見出し画像

インハウス支援を始めたのは、事業支援をしたかったから(前編)

こんにちは。高瀬です。株式会社ハートラスという会社で取締役CSMOとして経営、戦略策定、事業全体を管掌しています。主に手掛けているのは「インハウス支援」です。

前回に続き2回目。今のところ、心折れることなく投稿できています。暖かく見守ってくださいませ。

さて、私が勝手にこだわっていることの一つに「本当にクライアントの事業推進に寄与しているのか?」があります。

インハウス支援という枠組みでデジタル広告のプランニング、運用、分析にとどまらず、組織構築や教育/育成、業務改善等まで手掛けているのは、そのこだわりあってのことです。

今回は「事業支援」にこだわる理由や背景を書いていきます。

必死になって上司を突破し、予算を握りしめていた

なぜ、事業支援という言葉に行き着いたのか。それは、1社目、2社目で経験したマーケティング担当者時代の経験が大きく影響しています。
当時はまだ20代半ばであり、勉強不足な部分も多々ありましたが、これでもかというくらい仕事をしていました。ちょっと大袈裟ですが、死ぬ気でやっていました。

特に2社目に関しては、創業タイミングから身を置いたので、

「頑張らないと給料が入ってこない」
「やれることをやるのは当たり前」
「自ら仕事をつくり、時間も手間も惜しまず全力疾走する」

といった具合に、勝手に危機感を抱き、そんな考えのみで日々を過ごしていました。

あるとき、広告キャンペーンを展開することになりました。早速私は「こんなプロモーションを考えているので〇〇円使わせてください」と稟議を通してもらうべく、上司に話に行きました。

当然、押さえるべきポイントが押さえられていなければ差し戻しです。
とはいえ、私はやりたい。ですので、資料やら口頭やらで補足しながら食らいつくわけです。もう必死です。ああでもない、こうでもない、と。ぶっちゃけノーロジックな考えも多数含まれていました。

ふてくされている感を隠せず、言葉も投げやりになりつつ、と相当ヒドい部下だったことは間違いないです。。当時の上司には頭が上がりません。

でも、しょうがない。だってやりたいんですもん。笑

結果的にGOサインをいただくわけですが、その時の勝ち取った感たるや、凄かった。上司を突破したぜ感、とでもいいましょうか。とにかく前のめりな感覚です。

そして「よーし、成功するぞ!」と鼻息荒く、当時お付き合いしていた広告代理店の担当者さんやクリエイターの方に相談を持ち掛けるわけです。ゲットした予算を握りしめながら。

この時の心の中は「1円たりとも無駄にできない」でした。

モヤモヤは「環境の違いが生む本気度の差」だった

当時2007年くらいだったかと思いますが、今思えばアドネットワークが出始めたころでしょうか。とあるディスプレイのアドネットワークをご提案いただきました。impからCPAまでシミュレーションいただき、そのメニューの説明を受けていましたが、ものすごくモヤモヤしていたことを覚えてます。

*リスティングやアドネットワークは手段だから、欲しいのはそういうことじゃないんだよなあ、、、

*本当にお客様の事や、競合の事を鑑みてくれているのかな、、、

といった具合です。

当然、素晴らしいご提案をいただくこともありますし、何よりも信頼しているので不満があるわけでは決して無いのです。ただ、上記のようなシーンは決して少なくなく、モヤモヤすることも多かったことは事実です。一方で、アドネットワークに限らず、広告メニューをご提案いただくことは何も間違っていない。

当時はこのモヤモヤを言語化し、適切なコミュニケーションに落とし、より良くしていく動きが仕切れなかったな、という反省もあります。
(適切なブリーフィングが出来ていなかった、ということかと思います。反省。。。)

ただ、究極的には、広告代理店の担当者はどこまで行っても同じ会社の人間ではないし、必死になって上司を突破し、1円たりとも無駄にできない!とヒリヒリしながら会話しているわけではないのです。それを外部の方に望むのは無理な話でもあると思います。

そういった背景があるため、どうしてもギャップが生まれてしまう。それが「モヤモヤ」という言葉に置き換わっていると感じています。

結果として「環境の違いによる本気度の差である。」
そんな整理になっていったと思います。

全ては2013年のニューヨークから始まった

その後、デジタル系エージェンシーに転職するわけですが、なるほど!と思うことが沢山ありました。広告代理店というビジネスモデル。分業制に伴う、仕事の担当範囲、進め方。

