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The Modelに当てはまらない!?Vertical Saasにおけるカスタマーサクセスの位置づけ

こんな人に読んでほしい

・Vertical Saasのカスタマーサクセスって何でこんなに大変なんだろうと思っている
・Vertical Saasの組織においてカスタマーサクセスの配置がしっくりきていない
・Vertical SaasはThe Modelにそのまま当てはまらないのでは?と感じている


はじめに

はじめまして。フルカイテン株式会社CPOの田中と申します。
フルカイテンは在庫を利益に変えるクラウドサービス「FULL KAITEN」を提供している企業です。メインの顧客は小売業様となり、いわゆるVertical Saasです。

私はフルカイテンにジョインして2年半、カスタマーサクセス責任者、プロダクト責任者を経て、現在はその双方を管掌する形でCPOを担当しています。

色々な試行錯誤を経て、「カスタマーサクセス(以下CS)をこう捉えればしっくりくる」という一つの形が見えたので共有したいと思います。ぜひ参考にしていただければと思います!

※私のフルカイテンでの経歴は↓↓にまとめてあるので覗いてみてください

The ModelだとうまくいかないCS

ご存知の通り「The Model(ザ・モデル)」は、セールスフォース社で実践されてきた営業プロセスモデル(分業のモデル)です。

▼The Model
1)マーケティング
2)インサイドセールス
3)フィールドセールス
4)カスタマーサクセス

非常によくできたフレームワークだと思います。
ただ私の考えでは、

cSを営業プロセスの一環として捉えるだけではうまくいかない

ということです。
もちろんうまくいくケースはあると思いますが、Vertical Saasにおいてはうまく行かないケースも往々にしてあると思います。

特に我々フルカイテンが扱っているのは小売業の「在庫」です。小売業にとって「在庫」は「商品」そのものなので商売のコア中のコアです。プロダクトを提供しただけで成果につなげるのは至難の業ですし、商売はそんなに甘くありません。
では何が欠けているのかというと、

プロダクトを顧客に合わせてフィットさせる機能

です。
「CSはオンボーディングで業務設計してプロダクトをフィットさせているよ」という声が聞こえてきそうですが、それだけだと足りないということです。

本気で顧客に価値を提供しようと思ったら、CS起点でプロダクトを作りに行くという観点が必要です。当然ながらCSからPOに要望をあげればOKというレベルの話ではありません。
「CS起点でプロダクトのTOBEを描きPOに提案する」ということが必要だと考えます。実際私たちはこの考え方でCS業務を回しています。

CSは営業プロセスの終点であり、プロダクトプロセスの起点でもあるのです。

「顧客の最前線でプロダクトを創る」のがCS

カスタマーサクセスはプロダクト組織の一員
というのが私の今の考えです。

プロダクトを持って顧客に飛び込み、顧客の負の解像度を上げ、プロダクト改善を社内に要求し続ける。そういう機能です。

Vertical Saasの勝ち筋はカスタマイズだという話を社内でもするのですが、そのカスタマイズ要素=顧客への提供価値の最大化を担っているのがカスタマーサクセスと言って良いでしょう。

顧客と向き合うのはCSだけじゃない

顧客に対して提供価値を最大化するためには、当然顧客の負を理解する必要があります。ただそれをカスタマーサクセスだけが理解すれば良いのでしょうか?

私はそうではないと思っています。
もちろん役割として顧客の最前線はCSでOKだと思います。
ただ、
・CSが顧客の最前線で取得した一次情報をしっかり社内に還元する
・プロダクト企画・研究・開発のチームはCSの一次情報を取りに行く
・それでも分からない場合は実際の顧客mtgに同席する

ということが必要です。

実際、我々のお客様は小売業が中心なのですが、エンジニアも必要があれば実際に店舗に行って現実を把握するということをします。

顧客の課題をプロダクト組織全員が同じレベルで認識する必要があるのです。もっと簡単に言えば、顧客が困っていること・やりたくてできていないことを全員が理解するということ。

そうでなければ良いプロダクトは作れません。

それぞれの立場で顧客のことをきちんと理解する必要があります。

実際この考え方で動くことで、「顧客の要望を反映したいCS」 vs 「ロードマップを死守したいPO」という、顧客にとっては無意味な対立がなくなります。

全員が同じ顧客の一次情報を見て優先度を付けて対応する(ロードマップ修正が必要なら修正する)という動きが自然に生まれます。

現在のCPO管掌の組織は、まさに顧客を中心とした3つの要素で構成しています。

▼プロダクト組織(CPO管掌)
・プロダクトカスタマー部
 └カスタマーサクセス
 └PoC実行
・プロダクト戦略部
 └プロダクト企画
 └データサイエンス
 └プロダクトオーナー
・プロダクト開発部

常に顧客が中心。

今後組織が変わっていく可能性はもちろんありますが、ずっとブラしたくない考え方です。

最後に

今後もVertical Saasのカスタマーサクセス、プロダクトについてや組織、マインドセットについてnoteを書いていこうと思っています。
同じ悩みを持った方の参考に少しでもなれれば幸いです。

引き続きよろしくお願いします!


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