。
(前回02はこちら)
2018年11月 NUMA
初のクラブみたいなところでの出店
『沼 NUMA』という心地よくドロドロに沈んでいくイベント(という意味だと思う)
場所は札幌、北海道の音楽カルチャー震源地 provo
会場のデコレーションからライブアクト、ゲストDJまで全てに気合いが入っている・・・
そして主催者の provo スタッフEMIちゃんから「めっちゃ楽しみ」にされている
前回の古本市の猛反省(古本屋履歴02参照)から、こちらの気合いも最高レベルで注入・選書
ジャンルを無視した「とにかく表紙がかっこいい文庫本特集」も現場にうまくおさまった
ただ1つだけ気になることがあった
イベントスタートは23時。終了は朝、というか未定
ずばり「オールナイト&音楽&酒&テンション高め、イェーイ」の中で面倒な活字に目を落とす人がいるのだろうか・・・それはなかなか難しいだろう・・・せめて深酒になる前、本を楽しんでもらえるのは2時ぐらいまでだろう・・・
夜の11時。スタッフの乾杯からイベントがはじまる
お客さんが少ない時間から、ほとんどの人が気に留めてくれる、喜んでくれる、本を手にとってくれる
お酒のせいか、高い本も売れる
気がつけば3時・・・!
せっかくだからと、ようやく店を離れてフロアーにいけたのはわずは15分ぐらい
大盛況のままあっと言う間にご来光
主催の方にも、DJ陣にも、もちろんお客さんにも喜んでいただき、最高の朝。そして最高に疲れた朝を迎えられた。
「この店が今日一のNUMAじゃん」という本好きのDJの方の言葉が忘れられない。
2019年1月 長男誕生
とある日曜日の早朝、札幌西野の自宅にて長男誕生
いらっしゃい
みんなでご飯を食べて、長女とは雪遊び。そんないつもの日曜日と変わらない時間が流れていたことを覚えている
「いつもの日曜日」だからこそ、「産まれたことと生きていること」がより鮮明に浮きだっていた
2019年5月 ハリウスマルシェ
令和がはじまると共にいよいよ銭函(ぜにばこ)にお引越し
ついにきました銭函!
移住後すぐに出店の機会をつくってくれたのが、地元のミュージシャン中田雅史
matano café での音楽イベント『ハリウスマルシェ』
古本珈琲日曜日、新天地での初のお目見え
これはもう、地域の人への「古本屋としての最初の挨拶」
相当に気合いを入れねばなりません
嫁も新しい看板をつくってくれました
ところが、古本屋以外のあれこれに押されて充分に準備ができず・・・いやそれは完全に言い訳です
ワタシはまたもや、前回の provo での成功、過去のライブ・音楽イベントでの出店の「数少ない」成功体験によって、どこかで気を抜いていたのです
お客さんは喜んでくれました。本当に楽しんでくれている方もいました。主催者も、だいたいは喜んでくれていました。
ただ・・ただ一人・・・主催者、場の人、お客さん、その他全ての人に喜んでもらったとしてもなお、ワタシの「心の隙・気持ちの軽薄さ」を一瞬で感知できる人 がいるのです。その人から、たいへんなダメ出しをくらいました・・
いわずもがな、それは嫁です。看板を作ってくれた、全力で応援してくれた嫁です
同じ過ちを繰り替えす成長のないワタシ
・・・
果たして古本珈琲日曜日は
この銭函の土地でやっていけるのでしょうか
・・・
不安しかない
・・・
『古本履歴04』に続く!