良い悪いではなく、「環境の違いによる本気度の差」はこういうことかと、納得感が得られたことを良く覚えています。

とはいえ、何とかモヤモヤを解消したい。完全に自身の体験が起点となっていながらも、私が感じたモヤモヤは誰しもが感じているはずだ!何とかしたい!そんな思いがずっとありました。

そんな折にたまたま参加することになったのがニューヨークで開催されたデジタル広告関連のカンファレンス。その名もProgrammatic I/O(プログラマティック アイオー)。年2回、春にサンフランシスコ、秋にニューヨークで開催される、デジタル広告の最前線をキャッチアップする、という趣旨のものでした。

それはもう、衝撃的でした。当時のメモを見返してみると、以下コメントが記載されていました。(メモそのままなので、間違った記載がありましたら、すみません)

-----------------
・x+1社はチームデトロイトの一員として、フォード社とガッツリ組んでいる
・KimberleyClarkはプロジェクトチームを組成し、インハウスでDMP×広告運用を実行している
・Ad Exchangeにおけるブラックボックスな時代は終わりにしたい。が、なかなかそうはいかない。
SSPサイドがどういった情報を得ているのか、それをマーケッターや事業主に返すべきでは?という議論
・Popsugarが面白い。データサイエンティスト、データアナリスト、ビデオDSP、モバイルDSP、シングルDSP、CIO、CTOが
タッグを組むことが大切。
・つまりは、必要なソリューションと必要な人員を構成することの重要さを謳っている
-----------------

なんとまあ、懐かしいといいますか。横文字が多いといいますか。

当時を思い起こすと日本国内ではほぼ議論になっていないことだらけでしたし、刺激しかありませんでした。日本に持ち帰った後、事業推進のアイデアが幾つか思い浮かんだものです。

そんな中で、衝撃的だったのは「ベストインクラス」という発想でした。

ベストインクラスという発想は新たな希望の光だった

そもそもベストインクラスとはどういうことを指すのか。
当時はFord、nissan2社の取り組みがまさに「それ」でした。

FordはWPPがJWT、Q&M、Y&R、ワンダーマン、マインドシェアから人材を結集して組成したチーム。その名も「チーム デトロイト」。
nissanはTBWA、OMD、Interbrand、emanate、博報堂から集まった「UNITED」。

いずれも【有力なエージェンシーからベストな機能を集めた体制】となっています。これこそ、当時の「ベストインクラス」を体現する象徴的なチームでした。1社ワンストップの発想はない。各々の領域のプロフェッショナルが集まり、プロジェクトチームとしてワークする。

さらにいえば、この当時のProgrammatic I/Oではインハウスエージェンシーの話題で持ちきりでした。この時はインハウストレーディングデスクとも呼ばれていました。いわゆる入札運用型広告のバイイングオペレーションを企業内で行い、代理店を通さず直接DSP事業者から買い付けるための機能を指します。
ケロッグ、ユニリーバ、キンバリー・クラークといった大手がまさにこの動きをしている、と。多くの企業がインハウスにマーケティング組織を持つ傾向は顕著でした。

つまり、ベストインクラスという発想のもと、インハウスエージェンシー/トレーディングデスクというアプローチが加速している、ということでした。

そうか。別に1社でやりきる必要はないんだ。
それに、インハウスという考え方はPL改善にも寄与できる気がする。
まさに一緒に事業を伸ばすようなものだ。
クライアントの事を考えたら、その方が気持ちがいい。

そう感じました。

私はこれらを以下のように解釈/整理しました。

*ベストインクラスは自社ですべての利益を享受することなく、クライアントの事業成長に最も寄与するチームを組成することを指す。必要な機能は各々のスペシャリティを持ち寄れば良い。

*インハウスという取り組みはある意味、支援される側/する側の境界線を壊す。

これだ。。。

私の抱えているモヤモヤが解決できるかもしれない。まるで、霧が晴れたような、雲の隙間から光が差すような。

このニューヨークでの経験が、事業支援を目的としたインハウス支援へと繋がっていきます。(後編に続く)