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フィギュアスケートの通訳・翻訳の世界から楽しく学ぶ

第11回つーほんウェビナー 「通訳者のKiss&Cry」トークライブ【フィギュアスケート×通訳・翻訳の仕事 ~ネイサン・チェン自伝の翻訳者との対談も!~】

登壇者: 通訳者/平井美樹さん
ゲスト: 翻訳家/ないとうふみこさん
主催: イカロス出版株式会社 『通訳翻訳ジャーナル』編集部

2023/12/17 (日) 13:00 - 15:00 JST


こんにちは、DNです。
昨日、平井さん・ないとうさんのトークライブを視聴させていただきました。有料配信&アーカイブがあるので詳細は文字に起こしませんが、全体を通して学び得たことや感想を記録しておきたいと思います。

2019世界フィギュアスケート選手権
記者会見でのネイサンチェン選手

人間力


お二人のお話を聞いて、通訳・翻訳に必要なものは語学力だけではなく、やはり「人間力」が必要だと思いました。話し手(著者)の意図や要点を汲みとろうとするチカラが必要ですね。そう考えると、日本語と英語の間にいるファシリテーターのような存在にも感じます。そんなコミュニケーション能力も必要なのでしょう。


バイアス


バイアスを持たずに事実を捉えることが大事ですね。
 平井さん「色眼鏡をかけないようにする」
 ないとうさん「キャラ付けをしないようにする」
というお二人の考えは共通していて、先日の町田樹先生の講演における「スポーツメディアリテラシーの必要性」という内容にも通ずるところかなと思います。

令和5年度國學院大學 ホームカミングデー 『町田樹助教特別講演~スポーツを「観る」とは何か?~』

また、平井さんはソーシャルメディアなど情報過多なものには敢えて触れる事を少なくして現場へ行くそうです。私も時々ソーシャルメディアに疲れて事前情報無しにフィギュアを見る事がありますが、それも悪くないんだなと思えました。周りに惑わされず、自分自身が見たものや感じたことをまず大切にしていきたいです。

海外スケーター達のインタビューや彼らにまつわる記事などの日本語訳がない場合に、自分で調べながら翻訳し解釈することがあります。そのときに気をつけた方が良い事、ポイントやコツになるようなことがありましたら教えてください。

DN

上記の内容を事前質問させていただいていたので、このバイアスの話は為になりました。訳者の個人的なバイアスがあっては誤訳のもとになりそうですし、正しく伝わらないですよね。また、ないとうさんが「賞味期限のある言葉は使わない」と仰っていたのもうなずけました。スラングのような言葉は時代によって通じなくなることもありますもんね。お二方のアドバイスを聞けて感謝です。


語彙力・理解力


ないとうさんが、平井さんによる宇野選手と鍵山選手のプレカンでの名通訳をピックアップ。そしてないとうさんによるステファンの「昌磨のスケートはオーガニック」の翻訳と解釈。英語も日本語もどちらも多くの言葉や言い回しを知っていないと訳する時にうまく伝えられないですよね。こればかりは努力と経験。通訳・翻訳の現場で格闘されているプロの為せる技です。
平井さんは「論文を読む」そうで、論文は専門家の書く言葉なので参考になるとのこと。確かに、専門家の言葉や表記であれば正しく訳す為のエビデンスになりますね。そして児童文学や絵本の翻訳は難しいと聞いた事がありますが、子どもたちでもわかる言葉で、かつキャッチーというか心に響く言葉を使って表現しなくてはならない。ないとうさんの専門分野ですね。「単語で訳せないときは補足する」とも仰っていたので、是非真似させていただきたいです。


着地点


訳す時の話の着地点について、平井さんは「長めの話の時は全体像が見えやすい」と。これを聞いてすぐにネイサンが頭に浮かびました。確かに私はあのスーパーファストブラックリストロングイケボトークを完全に聞き取れた試しが無いのですが(One Jump At A Timeのオーディオブックをx0.75で聞いている私である)ネイサンが言わんとすることはなんとなく伝わってくるのです。そういう意味ではネイサンの話は要点がわかりやすく訳しやすいのかもしれませんね。
(ネイサンはジャンプもトークも軸がしっかりしています)(おあとがよろしいようで)


ウラ話


ひとつだけウラ話を(いいでしょうか…?)
町田先生が現役時代「ティムシェル」と言った時、通訳現場では「ティムシェルって…何!?」と大混乱だったようで…。そりゃ通訳に焦りますよね…。平井さんのそんなエピソードを聞いて、あの時の「ティムシェル」や数々の町田語録を思い出して笑いを堪えきれなかったことをここにお詫びいたします🙇🏼

平井さん、ないとうさん、主催スタッフの方々、貴重なトークライブをありがとうございました!

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