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改心の早さに違和感

 この前、理学療法士の国家試験の勉強をしている友人の試験勉強に付き合っていたときの話である。
 その設問の中に「人が障害を受け入れていく心のプロセスは?」といった内容のものがあった。
 答えは「①ショック期→②否認期→③混乱期→④適応への努力期→⑤適応期」といった流れなのだが、僕はこの中の「②否認期と③混乱期」を逆にして解答をした。
 個人的な感覚で「ショック期→混乱期→否認期」という流れで違和感が無かったのだ。

 まず「私は障がい者である」と言われた瞬間にショックを受ける(情報が入ってくる)。
 そして次に「えっと、あの、言ってる意味がよく分からないのですが……」みたいなセリフがよくあるような気がして、それが混乱期だと考えた。
 それからやっと「そうなことあるわけない!!!」と言って否認するのだと。

 僕のこの考えは、出来事の流れとしては間違っていなかったのかもしれないのだが、きっとどの時期をあてるべきなのかが間違っていたのだ。
 先ほど僕が混乱期だと考えていた「えっと、あの、言ってる意味がよく分からないのですが……」の部分は、恐らく否認期の動きの一部だったということなのだろう。

 実際のところどうなのかは知らないし、さほど興味も無いから、僕が正しい知識を得ているかどうかは闇の中へポイッとしておくとする。なんにせよ、人は何か自分にとって都合の悪いものを渡された後は、まず拒絶をするようだということを知れた。 

 この話は障害受容の話だったのだが、ショック期の次に否認期がくるという流れはなるほど面白いなと思った。

 それで思い出したのだが、僕がアニメやドラマを見ていてたまに気になる場面がある。それは、何か自分の中に不都合な思想が入り込んだ時にすんなりと「そうだよね。分かった」と受け入れる場面である。
 懐柔される場面で人に言われたすぐ直後に心理的適応ができるという、その心理的な動きの不自然さが気になってしまうのである。

「そんなわけないだろう」と思ってしまうのである。

 僕が懐柔の場面でこう思ってしまうのは、僕が人に言われたことが受け入れがたい内容だった時にすぐに受け入れることができない人間だからで、きっとみんなは他人に言われたことをすんなりと受け入れて自分の考え方を変えるのかもしれない、ということで飲み込むことにしていた。
 なんせ物語には続きがあるのだから、そんなとこに引っかかっていては物語は進まない。
 とりあえず、その作品内の登場人物は懐柔されたのである。それが事実として起きたらしいのである。

 ふむ。納得がいかない。

生きているだけでいいや。